令和8年度 1級電気工事施工管理技術検定 第一次検定の問題と解説【全89問】
全問題を正答・解説付きで掲載しています。
この試験は選択解答制です(全89問中60問を解答)。No.1〜6は必須、No.7〜12から4問、No.13〜44から14問、No.45〜52から5問、No.53〜54は必須、No.55〜60は必須(施工管理法の応用能力問題)、No.61〜67は必須、No.68〜76から6問、No.77〜89から10問を選択して解答します。
この試験回をクイズ形式で解く →No.1
電気工学図に示す電極板の面積が A=0.4 m² の平行板コンデンサに,比誘電率 εᵣ=4 の誘電体があるとき,このコンデンサの静電容量の値〔F〕として,正しいものはどれか。ただし,誘電体の厚さ d=2 mm,真空の誘電率は ε₀〔F/m〕とし,コンデンサの端効果は無視するものとする。

- 1.3.2 ε₀ 〔F〕
- 2.20 ε₀ 〔F〕
- 3.800 ε₀ 〔F〕
- 4.5 000 ε₀ 〔F〕
正解:3
解説
考え方
図は,面積Aの2枚の電極板の間に厚さd,比誘電率εᵣの誘電体を挟んだ平行板コンデンサです。平行板コンデンサの静電容量Cは,次式で表されます。
C=εᵣ×ε₀×A/d
静電容量は電極板の面積Aに比例し,電極板の間隔(誘電体の厚さ)dに反比例します。また,誘電体を入れると,真空のときのεᵣ倍に大きくなります。
計算
A=0.4 m²,εᵣ=4,d=2 mm=2×10⁻³ mとして,
C=4×ε₀×0.4/(2×10⁻³)=1.6×ε₀/(2×10⁻³)=800 ε₀ 〔F〕
答え:3 800 ε₀ 〔F〕
この問題で間違えやすいのは,dの単位換算です。2 mmをそのまま「2」として計算すると0.8 ε₀となり,選択肢にない値になります。mmをmに直してから式に代入する習慣をつけましょう。C=εᵣε₀A/dの形(面積に比例・間隔に反比例)は,コンデンサ問題の基本としてそのまま覚えておく価値があります。
No.2
電気工学図のように,電界の強さが E=5 V/m の一様な電界中にある+2 C(クーロン)の点電荷 Q を,点 A から点 B まで移動させた。この移動に要する仕事〔J〕として,正しいものはどれか。ただし,電界の向きは,点 B から点 C へ向かう向きと同じとする。

- 1.4 J
- 2.6 J
- 3.8 J
- 4.10 J
正解:2
解説
考え方
図では,下向きの一様な電界E=5 V/mの中で,+2 Cの点電荷Qを点Aから点Bまで移動させます。点Aから右に80 cmの位置に点Cがあり,点Bは点Cの真上60 cmにあります。電界の向きは点Bから点Cへ向かう向き(下向き)です。
電界中の正電荷には,電界と同じ向き(下向き)に F=Q×E の力がはたらきます。電荷を動かす仕事を考えるとき,大切なのは次の2点です。
- 電界と直角な方向(水平方向)の移動では,仕事は0
- 電界に逆らう方向(上向き)の移動では,移動距離に応じた仕事が必要
つまりAからBへの移動のうち,仕事に関係するのは電界方向の成分であるC→Bの60 cm分だけです。
計算
電荷にはたらく力は,
F=Q×E=2×5=10 N(下向き)
これに逆らって上向きに60 cm=0.6 m移動させる仕事は,
W=F×d=10×0.6=6 J
答え:2 6 J
斜めに移動する距離(AB間の1 m)をそのまま使って10×1=10 Jとするのがひっかけです。仕事に効くのは電界方向の移動成分だけで,水平の80 cmは仕事に関係しません。
No.3
電気工学図に示す RLC 直列回路に交流電圧を加えたとき,当該回路の有効電力の値〔W〕として,正しいものはどれか。

- 1.340 W
- 2.430 W
- 3.1 200 W
- 4.2 000 W
正解:3
解説
考え方
図は,交流電圧E=100 Vに,抵抗R=3 Ω,誘導性リアクタンスX_L=8 Ω,容量性リアクタンスX_C=4 Ωを直列に接続した回路です。
直列回路のインピーダンスZは,リアクタンスの差(X_L−X_C)と抵抗Rから求めます。
Z=√(R²+(X_L−X_C)²)
回路に流れる電流は I=E/Z で,有効電力(実際に消費される電力)は抵抗だけで消費されるので,
P=I²×R
で計算できます。
計算
Z=√(3²+(8−4)²)=√(9+16)=√25=5 Ω
I=100/5=20 A
P=I²×R=20²×3=400×3=1 200 W
(力率cosθ=R/Z=3/5=0.6を使って,P=E×I×cosθ=100×20×0.6=1 200 Wとしても同じ結果になります。)
答え:3 1 200 W
有効電力を求めるとき,P=I²×Zとしてしまう(2 000 W)のが典型的なミスです。電力を消費するのは抵抗分だけで,リアクタンスは電力を消費しない(無効電力になる)ことを押さえておきましょう。X_LとX_Cは互いに打ち消し合うので,差をとってからZを計算するのもポイントです。
No.4
電気工学内部抵抗 rᵥ,最大目盛 1 V の電圧計に,直列抵抗器 Rm1,Rm2 を図のように接続して測定範囲を拡大した。b 及び c の端子で測定した場合のそれぞれの電圧計の最大指示値 Vb 及び Vc の値〔V〕の組合せとして,適当なものはどれか。

- 1.Vb=3 V Vc=5 V
- 2.Vb=3 V Vc=10 V
- 3.Vb=5 V Vc=10 V
- 4.Vb=5 V Vc=15 V
正解:2
解説
考え方
図は,内部抵抗rᵥ=2 000 Ω,最大目盛1 Vの電圧計に,直列抵抗器(倍率器)R_m1=4 000 Ω,R_m2=14 000 Ωを直列につないだ回路です。端子aは電圧計に直結,端子bはR_m1を通り,端子cはさらにR_m2を通ります。
電圧計が最大目盛(1 V)を指すとき,電圧計に流れる電流は,
I=1/rᵥ=1/2 000=0.5 mA
直列回路ではどこでも電流が同じなので,各端子で測れる最大電圧は「その端子から電圧計までの全抵抗×0.5 mA」で求められます。
計算
端子bで測る場合(rᵥ+R_m1):
Vb=(2 000+4 000)×0.5×10⁻³=6 000×0.5×10⁻³=3 V
端子cで測る場合(rᵥ+R_m1+R_m2):
Vc=(2 000+4 000+14 000)×0.5×10⁻³=20 000×0.5×10⁻³=10 V
答え:2 Vb=3 V Vc=10 V
倍率器は「電圧計と直列に抵抗を入れて,電圧計本体には一部の電圧しかかからないようにする」仕組みです。端子cの計算でR_m2だけを見てしまうと誤答につながります。必ず電圧計から端子までの抵抗を全部足してから計算しましょう。電流計の測定範囲を広げる分流器(並列接続)との違いも整理しておくと確実です。
No.5
電気工学水力発電所において,最大出力 98 MW を発電するために必要な流量〔m³/s〕として,正しいものはどれか。ただし,有効落差は 250 m とし,水車効率と発電機効率を総合した効率を 80 % とする。
- 1.32 m³/s
- 2.50 m³/s
- 3.320 m³/s
- 4.500 m³/s
正解:2
解説
考え方
水力発電所の発電機出力P〔kW〕は,流量Q〔m³/s〕,有効落差H〔m〕,総合効率ηを用いて次式で表されます。
P=9.8×Q×H×η 〔kW〕
9.8は重力加速度に由来する係数で,水の位置エネルギーが毎秒どれだけ仕事に変わるかを表しています。この式をQについて解くと,
Q=P/(9.8×H×η)
計算
P=98 MW=98 000 kW,H=250 m,η=0.8として,
Q=98 000/(9.8×250×0.8)
分母を先に計算すると,9.8×250=2 450,2 450×0.8=1 960
Q=98 000/1 960=50 m³/s
答え:2 50 m³/s
この問題のポイントは単位の扱いです。公式P=9.8QHηの出力PはkW単位なので,MWで与えられた98 MWを98 000 kWに直してから代入します。MWのまま計算すると桁を間違えます。また,効率ηは分母に入る(同じ出力を得るには効率が悪いほど多くの水量が必要)ことも確認しておきましょう。効率を掛け忘れると40 m³/sとなり,選択肢にないので気づけますが,検算の習慣が大切です。
No.6
電気工学図に示す低圧コンデンサがある。この回路において,電圧 V=200 V,容量性リアクタンス Xc=5 Ω のときの回路の全無効電力の値〔kvar〕として,正しいものはどれか。

- 1.3 kvar
- 2.8 kvar
- 3.24 kvar
- 4.30 kvar
正解:2
解説
考え方
図は,三相3線式(3φ3W)の電源(線間電圧V=200 V)に,容量性リアクタンスX_C=5 Ωのコンデンサ3個をスター結線(Y結線)で接続した低圧コンデンサです。3個のコンデンサが1点(中性点)で結ばれているのがスター結線の特徴です。
スター結線では,各コンデンサにかかる電圧は線間電圧Vではなく,相電圧 V/√3 になります。コンデンサ1個あたりの無効電力は,
Q₁=(相電圧)²/X_C=(V/√3)²/X_C=V²/(3×X_C)
3個分の全無効電力は,
Q=3×Q₁=V²/X_C
計算
V=200 V,X_C=5 Ωとして,
Q=V²/X_C=200²/5=40 000/5=8 000 var=8 kvar
答え:2 8 kvar
まず図がスター結線かデルタ結線かを見きわめることが最大のポイントです。デルタ結線なら各コンデンサに線間電圧200 Vがそのままかかり,全無効電力は3×200²/5=24 kvar(肢3)になります。スター結線では各相の電圧が1/√3倍になるため,全無効電力はデルタ結線の1/3で済みます。結線方式による電圧・無効電力の違いは進相コンデンサの定番論点です。
No.7
電気工学図に示す汽力発電の熱サイクルの名称として,最も適当なものはどれか。

- 1.再生サイクル
- 2.再熱サイクル
- 3.再熱再生サイクル
- 4.ランキンサイクル
正解:1
解説
考え方
図は,ボイラ(過熱器付き)→蒸気タービン→復水器→給水ポンプ→給水加熱器→ボイラと水・蒸気が循環する系統図です。注目すべきは,蒸気タービンの途中から蒸気の一部を抜き出して(これを抽気といいます),給水加熱器に導いている点です。
各サイクルの特徴を整理すると,
- 肢1(正しい):再生サイクルは,タービンの途中から抽気した蒸気で,ボイラへ戻る給水をあらかじめ加熱するサイクルです。復水器で捨てる熱を減らせるため熱効率が向上します。図はまさにこの構成です。
- 肢2(誤り):再熱サイクルは,タービンで膨張の途中の蒸気をいったんボイラの再熱器に戻して再加熱し,再びタービンに送るサイクルです。図には再熱器がなく,蒸気がボイラへ戻る流れもありません。
- 肢3(誤り):再熱再生サイクルは,再熱と再生の両方を組み合わせたものです。図には再熱の要素がないため該当しません。
- 肢4(誤り):ランキンサイクルは,ボイラ→タービン→復水器→給水ポンプだけで構成される汽力発電の基本サイクルです。図には給水加熱器(抽気)があるため,基本のランキンサイクルではありません。
答え:1 再生サイクル
見分け方のコツは「抽気で給水を温めていれば再生」「蒸気がボイラに戻って再加熱されていれば再熱」です。図中の給水加熱器と抽気の矢印を見落とすと,ランキンサイクルと誤答しやすいので注意しましょう。
No.8
電気工学変電所の母線保護に用いられる保護継電方式として,最も不適当なものはどれか。
- 1.電流差動方式
- 2.遮へい母線方式
- 3.方向比較方式
- 4.温度継電方式
正解:4
解説
考え方
母線(ぼせん)は,変電所内で複数の送電線や変圧器をつなぐ共通の幹線です。母線事故は影響範囲が大きいため,専用の保護継電方式が用いられます。各肢を確認します。
- 肢1(適当):電流差動方式は,母線に出入りする電流の合計を監視する方式です。健全時は流入と流出が釣り合って差は0ですが,母線内部で事故が起きると差電流が現れるため,これを検出します。母線保護の代表的な方式です。
- 肢2(適当):遮へい母線方式は,母線を接地した金属製の遮へい(シールド)で囲み,母線の地絡事故時に遮へいに流れる電流を検出して保護する方式です。
- 肢3(適当):方向比較方式は,母線に接続された各回線の電流や電力の方向(母線に向かう向きか,母線から出る向きか)を比較し,すべてが母線に向かっていれば母線内部事故と判定する方式です。
- 肢4(不適当):温度継電方式は,変圧器の巻線や絶縁油の温度上昇を検出する保護方式で,変圧器の過負荷保護などに用いられるものです。母線保護には用いられません。
答え:4 温度継電方式
母線保護は「電流の出入りのバランス」や「電流の方向」で内部事故を見分けるのが基本という点を押さえておけば,温度で母線事故は検出できないと判断できます。温度継電器=変圧器の保護,と結び付けて覚えておきましょう。
No.9
電気工学電力系統の電気計算に用いられるパーセント法に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.%インピーダンスは,定格電圧に対して,定格電流が流れた場合に生じるインピーダンス降下をパーセントで表したものである。
- 2.発電機及び変圧器のそれぞれの%インピーダンスは,機器の自己容量ベースから基準容量ベースに換算する必要がある。
- 3.変圧器の%インピーダンスは電圧比を乗じて,求める側の送電電圧に換算する必要がある。
- 4.送電線の%インピーダンスは,%抵抗分と%リアクタンス分からなる。
正解:3
解説
考え方
パーセント法は,インピーダンスをオーム値のままではなく,定格電圧に対する電圧降下の割合(%)で表す方法です。短絡電流の計算などで広く使われます。各肢を確認します。
- 肢1(適当):%インピーダンスの定義そのものです。定格電流が流れたときのインピーダンス降下が,定格電圧の何%にあたるかを表します。
- 肢2(適当):機器の%インピーダンスは,その機器の定格容量(自己容量)を基準に表示されています。系統全体の計算では基準容量をそろえる必要があるため,容量に比例させて換算します(%Z新=%Z旧×基準容量/自己容量)。
- 肢3(誤り):パーセント法の最大の利点は,変圧器を挟んでも電圧換算が不要なことです。オーム値のインピーダンスは巻数比の2乗で換算する必要がありますが,%インピーダンスは一次側から見ても二次側から見ても同じ値になります。「電圧比を乗じて換算する必要がある」というのは誤りです。
- 肢4(適当):送電線のインピーダンスは抵抗とリアクタンスからなるので,%インピーダンスも%抵抗分と%リアクタンス分で構成されます。
答え:3
%インピーダンスで必要なのは「容量の換算」であって「電圧の換算」は不要,というのがこの問題の核心です。肢2と肢3を対比させて,容量換算は必要・電圧換算は不要,とセットで覚えておくと混乱しません。
No.10
電気工学電力系統の供給信頼度の向上対策に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.数分間で供給力増加が可能な予備力を確保する。
- 2.発電機,変圧器等の機器は,できる限り並列接続する。
- 3.大容量機器を単機で備えるよりも,半分の容量のものを 2 台設けると信頼度が向上する。
- 4.機器の定期点検は,負荷の軽重に関わらず,年間を通して平均化するように計画する。
正解:4
解説
考え方
供給信頼度とは,停電を起こさず安定して電気を届けられる度合いのことです。各肢を確認します。
- 肢1(適当):需要の急増や電源の脱落に備えて,数分程度で出力を増やせる予備力(運転予備力)を確保しておくことは,供給信頼度の向上に有効です。
- 肢2(適当):発電機や変圧器をできる限り並列に接続しておけば,1台が故障しても残りの機器で供給を続けられるため,信頼度が向上します。
- 肢3(適当):大容量機1台に頼ると,その1台の故障で供給力を全て失います。半分の容量を2台に分ければ,1台故障時にも半分の供給力が残るため,信頼度は向上します。
- 肢4(不適当):機器の定期点検は,点検中はその機器が使えなくなるため,供給力に余裕のある時期に行うのが原則です。冷暖房需要の少ない春や秋などの軽負荷期に集中させて計画するのが正しく,「負荷の軽重に関わらず年間を通して平均化する」のは供給信頼度を下げるおそれがあり不適当です。
答え:4
肢4は「平均化」という言葉が一見合理的に聞こえるのがひっかけです。点検で機器を止める以上,系統に余裕があるときに行うべき,という現場感覚で判断しましょう。信頼度対策は「予備力の確保」「設備の分散・並列化」「点検時期の工夫」の3本柱で整理できます。
No.11
電気工学照明の用語に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.照度均斉度とは,ある面上の最大照度の,平均照度に対する比をいう。
- 2.室指数とは,作業面と照明器具との間の室部分の形状を表す数値をいう。
- 3.保守率とは,一定期間使用した後の平均照度の,新設時の平均照度に対する比をいう。
- 4.作業面とは,そこで作業が行われる面として定義される照明施設の基準面をいう。
正解:1
解説
考え方
照明設計で使われる用語の定義を問う問題です。各肢を確認します。
- 肢1(不適当):照度均斉度は,照度の「むら」の少なさを表す指標で,ある面上の最小照度を平均照度(又は最大照度)で割った比で表します。「最大照度の平均照度に対する比」とすると1より大きい値になってしまい,均斉度の定義として誤りです。正しくは最小照度が分子です。
- 肢2(適当):室指数は,部屋の間口・奥行と,作業面から照明器具までの高さから求める数値で,部屋の形状が照明率に与える影響を表します。室指数=(間口×奥行)/(高さ×(間口+奥行))で計算されます。
- 肢3(適当):保守率は,ランプの光束減退や器具・室内面の汚れにより照度が低下することを見込む係数で,一定期間使用後の平均照度を新設時の平均照度で割った比です。照明計算で必要台数に余裕を持たせるために使います。
- 肢4(適当):作業面は,そこで作業が行われる面として定義される照明施設の基準面で,事務室では床上0.8 m程度の机上面を指すのが一般的です。
答え:1
均斉度は「いちばん暗いところがどれだけ平均に近いか」を見る指標なので,分子は必ず最小照度です。最大と最小を入れ替えるひっかけは頻出なので,「均斉度=最小/平均(又は最小/最大)で1以下の値」と覚えておきましょう。
No.12
電気工学三相誘導電動機に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.同期速度は,電源周波数と極数を乗じることで求められる。
- 2.任意の出力運転時の効率及び力率は,円線図を作図することで求められる。
- 3.電動機の出力は,回転子角速度とトルクを乗じることで求められる。
- 4.滑りは,同期速度と回転子の回転速度との差を同期速度で除すことで求められる。
正解:1
解説
考え方
三相誘導電動機の基本事項を問う問題です。各肢を確認します。
- 肢1(不適当):同期速度Ns〔min⁻¹〕は,電源周波数f〔Hz〕と極数pを用いて,
Ns=120×f/p
で求めます。周波数に比例し,極数に反比例する関係であり,「電源周波数と極数を乗じる」のは誤りです。例えば50 Hz・4極ならNs=120×50/4=1 500 min⁻¹です。
- 肢2(適当):円線図は,無負荷試験と拘束試験の結果から描く円形の線図で,実際に負荷をかけなくても,任意の出力運転時の効率・力率・滑りなどを図上から求めることができます。
- 肢3(適当):電動機の出力P〔W〕は,回転子の角速度ω〔rad/s〕とトルクT〔N・m〕を用いて P=ω×T で表されます。回転の速さと回す力の積が機械出力になるという基本式です。
- 肢4(適当):滑りsは,同期速度Nsと回転子の回転速度Nの差を同期速度で割ったもので,s=(Ns−N)/Ns と定義されます。誘導電動機は滑りがあるからこそトルクを発生します。
答え:1
同期速度の式は「120f/p」と分数の形で確実に覚えましょう。「乗じる」「除する」といった言い換えで式の形をずらすのは知識問題の定番のひっかけです。極数が増えるほど回転は遅くなる,という物理的なイメージを持っておくと引っかかりません。
No.13
電気設備蒸気タービンによる汽力発電と比較したコンバインドサイクル発電の特徴に関する記述として,最も不適当なものはどれか。ただし,発電設備は同容量とする。
- 1.熱効率が高い。
- 2.始動用電力が少ない。
- 3.起動・停止時間が長い。
- 4.大気温度の変化が,出力に与える影響が大きい。
正解:3
解説
考え方
コンバインドサイクル発電は,ガスタービンで発電した後,その高温の排気ガスで蒸気を作り,蒸気タービンでも発電する複合方式です。従来の汽力発電(蒸気タービンのみ)と比較した特徴を各肢で確認します。
- 肢1(適当):排気ガスの熱を回収して二重に発電するため,熱効率は汽力発電より高く,最新のものでは60 %を超えます。
- 肢2(適当):ユニット1台あたりの容量が小さい機械の組合せで構成されるため,始動用電力は汽力発電より少なくて済みます。
- 肢3(不適当):コンバインドサイクルは,大きなボイラを持つ汽力発電と違って温める水や金属の量が少ないため,起動・停止時間は「短い」のが特徴です。急な需要変動に対応しやすく,毎日起動停止する運用(DSS運用)にも向いています。「長い」というのは逆です。
- 肢4(適当):ガスタービンは空気を吸い込んで燃焼させるため,大気温度が上がると空気の密度が下がって吸込み空気の質量が減り,出力が低下します。大気温度の変化が出力に与える影響は汽力発電より大きくなります。
答え:3
コンバインドサイクルの特徴は「熱効率が高い」「起動停止が速い」「大気温度に敏感」の3点セットで覚えましょう。起動停止時間の長短は汽力発電と正反対なので,どちらの立場から比較しているかを問題文でよく確認することが大切です。
No.14
電気設備風力発電に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.プロペラ形風車は,風速変動に対する回転速度の制御が容易である。
- 2.ダリウス形風車は,垂直軸形のため,風向の変化に対して姿勢を変える必要がない。
- 3.ピッチ制御装置は,風車ロータ回転面を風向に追従させる装置である。
- 4.ナセルは,水平軸形風車においてタワーの上部に配置され,動力伝達装置,発電機,制御装置等を格納するもの及びその内容物の総称である。
正解:3
解説
考え方
風力発電の構成要素と制御方式に関する問題です。各肢を確認します。
- 肢1(適当):プロペラ形風車は,ブレード(羽根)の取付角度を変えられる構造にできるため,風速が変動しても回転速度や出力の制御が容易です。大型風車のほとんどがこの形式です。
- 肢2(適当):ダリウス形風車は,回転軸が地面に垂直な「垂直軸形」の風車です。どの方向から風が吹いても回転できるため,風向が変わっても風車の姿勢を変える必要がありません。
- 肢3(不適当):ピッチ制御装置は,ブレードの取付角(ピッチ角)を変えて,回転速度や出力を調整する装置です。風車ロータの回転面を風向に追従させる(風車の向きを変える)のは「ヨー制御装置」の役割であり,両者を取り違えた記述になっています。
- 肢4(適当):ナセルは,水平軸形風車のタワー上部に置かれた箱状の部分で,増速機などの動力伝達装置,発電機,制御装置等を格納するもの及びその内容物の総称です。
答え:3
ピッチ制御とヨー制御の取り違えは風力発電問題の定番のひっかけです。「ピッチ=羽根の角度」「ヨー=機体の向き(船や飛行機のヨーイングと同じ)」と対にして覚えておけば確実に区別できます。
No.15
電気設備変電所に用いられる機器に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.遮断器は,機器などの故障時に回路を遮断するために設置されるが,平常時は回路の開閉操作に用いられる。
- 2.分路リアクトルは,送電系統の進相無効電力による電圧上昇を抑制するために用いられる。
- 3.断路器は,無負荷時に,回路を切り離したり系統の接続変更をするために用いられる。
- 4.接地開閉器は,送電系統の残留電荷や誘導電圧を解消するため,遮断器や断路器の開放操作前に閉路する。
正解:4
解説
考え方
変電所に用いられる開閉機器やリアクトルの役割を問う問題です。各肢を確認します。
- 肢1(適当):遮断器は,短絡や地絡などの故障時に大きな電流を断ち切れる能力を持つ機器です。故障時の遮断が本来の役割ですが,平常時の負荷電流の開閉操作にも用いられます。
- 肢2(適当):分路リアクトルは,長距離送電線やケーブル系統の静電容量による進み電流(進相無効電力)で系統電圧が上がりすぎるのを抑えるために,系統に並列に接続するコイルです。深夜の軽負荷時などに投入されます。
- 肢3(適当):断路器は,アーク(火花)を消す能力を持たないため,電流が流れていない無負荷の状態でのみ操作できます。点検時に回路を切り離したり,系統の接続を切り替えたりするために用いられます。
- 肢4(誤り):接地開閉器は,点検作業の安全のため,送電を止めた線路に残る残留電荷や誘導電圧を大地に逃がす機器です。閉路(接地)するのは,遮断器や断路器で回路を「開放した後」です。充電中の回路を接地すると地絡事故そのものになるため,「開放操作前に閉路する」は操作順序が逆で誤りです。
答え:4
操作の順序は「遮断器で電流を切る→断路器で切り離す→接地開閉器で接地する」が鉄則です。接地は必ず最後,という流れを作業安全の観点からイメージできれば,順序を逆にしたひっかけにすぐ気づけます。
No.16
電気設備送電系統の保護に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.保護継電器は,故障区間を高速かつ正確に検出し,動作が確実に行われることが要求される。
- 2.後備保護継電器は,主保護継電器が動作しない場合に備えた保護継電器である。
- 3.回線選択継電方式は,平行 2 回線送電線の場合,1 回線のみに故障が発生したとき,健全回線と故障回線の電流又は電力潮流の差により,故障回線を選択遮断するものである。
- 4.距離継電方式は,事故時の電圧と位相により故障点までの線路インピーダンスを測定し,その値が保護範囲内のインピーダンスよりも大きい場合は事故と判断する。
正解:4
解説
考え方
送電線の保護継電方式に関する問題です。各肢を確認します。
- 肢1(適当):保護継電器には,故障区間だけを高速かつ正確に検出し,確実に動作することが求められます。誤動作や動作失敗は停電範囲の拡大につながります。
- 肢2(適当):後備(こうび)保護継電器は,主保護継電器やその遮断器が何らかの理由で動作しなかった場合に備えて,バックアップとして設ける保護です。
- 肢3(適当):回線選択継電方式は,平行2回線の送電線で1回線だけに故障が起きたとき,健全回線と故障回線の電流又は電力潮流の差を利用して,故障した回線だけを選んで遮断する方式です。
- 肢4(誤り):距離継電方式は,事故時の電圧と電流から故障点までの線路インピーダンスを測定する方式です。故障点が近いほど測定されるインピーダンスは小さくなるため,測定値が整定した保護範囲のインピーダンスより「小さい」場合に保護範囲内の事故と判断します。「大きい場合は事故と判断する」は逆で誤りです。
答え:4
距離継電器は「インピーダンス=電気的な距離」を測る継電器です。事故点が近い=インピーダンスが小さい=自分の守備範囲,という関係を押さえておけば,大小を入れ替えたひっかけに惑わされません。
No.17
電気設備一般送配電事業者間で電力系統を連系したときの記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.系統のインピーダンスが小さくなることにより,短絡容量が減少し遮断器の遮断容量が低減できる。
- 2.電力系統の規模が大きくなることにより,系統電圧,無効電力,周波数等の制御が複雑になる。
- 3.想定外の需要の増大により供給力が不足した場合は,余剰電力を有する地域から電力融通を行うことが可能となり,供給予備力の節減ができる。
- 4.発電設備が広域的に運用できることから,設備の節減ができるほか,効率的な設備運転の実現により運転コストが低減できる。
正解:1
解説
考え方
一般送配電事業者どうしが電力系統を連系(相互接続)したときの利点と欠点を問う問題です。各肢を確認します。
- 肢1(不適当):系統を連系すると電源が並列に増え,系統全体のインピーダンスは小さくなります。インピーダンスが小さくなると,短絡事故時に流れる電流はむしろ「増大」します。つまり短絡容量は増加し,それを遮断できるよう遮断器には従来より大きな遮断容量が必要になります。「短絡容量が減少し遮断容量が低減できる」は逆で誤りです。短絡容量の増大は連系の代表的なデメリットです。
- 肢2(適当):系統規模が大きくなると,電圧・無効電力・周波数などの制御対象が広がり,制御は複雑になります。これも連系のデメリットの一つです。
- 肢3(適当):供給力が不足した地域へ,余裕のある地域から電力融通ができるため,各系統が個別に持つべき供給予備力を節減できます。連系の代表的なメリットです。
- 肢4(適当):発電設備を広域的に運用できるため,設備の節減や,効率のよい発電所を優先的に運転する経済運用が可能になり,運転コストを低減できます。
答え:1
連系のメリット(予備力節減・経済運用)とデメリット(短絡容量増大・制御の複雑化・事故波及のおそれ)を対で整理しておきましょう。「連系すると短絡容量は増える」は頻出ポイントで,減ると書かれていたらまず疑ってください。
No.18
電気設備架空送電線における支持点間の電線のたるみの近似値 D〔m〕及び電線の実長の近似値 L〔m〕を求める式の組合せとして,適当なものはどれか。ただし,各記号は次のとおりとし,電線支持点の高低差はないものとする。S:径間〔m〕 T:電線の最低点の水平張力〔N〕 W:電線の単位長さ当たりの重量〔N/m〕
- 1.D=WS²/3T L=S+3D²/8S
- 2.D=WS²/8T L=S+8D²/3S
- 3.D=WS²/3T L=S+8D²/3S
- 4.D=WS²/8T L=S+3D²/8S
正解:2
解説
考え方
架空送電線は,支持点の間で自重により垂れ下がります。このたるみ(弛度)D〔m〕と電線の実長L〔m〕の近似式は,径間S〔m〕,電線の最低点の水平張力T〔N〕,単位長さ当たりの重量W〔N/m〕を用いて次のように表されます。
D=W×S²/(8×T)
L=S+8×D²/(3×S)
たるみDの式は,「重い電線ほど・径間が長いほど垂れ下がりが大きく,強く張る(Tが大きい)ほど垂れ下がりが小さい」という直感どおりの関係になっています。特に径間Sの2乗に比例する点が重要です。実長Lの式は,径間Sにたるみによる増加分(8D²/3S)を加えた形で,たるみがあっても実長は径間よりわずかに長くなるだけであることを示しています。
計算
この問題は公式の形を選ぶ問題なので数値計算はありませんが,係数の覚え方として,
- たるみD:分母に「8T」(ハチT)
- 実長L:増加分の係数は「8/3」で,分子にD²,分母にS
とセットで記憶します。D=WS²/8T,L=S+8D²/3Sの組合せは肢2です。
答え:2 D=WS²/8T L=S+8D²/3S
ひっかけは「8」と「3」の入れ替えです。たるみの分母が3T,実長の係数が3/8になっている誤りの組合せが必ず並びます。「たるみは8T分の」とリズムで覚え,実長の係数8/3は1より大きい数がD²側に付く,と整理しておけば取り違えを防げます。
No.19
電気設備架空送電線路のフラッシオーバに関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.アークホーンの間隔は,遮断器の開閉サージでフラッシオーバしないように設定する。
- 2.フラッシオーバは,がいし連の絶縁耐力を上回る異常電圧が侵入したときに発生する。
- 3.海岸地帯におけるフラッシオーバの対策には,耐塩用がいしを使用すること又はがいし個数を増やすことがある。
- 4.鉄塔逆フラッシオーバを防止するため,架空地線の敷設により塔脚接地抵抗値を小さくする。
正解:4
解説
考え方
フラッシオーバとは,がいし連の絶縁が異常電圧に耐えきれず,がいしの表面などを通って放電してしまう現象です。各肢を確認します。
- 肢1(適当):アークホーンは,がいし連の両端に設けた金属電極で,雷サージのような大きな異常電圧のときは,がいしより先にホーン間で放電させて,がいしの破損を防ぎます。一方,遮断器の開閉サージ程度の内部異常電圧では放電しないよう,ホーンの間隔を設定します。
- 肢2(適当):フラッシオーバは,がいし連の絶縁耐力を上回る異常電圧(雷サージなど)が侵入したときに発生します。定義として正しい記述です。
- 肢3(適当):海岸地帯では塩分ががいし表面に付着して絶縁が低下し,フラッシオーバしやすくなります。対策として,耐塩用がいしの使用や,がいし個数の増加(絶縁強化)が行われます。
- 肢4(誤り):鉄塔に雷が直撃したとき,塔脚の接地抵抗が大きいと鉄塔の電位が上がり,鉄塔側から電線側へ逆向きに放電する「逆フラッシオーバ」が発生します。これを防ぐには塔脚接地抵抗を小さくする必要がありますが,その手段は地中に埋設する接地線(埋設地線,カウンターポイズ)の敷設です。架空地線は鉄塔上部に張って直撃雷から電線を遮へいするためのもので,架空地線を敷設しても塔脚の接地抵抗は小さくなりません。
答え:4
「架空地線=直撃雷の遮へい」「埋設地線=塔脚接地抵抗の低減=逆フラッシオーバ防止」と役割を対で覚えるのがポイントです。どちらも雷対策なので混同させる出題が繰り返されています。
No.20
電気設備交流の架空送電線路の線路定数に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.電線の抵抗は,電線相互の離隔距離に比例し,断面積に反比例する。
- 2.作用インダクタンスは,地中送電線路より大きくなる。
- 3.静電容量には,各相の対地静電容量と線間静電容量がある。
- 4.漏れコンダクタンスは,漏れ抵抗の逆数で,送電特性の計算上は省略されることが多い。
正解:1
解説
考え方
線路定数とは,送電線の電気的性質を表す4つの定数(抵抗・インダクタンス・静電容量・漏れコンダクタンス)のことです。各肢を確認します。
- 肢1(誤り):電線の抵抗は,電線の「長さに比例」し,断面積に反比例します。電線相互の離隔距離は抵抗には関係しません。離隔距離が影響するのはインダクタンスや静電容量です。定数どうしの性質を入れ替えたひっかけです。
- 肢2(適当):架空送電線は電線どうしの間隔が数m以上と広いため,作用インダクタンスは大きくなります。導体どうしが近接している地中送電線路(ケーブル)と比べると,架空線のインダクタンスの方が大きくなります。
- 肢3(適当):送電線の静電容量には,各相の電線と大地の間の対地静電容量と,電線どうしの間の線間静電容量があります。
- 肢4(適当):漏れコンダクタンスは,がいしの表面を伝う漏れ電流やコロナ放電による損失を表す定数で,漏れ抵抗の逆数です。値が非常に小さいため,送電特性の計算では省略されることが多い定数です。
答え:1
線路定数の覚え方は「抵抗=長さと断面積で決まる(配置は無関係)」「インダクタンス・静電容量=電線の配置(離隔距離)で決まる」です。架空線と地中ケーブルの比較では,インダクタンスは架空線が大,静電容量はケーブルが大,という対の関係も頻出なので合わせて押さえておきましょう。
No.21
電気設備交流の地中送電線路における電力ケーブルの常時許容電流を増大させる方法に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.ケーブルを冷却する。
- 2.導体抵抗を小さくする。
- 3.誘電正接の大きい絶縁体を使用する。
- 4.常時最高許容温度が高い絶縁材料を使用する。
正解:3
解説
考え方
地中送電線路のケーブルの許容電流は,ケーブル内部で発生する熱(損失)と,その熱の逃げやすさで決まります。発熱を減らすか,冷却をよくすれば許容電流を増やせます。各肢を確認します。
- 肢1(適当):ケーブルを水などで直接・間接に冷却すれば,導体温度の上昇が抑えられるため,より大きな電流を流せます。
- 肢2(適当):導体抵抗を小さくすれば(導体断面積を大きくする,導電率の高い材料を使うなど),同じ電流でも発熱(抵抗損=I²R)が減るため,許容電流を増やせます。
- 肢3(不適当):誘電正接(tanδ,タンデルタ)は,絶縁体の中で電気エネルギーが熱として失われる度合いを表す値です。誘電正接が大きい絶縁体を使うと誘電体損(絶縁体内の発熱)が増え,ケーブルの温度が上がって許容電流はむしろ減少します。許容電流を増やすには誘電正接の「小さい」絶縁体を使うのが正しく,大小が逆の記述です。
- 肢4(適当):常時最高許容温度の高い絶縁材料(例えば架橋ポリエチレンは90 ℃)を使えば,導体温度をより高くまで許せるため,許容電流を増やせます。
答え:3
許容電流の問題は「発熱を減らす・熱を逃がす・高温に耐える」の3方向で整理すると解きやすくなります。誘電正接は「小さいほど良い絶縁体」なので,「大きい」と書かれていたら損失を増やす方向=誤り,と判断できます。
No.22
電気設備高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合において,異常時に分散型電源を自動的に解列する箇所として,「電気設備の技術基準とその解釈」上,定められていないものはどれか。
- 1.受電用遮断器
- 2.分散型電源の出力端に設置する遮断器
- 3.分散型電源の連絡用遮断器
- 4.変圧器保護用遮断器
正解:4
解説
考え方
太陽光発電や自家用発電機などの分散型電源を電力系統に連系している場合,系統側や電源側に異常が起きたときは,分散型電源を系統から自動的に切り離す(解列する)必要があります。電気設備の技術基準の解釈では,高圧連系時の解列箇所として次の4つが定められています。
- 受電点(受電用遮断器)
- 分散型電源の出力端に設置する遮断器又はこれと同等の機能を有する装置
- 分散型電源の連絡用遮断器
- 母線連絡用遮断器
各肢を確認すると,肢1「受電用遮断器」,肢2「分散型電源の出力端に設置する遮断器」,肢3「分散型電源の連絡用遮断器」はいずれも上記に定められた解列箇所です。
肢4の「変圧器保護用遮断器」は,変圧器の過負荷や内部故障からその変圧器を守るための遮断器であり,分散型電源の解列箇所としては定められていません。
答え:4
解列箇所は「分散型電源と系統の間の電気の通り道を断てる場所」が選ばれていると考えると覚えやすくなります。変圧器保護用遮断器はあくまで機器保護のためのもので,解列の役割を担う場所ではない,という切り分けがポイントです。受電用・出力端・連絡用・母線連絡用の4つをセットで記憶しておきましょう。
No.23
電気設備地中電線路における高圧ケーブルの故障点測定法として,最も不適当なものはどれか。
- 1.静電容量法
- 2.部分放電法
- 3.マーレーループ法
- 4.パルスレーダ法
正解:2
解説
考え方
地中ケーブルに事故が起きたとき,掘り返す前に故障点の位置(距離)を電気的に特定する方法が故障点測定法です。各肢を確認します。
- 肢1(適当):静電容量法は,ケーブルの静電容量が長さに比例することを利用し,断線した心線の静電容量を健全な心線と比較して,断線点までの距離を求める方法です。断線事故の測定に用いられます。
- 肢2(不適当):部分放電法は,絶縁体の内部の小さな空隙などで起こる微弱な放電(部分放電)を検出して,絶縁の劣化状態を診断する方法です。これはケーブルの「劣化診断法」であり,故障点の位置を測定する方法ではありません。
- 肢3(適当):マーレーループ法は,ホイートストンブリッジの原理を利用した方法で,地絡事故点までの導体抵抗の比から故障点距離を求めます。地絡事故の故障点測定の代表的な方法です。
- 肢4(適当):パルスレーダ法は,ケーブルにパルス電圧を送り込み,故障点で反射して戻ってくるまでの時間から距離を求める方法です。断線・地絡・短絡など幅広い故障に適用できます。
答え:2
この問題のポイントは「故障点測定法(どこで事故が起きたかを探す)」と「劣化診断法(どれくらい傷んでいるかを調べる)」の区別です。部分放電法のほか,絶縁抵抗測定や直流漏れ電流法なども劣化診断の仲間です。マーレーループ法=地絡,静電容量法=断線,パルスレーダ法=万能型,と対応づけて覚えましょう。
No.24
電気設備架空送電線路における劣化がいしの検出方法として,最も不適当なものはどれか。
- 1.ギャップ放電式
- 2.ネオン管式
- 3.音響式
- 4.ターンバックル式
正解:4
解説
考え方
架空送電線路のがいしは,製造時の欠陥や雷撃などにより絶縁性能が低下(劣化)することがあります。がいし連の中から劣化した不良がいしを見つけ出す検出方法を問う問題です。各肢を確認します。
- 肢1(適当):ギャップ放電式は,放電ギャップを持つ検出器をがいしに当て,がいしが分担している電圧によるギャップの放電の有無・状態から,劣化がいしを見つける方法です。健全ながいしは電圧を分担して放電しますが,劣化がいしは分担電圧が小さく放電しません。
- 肢2(適当):ネオン管式は,ネオン管をつないだ検出器をがいしに当て,ネオン管の点灯の有無で劣化がいしを判別する方法です。原理はギャップ放電式と同様で,分担電圧の低下を検出します。
- 肢3(適当):音響式は,がいし表面の放電音などを検出して劣化がいしを判別する方法です。
- 肢4(不適当):ターンバックルは,支線やワイヤの張力(張り具合)を調整するためのねじ式の金具です。がいしの劣化検出とは全く関係のない架線金物であり,検出方法ではありません。
答え:4
劣化がいしの検出は「劣化すると分担電圧が下がる」ことを利用するのが基本原理です。ギャップ放電式・ネオン管式・音響式のほか,絶縁抵抗を測る方法もあります。ターンバックルのような金物の名称を検出法らしく紛れ込ませるのは定番のひっかけなので,用語の役割まで正確に覚えておきましょう。
No.25
電気設備間口 18 m,奥行 16 m,天井高さ 2.6 m の事務室の天井に LED 照明器具を設置する。机上面の平均照度を 750 lx とするために,光束法により算出される LED 照明器具の台数として,正しいものはどれか。ただし,LED 照明器具 1 台の定格光束は 7 500 lm,照明率は 0.9,保守率は 0.8 とする。
- 1.30 台
- 2.40 台
- 3.50 台
- 4.60 台
正解:2
解説
考え方
光束法は,部屋全体の平均照度から必要な照明器具の台数を求める計算方法です。平均照度E〔lx〕,器具1台の光束F〔lm〕,台数N,照明率U,保守率M,床面積A〔m²〕の間には次の関係があります。
E=F×N×U×M/A
これを台数Nについて解くと,
N=E×A/(F×U×M)
照明率Uは器具から出た光のうち作業面に届く割合,保守率Mは汚れやランプの光束減退による照度低下の見込みです。どちらも1より小さい値で,分母に入るため,その分だけ多くの台数が必要になります。
計算
E=750 lx,A=18×16=288 m²,F=7 500 lm,U=0.9,M=0.8として,
N=750×288/(7 500×0.9×0.8)
分子:750×288=216 000
分母:7 500×0.9×0.8=5 400
N=216 000/5 400=40 台
答え:2 40 台
光束法の計算は,公式の分子・分母のどちらに何が入るかを正確に覚えることが全てです。「E×A(必要な光の総量)を,1台が実際に届けられる光F×U×M で割る」とイメージすると忘れません。照明率や保守率を掛け忘れると台数が少なく出てしまい(この問題では約29台),実際の設計では照度不足になります。天井高さ2.6 mは計算には使わないダミーの数値である点にも注意しましょう。
No.26
電気設備コンセント専用の回路に関する記述として,「電気設備の技術基準とその解釈」上,誤っているものはどれか。ただし,配線は長さ 10 m のビニル絶縁電線(IV),コンセントの施設数は 1 個とし,許容電流の低減は考慮しないものとする。
- 1.定格電流 15 A の配線用遮断器に,定格電流 15 A のコンセントを接続し,配線の軟銅線の太さは直径 1.6 mm とした。
- 2.定格電流 20 A の配線用遮断器に,定格電流 20 A のコンセントを接続し,配線の軟銅線の太さは直径 2.0 mm とした。
- 3.定格電流 30 A の配線用遮断器に,定格電流 30 A のコンセントを接続し,配線の軟銅線の太さは断面積 5.5 mm² とした。
- 4.定格電流 50 A の配線用遮断器に,定格電流 50 A のコンセントを接続し,配線の軟銅線の太さは断面積 8 mm² とした。
正解:4
解説
考え方
電気設備の技術基準の解釈第149条では,低圧分岐回路について,過電流遮断器の定格電流に応じたコンセントの定格と電線の太さ(軟銅線)の最小値が定められています。主な組合せは次のとおりです。
- 15 A分岐回路:電線は直径1.6 mm以上
- 20 A分岐回路(配線用遮断器):電線は直径1.6 mm以上
- 30 A分岐回路:電線は直径2.6 mm(断面積5.5 mm²)以上
- 40 A分岐回路:電線は断面積8 mm²以上
- 50 A分岐回路:電線は断面積14 mm²以上
各肢を確認します。
- 肢1(正しい):15 A回路に直径1.6 mm。基準どおりです。
- 肢2(正しい):20 A配線用遮断器の回路に直径2.0 mm。基準(1.6 mm以上)を満たします。
- 肢3(正しい):30 A回路に断面積5.5 mm²。直径2.6 mm相当であり基準を満たします。
- 肢4(誤り):50 A回路の電線は断面積14 mm²以上が必要です。8 mm²では不足しており,基準に適合しません。8 mm²で足りるのは40 A分岐回路までです。
答え:4
分岐回路の太さは「15・20 Aは1.6 mm,30 Aは2.6 mm(5.5 mm²),40 Aは8 mm²,50 Aは14 mm²」と段階的に覚えます。この問題のように,1つ下のランクの太さを当てはめて誤りを作るパターンが典型なので,40 Aと50 Aの区切りを特に意識しておきましょう。
No.27
電気設備低圧電路に施設する過電流遮断器の性能等に関する記述として,「電気設備の技術基準とその解釈」上,誤っているものはどれか。ただし,低圧電路は,電動機のみに至る低圧分岐回路とする。
- 1.短絡保護専用遮断器の整定電流は,定格電流の 13 倍以下であること。
- 2.短絡保護専用遮断器は,整定電流の 1.0 倍の電流を通じた場合において,0.2 秒以内に自動的に動作すること。
- 3.短絡保護専用ヒューズは,定格電流の 1.3 倍の電流に耐えること。
- 4.短絡保護専用ヒューズは,整定電流の 10 倍の電流を通じた場合において,20 秒以内に溶断すること。
正解:2
解説
考え方
電動機のみに至る低圧分岐回路では,電動機の始動電流(定格の数倍の電流が短時間流れる)で保護装置が誤って動作しないよう,過負荷保護は別の装置(熱動継電器など)に任せ,短絡保護専用の遮断器やヒューズを施設できます。電気設備の技術基準の解釈第33条では,その性能が定められています。各肢を確認します。
- 肢1(正しい):短絡保護専用遮断器の整定電流は,定格電流の13倍以下と定められています。始動電流では動作せず,短絡電流では確実に動作する範囲として設定されています。
- 肢2(誤り):短絡保護専用遮断器は,整定電流の1倍の電流を通じた場合に「自動的に動作しないこと」が要件です。整定値ちょうどの電流で動作してしまうと,始動電流などで不要動作するおそれがあるためです。「1.0倍の電流で0.2秒以内に自動的に動作すること」は要件と正反対の記述で誤りです。
- 肢3(正しい):短絡保護専用ヒューズは,定格電流の1.3倍の電流に耐えることと定められています。
- 肢4(正しい):短絡保護専用ヒューズは,整定電流の10倍の電流を通じた場合に20秒以内に溶断することと定められています。
答え:2
短絡保護「専用」の装置は,過負荷では動作せず,短絡のときだけ動作するのが役割です。「整定電流の1倍で動作しない」という一見不思議な要件も,過負荷保護は別の装置が受け持つという役割分担を理解していれば納得できます。数値(13倍・1.3倍・10倍20秒)はまとめて覚えておきましょう。
No.28
電気設備機械器具に接続する回路において,地絡遮断装置を省略できるものとして,「電気設備の技術基準とその解釈」上,誤っているものはどれか。ただし,機械器具には簡易接触防護措置は施されていないものとする。
- 1.乾燥した場所に施設する三相 200 V の機械器具に電気を供給する電路
- 2.水気のある場所以外に施設する単相 100 V の電熱器に電気を供給する電路
- 3.接地抵抗値が 10 Ω の D 種接地工事が施された三相 200 V の電動機に電気を供給する電路
- 4.電気用品安全法の適用を受ける単相 100 V の二重絶縁構造の電動工具に電気を供給する電路
正解:3
解説
考え方
電気設備の技術基準の解釈第36条では,金属製外箱を持つ使用電圧60 Vを超える低圧の機械器具に接続する電路には,原則として地絡遮断装置(漏電遮断器)を施設することとし,感電の危険が小さい場合の省略条件を定めています。各肢を確認します。
- 肢1(正しい):機械器具を乾燥した場所に施設する場合は省略できます。乾燥した場所では感電の危険性が低いためです。
- 肢2(正しい):機械器具の対地電圧が150 V以下で,水気のある場所以外の場所に施設する場合は省略できます。単相100 Vの電熱器はこれに該当します。
- 肢3(誤り):機械器具に施されたC種又はD種接地工事の接地抵抗値が「3 Ω以下」の場合は省略できると定められています。接地抵抗値10 ΩのD種接地工事では,この条件を満たさないため省略できません。D種接地工事自体の基準(100 Ω以下)は満たしていても,地絡遮断装置の省略にはより厳しい3 Ω以下という条件が課されている点がポイントです。
- 肢4(正しい):電気用品安全法の適用を受ける二重絶縁構造の機械器具は,構造的に感電のおそれが小さいため省略できます。
答え:3
「D種接地がしてあれば漏電遮断器は不要」と思い込ませるひっかけです。省略できるのは接地抵抗3 Ω以下という特に良好な接地の場合だけで,通常のD種接地(100 Ω以下)では省略できません。乾燥した場所・対地電圧150 V以下・二重絶縁・3 Ω以下の接地,という省略条件のセットで整理しておきましょう。
No.29
電気設備高圧受電設備に用いる変圧器において,油入変圧器と比較したモールド変圧器の特徴に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.騒音,振動が大きい。
- 2.温度上昇限度値が高い。
- 3.巻線部が樹脂で覆われており,感電の危険性が低い。
- 4.難燃性の材料を使用しており,火災の危険性が低い。
正解:3
解説
考え方
モールド変圧器は,巻線をエポキシ樹脂で固めた(モールドした)乾式の変圧器で,高圧受電設備で広く使われています。油入変圧器と比較した特徴を各肢で確認します。
- 肢1(適当):モールド変圧器は,絶縁油や外箱による遮音効果がないため,油入変圧器に比べて騒音・振動が大きくなる傾向があります。
- 肢2(適当):モールド変圧器は耐熱クラスの高い絶縁材料(F種・H種など)を使用しているため,温度上昇限度値は油入変圧器(A種絶縁)より高く設定されています。
- 肢3(不適当):モールド変圧器の樹脂表面は,内部の巻線(充電部)と静電的に結合しているため,運転中は表面が電位を持ちます。樹脂で覆われていても触れると感電の危険があり,「感電の危険性が低い」とはいえません。実際,設置の際は充電部とみなして接近防止の措置が必要とされています。
- 肢4(適当):絶縁油を使わず,難燃性・自己消火性のエポキシ樹脂を使用しているため,油入変圧器に比べて火災の危険性は低くなります。屋内や防災上重要な建物で採用される理由の一つです。
答え:3
「樹脂で覆われている=触っても安全」という直感に訴えるひっかけです。モールド変圧器の表面は運転中は帯電しているものとして扱う,という点は施工・保守の実務でも重要な知識です。難燃性(火災に強い)と感電の安全性は別の話であることを区別して覚えましょう。
No.30
電気設備キュービクル式高圧受電設備に関する記述として,「日本産業規格(JIS)」上,誤っているものはどれか。
- 1.高圧引出しを行う場合,引出し形断路器を使用すれば断路器を省略できる。
- 2.配線の引込口,引出口のすき間を塞ぐために,厚さ 2 mm の合成樹脂製のプレートを取り付ける。
- 3.PF・S 形の主遮断装置は,高圧交流負荷開閉器と限流ヒューズとを組み合わせたもの,又は一体としたものとする。
- 4.主遮断装置の形式が CB 形の場合,受電設備容量は 4 000 kV・A 以下である。
正解:2
解説
考え方
キュービクル式高圧受電設備は,受電設備一式を金属製の箱(外箱)に収めたもので,その構造はJIS C 4620に定められています。各肢を確認します。
- 肢1(正しい):高圧引出しを行う場合,主遮断装置などに引出し形(断路が可能な構造の)機器を使用すれば,別置きの断路器を省略できます。引き出すことで断路器と同じ「切り離し」の機能が確保できるためです。
- 肢2(誤り):配線の引込口・引出口のすき間は,小動物の侵入などを防ぐために塞ぎますが,そのプレートには金属製などの不燃性・難燃性の材料を使用する必要があります。難燃性の確認のない単なる合成樹脂製のプレートは,厚さ2 mmであっても認められません。厚さではなく材質が不適合です。
- 肢3(正しい):PF・S形の主遮断装置は,高圧交流負荷開閉器(LBS)と限流ヒューズ(PF)とを組み合わせたもの,又は一体としたものです。ヒューズが短絡電流を遮断し,負荷開閉器が負荷電流の開閉を受け持ちます。
- 肢4(正しい):主遮断装置の形式による受電設備容量の上限は,CB形(遮断器形)が4 000 kV・A以下,PF・S形が300 kV・A以下と定められています。
答え:2
キュービクルの外箱まわりは「燃えない・燃え広がらない材料」が原則で,すき間を塞ぐ部材も例外ではありません。数値(CB形4 000 kV・A・PF・S形300 kV・A)は頻出なのでセットで暗記し,材質の規定は「合成樹脂ならOK」と早合点しないよう注意しましょう。
No.31
電気設備特別高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合において,系統連系用保護装置の略記号とリレー保護内容の組合せとして,「系統連系規程」上,不適当なものはどれか。
- 1.DSR ── 短絡方向
- 2.RPR ── 逆電力
- 3.UFR ── 周波数低下
- 4.OVGR ── 地絡過電流
正解:4
解説
考え方
特別高圧の電力系統に分散型電源(太陽光発電や自家用発電機など)を連系する場合,事故時に系統と発電設備を安全に切り離すため,「系統連系規程」で各種の保護リレーが定められています。略記号と保護内容の対応を確認します。
- 肢1のDSRは短絡方向継電器(Directional Short-circuit Relay)で,短絡事故を方向判別付きで検出します。組合せは正しいです。
- 肢2のRPRは逆電力継電器(Reverse Power Relay)で,発電設備から系統側へ電力が逆流(逆潮流)したことを検出します。組合せは正しいです。
- 肢3のUFRは周波数低下継電器(Under Frequency Relay)で,系統事故などによる周波数の低下を検出します。組合せは正しいです。
- 肢4のOVGRは地絡過電圧継電器(Over Voltage Ground Relay)で,検出するのは地絡事故時に生じる零相「電圧」の上昇です。「地絡過電流」を検出するのはOCGR(地絡過電流継電器)であり,組合せが誤っています。
答え:4 OVGR ── 地絡過電流
末尾の「GR」が付く継電器は地絡(アース側への漏れ)保護ですが,先頭が「OV」なら電圧,「OC」なら電流の検出です。略記号を分解して読む習慣をつけると,OVGRとOCGRの取り違えというひっかけに引っかからなくなります。
No.32
電気設備自家用発電設備に用いるディーゼル機関の冷却方式に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.直結ラジエータ冷却方式は,地震などにより補給水が断たれた場合,運転が不可能となる。
- 2.冷却塔方式は,機関より出た冷却水を冷却塔に導き,蒸発潜熱の作用により冷却する。
- 3.水槽循環冷却方式は,水槽への補給水が断たれた場合でも,水温が許容限度に上昇するまでは運転を継続できる。
- 4.熱交換冷却方式は,熱交換器の一次側(内燃機関本体側)には清水を使用するが,二次側には河川水などを使用することができる。
正解:1
解説
考え方
自家用発電設備のディーゼル機関は運転中に大量の熱を発生するため,冷却方式の特徴を押さえておく必要があります。
- 肢1の直結ラジエータ冷却方式は,機関に直結したファンでラジエータに風を送り,密閉回路内の冷却水を循環させて冷やす方式です。外部からの補給水を必要としない自己完結型なので,地震などで補給水が断たれても運転を継続できます。「運転が不可能となる」という記述は誤りで,むしろ断水時に強いことが防災用発電設備に採用される理由です。
- 肢2の冷却塔方式は,機関から出た温かい冷却水を冷却塔に導き,水の一部が蒸発するときに奪う熱(蒸発潜熱)で冷やす方式です。正しい記述です。
- 肢3の水槽循環冷却方式は,水槽の水を循環させて冷やす方式で,補給水が断たれても水槽の水温が許容限度に達するまでは運転を続けられます。正しい記述です。
- 肢4の熱交換冷却方式は,一次側(機関本体側)に清水を使い,二次側に河川水などを使える方式です。正しい記述です。
答え:1 直結ラジエータ冷却方式は,地震などにより補給水が断たれた場合,運転が不可能となる。
「補給水が断たれると運転できない」のは冷却塔方式など蒸発や補給を前提とする方式の弱点です。直結ラジエータ方式は密閉循環で補給水いらず,という長所と短所を入れ替えるひっかけに注意しましょう。
No.33
電気設備無停電電源装置(UPS)に関する記述として,「日本産業規格(JIS)」上,誤っているものはどれか。
- 1.インバータは,直流電力を交流電力に変換する半導体電力変換装置である。
- 2.切換時間は,切換スイッチが切換動作を開始してから,出力量の切換が完了するまでの時間である。
- 3.常時商用給電方式は,通常運転時,インバータは蓄電池運転状態であり,負荷電力がインバータを経由して供給される給電方式である。
- 4.並列冗長UPSは,複数のUPSユニットで並列運転を行い,1台以上のUPSユニットが故障したとき,残りのUPSユニットで全負荷を負うことができるシステムである。
正解:3
解説
考え方
UPS(無停電電源装置)に関するJIS(JIS C 4411)の用語を問う問題です。
- 肢1のとおり,インバータは直流電力を交流電力に変換する半導体電力変換装置です。正しい記述です。
- 肢2の切換時間は,切換スイッチが切換動作を開始してから出力の切換が完了するまでの時間と定義されています。正しい記述です。
- 肢3の常時商用給電方式は,通常運転時は「商用電源から直接」負荷に電力を供給し,停電などの異常時にインバータ側(蓄電池運転)へ切り換える方式です。設問の「通常運転時,インバータは蓄電池運転状態であり,負荷電力がインバータを経由して供給される」という説明は,常時インバータ給電方式の内容であり,誤りです。
- 肢4の並列冗長UPSは,複数のUPSユニットを並列運転し,1台以上が故障しても残りのユニットで全負荷をまかなえるシステムです。正しい記述です。
答え:3 常時商用給電方式は,通常運転時,インバータは蓄電池運転状態であり,負荷電力がインバータを経由して供給される給電方式である。
「常時商用」=ふだんは商用電源そのまま,「常時インバータ」=ふだんからインバータ経由,と名前のとおりに覚えるのがコツです。2つの方式の説明を入れ替えるひっかけは頻出です。
No.34
電気設備低圧電路に施設する機械器具の金属製の台及び外箱の接地工事を省略できる場合の記述として,「電気設備の技術基準とその解釈」上,誤っているものはどれか。ただし,機械器具が小規模発電設備の燃料電池発電設備である場合を除く。
- 1.交流の対地電圧が 200 V の機械器具を,乾燥した場所に施設する場合
- 2.外箱のない計器用変成器がゴム,合成樹脂その他の絶縁物で被覆したものである場合
- 3.機械器具を乾燥した木製の床その他これに類する絶縁性のものの上で取り扱うように施設する場合
- 4.水気のある場所以外の場所に,電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器で,定格感度電流 15 mA,動作時間 0.1 秒,電流動作型のものを施設する場合
正解:1
解説
考え方
低圧の機械器具の金属製の台・外箱には原則として接地工事が必要ですが,「電気設備の技術基準とその解釈」(第29条)では感電の危険が小さい場合に省略を認めています。省略できる条件を各肢と照合します。
- 肢1:接地を省略できるのは「交流の対地電圧が150 V以下」の機械器具を乾燥した場所に施設する場合です。対地電圧200 Vでは省略できないため,誤りです。
- 肢2:外箱のない計器用変成器がゴム・合成樹脂その他の絶縁物で被覆されている場合は省略できます。正しい記述です。
- 肢3:乾燥した木製の床など絶縁性のものの上で取り扱うように施設する場合は省略できます。正しい記述です。
- 肢4:水気のある場所以外に施設し,電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器(定格感度電流15 mA以下,動作時間0.1秒以下,電流動作型)を施設する場合は省略できます。定格感度電流15 mA・動作時間0.1秒はこの条件を満たすので,正しい記述です。
答え:1 交流の対地電圧が 200 V の機械器具を,乾燥した場所に施設する場合
「乾燥した場所なら省略できる」と場所だけで判断させて,電圧の条件(150 V以下)を見落とさせるひっかけです。数値条件(150 V以下・15 mA以下・0.1秒以下)はセットで正確に覚えましょう。
No.35
電気設備建築物の中央監視制御装置の機能に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.スケジュール制御は,設定したタイムスケジュール(曜日,日時等を含む)に従い,登録した機器の自動発停制御を行う。
- 2.機器稼働履歴監視は,機器の運転時間,運転回数,故障回数等を積算し,設定した値を超えた場合,表示装置に表示し警報を発する。
- 3.グラフィック表示は,設備ごと又は階ごとの系統図,平面図を表示装置に出力し,機器の状態,警報,計測値をシンボルの色変化,点滅等で行うとともに,計測値をデジタル表示する。
- 4.自動力率制御は,警報が発せられた場合に,設定された優先順位に従って負荷の遮断及び復帰を行う。
正解:4
解説
考え方
建築物の中央監視制御装置は,建物内の電気・空調・衛生設備などをまとめて監視・制御する装置です。機能の名称と説明の対応を確認します。
- 肢1のスケジュール制御は,曜日・日時などのタイムスケジュールに従って登録機器を自動発停する機能です。正しい記述です。
- 肢2の機器稼働履歴監視は,運転時間・運転回数・故障回数などを積算し,設定値を超えたら表示・警報する機能です。正しい記述です。
- 肢3のグラフィック表示は,系統図や平面図を画面に出し,機器の状態・警報・計測値を色変化や点滅,デジタル表示で示す機能です。正しい記述です。
- 肢4の自動力率制御は,進相コンデンサなどの投入・開放を自動で行い,受電端の力率を目標値に保つ機能です。設問の「警報が発せられた場合に,優先順位に従って負荷の遮断及び復帰を行う」という説明は,契約電力超過を防ぐデマンド制御(電力デマンド監視制御)の内容であり,誤りです。
答え:4 自動力率制御は,警報が発せられた場合に,設定された優先順位に従って負荷の遮断及び復帰を行う。
「力率制御=コンデンサの入り切り」「デマンド制御=負荷の遮断・復帰」と対で覚えておくと,機能名と説明を入れ替えるひっかけをすぐ見抜けます。
No.36
電気設備自動火災報知設備の配線工事に関する記述として,「消防法」上,誤っているものはどれか。ただし,P型受信機は,配線の外れ又は断線があった場合に自動的に警報を発する機能がないものとする。
- 1.P型受信機に接続する感知器の信号配線を送り配線とし,回路の末端に終端器を設ける。
- 2.R型受信機に接続される固有の信号を有する感知器及び中継器から受信機までの配線は,耐熱性を有する電線を使用する。
- 3.R型受信機の電源線を誘導灯の配線から分岐し,開閉器には専用のものである旨を表示する。
- 4.P型受信機とR型受信機のいずれも,地区音響装置までの配線は,耐熱性を有する電線を使用する。
正解:3
解説
考え方
自動火災報知設備の配線は,消防法令(消防法施行規則第24条など)で細かく定められています。
- 肢1:P型受信機に接続する感知器の信号回路は,断線を導通試験で確認できるよう送り配線とし,回路の末端に終端器(終端抵抗)を設けます。正しい記述です。
- 肢2:R型受信機に接続される固有の信号を有する感知器(アナログ式など)や中継器から受信機までの配線は,耐熱配線とします。正しい記述です。
- 肢3:受信機の電源回路は専用回路としなければならず,他の設備の配線から分岐してはいけません。誘導灯の配線から分岐する記述は誤りです(開閉器に専用である旨を表示するだけでは足りません)。
- 肢4:地区音響装置(非常ベルなど)までの配線は,火災時にも鳴動を続けられるよう耐熱配線とします。P型・R型のどちらの受信機でも同じで,正しい記述です。
答え:3 R型受信機の電源線を誘導灯の配線から分岐し,開閉器には専用のものである旨を表示する。
「専用の表示をすれば分岐してよい」と読ませるひっかけです。火災受信機の電源はそもそも専用回路が原則で,表示は専用回路にしたうえで行うもの,という順序を押さえておきましょう。
No.37
電気設備非常用の進入口又はその近くに設ける赤色灯に関する記述として,「建築基準法」上,誤っているものはどれか。
- 1.常時は消灯,非常時は点灯(フリッカー状態を含む)する構造とすること。
- 2.一般の者が容易に電源を遮断することができる開閉器を設けないこと。
- 3.進入口又はその近くに,外部から見やすい方法で赤色灯の標識を掲示すること。
- 4.常用の電源が断たれた場合に自動的に切り替えられて接続される予備電源を設けること。
正解:1
解説
考え方
非常用の進入口は,火災時に消防隊が外部から建物内へ進入するための開口部で,その位置を知らせる赤色灯の構造は建築基準法令(建設省告示)で定められています。
- 肢1:赤色灯は,消防隊がいつでも進入口の位置を確認できるよう「常時点灯」(フリッカー状態=点滅を含む)している構造とします。「常時は消灯,非常時は点灯」という記述は逆で,誤りです。
- 肢2:一般の者が容易に電源を遮断できる開閉器を設けてはいけません。いたずらなどで消灯してしまうのを防ぐためで,正しい記述です。
- 肢3:進入口またはその近くには,外部から見やすい方法で赤色灯の標識を掲示します。正しい記述です。
- 肢4:常用電源が断たれた場合に自動的に切り替わる予備電源を設けます。停電時こそ火災の可能性があるためで,正しい記述です。
答え:1 常時は消灯,非常時は点灯(フリッカー状態を含む)する構造とすること。
誘導灯や非常照明のように「非常時に働く」イメージから,赤色灯も非常時だけ点灯すると思い込ませるひっかけです。赤色灯は進入口の目印として常時点灯,と例外的な扱いを覚えておきましょう。
No.38
電気設備マイクロホンの選定に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.対談の収録に使用するため,両指向性マイクロホンを選定した。
- 2.誘導雑音レベルが高い場所に使用するため,出力方式が不平衡型のマイクロホンを選定した。
- 3.スタジオでピアノ演奏の録音に使用するため,コンデンサマイクロホン(エレクトレット形)を選定した。
- 4.講堂での一般的なスピーチに使用するため,ムービングコイルマイクロホン(ダイナミック形)を選定した。
正解:2
解説
考え方
マイクロホンは,音を拾う方向の特性(指向性),信号の送り方(平衡型・不平衡型),音を電気に変える方式(ダイナミック形・コンデンサ形)で使い分けます。
- 肢1:両指向性マイクロホンは正面と背面の2方向の感度が高く,向かい合って話す対談の収録に適しています。正しい選定です。
- 肢2:誘導雑音(周囲の電源や機器から配線に飛び込むノイズ)レベルが高い場所では,2本の信号線に逆相で信号を送り雑音を打ち消せる「平衡型」を選定します。不平衡型は雑音の影響を受けやすいため,この選定は誤りです。
- 肢3:コンデンサマイクロホン(エレクトレット形)は周波数特性が広く感度が高いため,スタジオでのピアノ演奏の録音に適しています。正しい選定です。
- 肢4:ムービングコイルマイクロホン(ダイナミック形)は構造が丈夫で電源不要,取扱いが容易なため,講堂での一般的なスピーチに適しています。正しい選定です。
答え:2 誘導雑音レベルが高い場所に使用するため,出力方式が不平衡型のマイクロホンを選定した。
「雑音が多い場所→平衡型」は音響設備の基本です。平衡と不平衡を入れ替えるだけの素直なひっかけなので,平衡型=雑音に強い,を確実に覚えておきましょう。
No.39
電気設備図に示すテレビ共同受信設備において,増幅器出口からテレビ端子Aの出力端子までの総合損失として,正しいものはどれか。ただし,条件は,次のとおりとする。増幅器出口からテレビ端子Aまでの同軸ケーブルの長さ:20 m,同軸ケーブルの損失:0.5 dB/m,2分岐器の挿入損失:5.0 dB,2分岐器の結合損失:10.0 dB,4分配器の分配損失:10.0 dB,4分配器の端子間結合損失:15.0 dB,テレビ端子の挿入損失:1.0 dB

- 1.16.0 dB
- 2.26.0 dB
- 3.36.0 dB
- 4.51.0 dB
正解:2
解説
考え方
図は,増幅器の出口から同軸ケーブルが下り,途中の2分岐器(幹線から一部の信号を分けて取り出す機器)を通過し,その先の4分配器(信号を4つに等分する機器)の出力からテレビ端子Aにつながる系統です。
総合損失は,信号が実際に通る経路上の損失だけを足し合わせます。テレビ端子Aまでの経路で生じる損失は次の4つです。
- 同軸ケーブルの損失(20 mぶん)
- 2分岐器を幹線方向に通り抜けるときの「挿入損失」
- 4分配器で信号を分けるときの「分配損失」
- テレビ端子の挿入損失
2分岐器の「結合損失」(分岐出力側に取り出すときの損失)や,4分配器の「端子間結合損失」(出力端子どうしの間の減衰)は,この経路では通らないので使いません。
計算
- 同軸ケーブル:0.5 dB/m×20 m=10.0 dB
- 2分岐器の挿入損失:5.0 dB
- 4分配器の分配損失:10.0 dB
- テレビ端子の挿入損失:1.0 dB
総合損失=10.0+5.0+10.0+1.0=26.0 dB
答え:2 26.0 dB
分岐器は「通過なら挿入損失,分岐出力に取り出すなら結合損失」と使い分けるのがポイントです。結合損失10.0 dBや端子間結合損失15.0 dBを足してしまうと肢3・肢4の値に誘導されるので,図で信号の通り道を指でなぞってから計算しましょう。
No.40
電気設備電車線路のトロリ線に関する用語の定義として,「日本産業規格(JIS)」上,誤っているものはどれか。
- 1.高さとは,トロリ線のレール面に対する垂直な高さのことをいう。
- 2.勾配とは,支持点から次の支持点までの架空電車線の区間のことをいう。
- 3.サグとは,トロリ線の支持点の高さと径間中央点の高さとの差のことをいう。
- 4.架高とは,支持点におけるちょう架線とトロリ線との間の垂直距離のことをいう。
正解:2
解説
考え方
トロリ線は,電車のパンタグラフが直接接触して電気を受け取る電線です。JIS(JIS E 2001)に定められた用語の定義を確認します。
- 肢1:高さとは,トロリ線のレール面に対する垂直な高さのことです。正しい記述です。
- 肢2:設問の「支持点から次の支持点までの架空電車線の区間」は「径間(スパン)」の定義です。勾配とは,トロリ線のレール面に対する傾き,すなわち隣り合う支持点間の高さの差を径間の長さで割った割合のことなので,誤りです。
- 肢3:サグ(弛度)とは,トロリ線の支持点の高さと径間中央点の高さとの差,つまり電線のたるみの量のことです。正しい記述です。
- 肢4:架高とは,支持点におけるちょう架線(トロリ線を吊るために上に張る電線)とトロリ線との間の垂直距離のことです。正しい記述です。
答え:2 勾配とは,支持点から次の支持点までの架空電車線の区間のことをいう。
「勾配」に距離(区間)の定義をあてがう入替え型のひっかけです。勾配=傾き(高低差の割合),径間=支持点間の区間,サグ=たるみ,架高=ちょう架線とトロリ線の間隔,と4つの用語をセットで整理しておきましょう。
No.41
電気設備電気鉄道の直流き電方式に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.レール漏れ電流により,周辺の埋設金属体に電食が発生する。
- 2.隣接する変電所と並列にき電する方式が,標準的に用いられている。
- 3.回生電力失効対策として,複線区間では上下線一括き電が有効である。
- 4.三相電力をシリコン整流器で直流電力に変成するため,三相回路の電圧不平衡対策が必要である。
正解:4
解説
考え方
き電方式とは,変電所から電車線路へ電力を送る方式のことで,直流き電と交流き電で特徴が異なります。
- 肢1:直流き電では帰線(レール)を流れる電流の一部が大地に漏れ,周辺の埋設金属体(水道管やガス管など)から流出する箇所で金属が溶け出す「電食」が発生します。正しい記述です。
- 肢2:直流き電では,隣接する変電所どうしを電気的につないで並列にき電する方式が標準的に用いられています。電圧降下の軽減や負荷分担に有利だからです。正しい記述です。
- 肢3:回生ブレーキで発生した電力を受け取る電車が近くにいないと回生が失効します。複線区間で上下線を一括してき電すれば,反対方向の電車も回生電力を消費でき,失効対策として有効です。正しい記述です。
- 肢4:三相電力をシリコン整流器で直流に変換する際は,三相をほぼ均等に使うため電圧不平衡は問題になりません。電圧不平衡対策が必要になるのは,単相負荷である交流き電方式の課題です。誤りです。
答え:4 三相電力をシリコン整流器で直流電力に変成するため,三相回路の電圧不平衡対策が必要である。
「電圧不平衡対策(スコット結線変圧器など)=交流き電」「電食対策=直流き電」と,方式ごとの代表的な課題を対で覚えておくと,入替え型のひっかけに強くなります。
No.42
電気設備電気鉄道の交流電化区間に用いられている軌道回路として,最も不適当なものはどれか。
- 1.商用周波数軌道回路
- 2.分倍周軌道回路
- 3.83/100 Hz 軌道回路
- 4.AF 軌道回路
正解:1
解説
考え方
軌道回路は,レールに信号電流を流して列車の在線(その区間に列車がいること)を検知する設備です。き電電流(電車を動かす電流)が信号電流に混ざって誤動作しないよう,電化方式に応じて信号電流の周波数を選ぶ必要があります。
交流電化区間のき電電流は商用周波数(50 Hzまたは60 Hz)です。このため,信号電流にも商用周波数を使う「商用周波数軌道回路」を交流電化区間で使うと,き電電流と信号電流の区別がつかず誤動作のおそれがあり,使用できません。商用周波数軌道回路が使えるのは直流電化区間や非電化区間です。したがって肢1が不適当です。
- 肢2の分倍周軌道回路は,商用周波数を分周・倍周した周波数(25 Hzや100 Hzなど)を使い,き電電流と区別できるため交流電化区間に用いられます。
- 肢3の83/100 Hz軌道回路も,商用周波数とずらした周波数を使う交流電化区間用の軌道回路です。
- 肢4のAF軌道回路は,可聴周波数(オーディオ帯)の信号を使うもので,交流電化区間でも使用できます。
答え:1 商用周波数軌道回路
「き電電流と同じ周波数の信号は使えない」という一点を押さえれば解ける問題です。直流区間なら商用周波数が使え,交流区間では分倍周・AFなど周波数をずらした方式を使う,と整理しておきましょう。
No.43
電気設備道路施設の連続照明(ポール照明方式)における性能の確認に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.平均路面輝度は,逐点照度から算出した平均路面照度を,平均照度換算係数で除し,これに保守率を乗じた値が規定値以上であること。
- 2.総合均斉度は,灯具位置,間隔,高さ,取付角度等から逐点法による輝度計算によって得られた値が規定値以上であること。
- 3.視機能低下グレアは,灯具位置,間隔,高さ,取付角度等から相対閾値増加の計算によって得られた値が規定値以上であること。
- 4.誘導性は,運転者に対する光学的誘導効果について,灯具の配置が道路線形に合っていることを目視で確認すること。
正解:3
解説
考え方
道路の連続照明(ポール照明方式)では,路面の明るさや見え方の質を数値で確認します。各項目の判定の向き(規定値以上か以下か)がポイントです。
- 肢1:平均路面輝度(路面がどれだけ明るく見えるか)は,逐点照度から算出した平均路面照度を平均照度換算係数で除し,保守率を乗じた値が規定値以上であることを確認します。正しい記述です。
- 肢2:総合均斉度(路面の明るさのむらの少なさ)は,灯具の位置・間隔・高さ・取付角度などから輝度計算で求めた値が規定値以上であることを確認します。正しい記述です。
- 肢3:視機能低下グレア(まぶしさで物が見えにくくなる現象)は,相対閾値増加(TI)という指標で評価します。TIはまぶしさの度合いを表すので,小さいほど良く,計算値が規定値「以下」であることを確認します。「規定値以上」とする記述は誤りです。
- 肢4:誘導性(灯具の並びで道路の線形を運転者に知らせる効果)は,灯具の配置が道路線形に合っていることを目視で確認します。正しい記述です。
答え:3 視機能低下グレアは,灯具位置,間隔,高さ,取付角度等から相対閾値増加の計算によって得られた値が規定値以上であること。
輝度や均斉度は「大きいほど良い=規定値以上」,グレアは「小さいほど良い=規定値以下」です。判定の不等号の向きだけを入れ替えるひっかけは,指標の意味(良し悪しの方向)から考えれば見抜けます。
No.44
電気設備ツイストペアケーブルの測定項目とその測定方法に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.伝搬遅延は,4対の送信と受信の到達時間を測定する。
- 2.ワイヤマップは,8本の導体がそれぞれ正しく接続されているかを測定する。
- 3.反射減衰量は,ケーブルの送信端に信号を入力し,受信端で減衰量を測定する。
- 4.近端漏話減衰量は,任意の2対で,1対を送信回線,残りの1対を受信回線として,受信回線に漏れてくる送信側の受信レベルを測定する。
正解:3
解説
考え方
LAN配線に使うツイストペアケーブルの施工後試験に関する問題です。各測定項目の内容を確認します。
- 肢1:伝搬遅延は,信号が送信側から受信側に到達するまでの時間を4対それぞれについて測定するものです。正しい記述です。
- 肢2:ワイヤマップは,8本の導体が両端で正しいピンに接続されているか(断線・入れ替わり・短絡がないか)を確認する測定です。正しい記述です。
- 肢3:反射減衰量(リターンロス)は,ケーブルの特性インピーダンスの乱れによって送信端へ「反射して戻ってくる」信号の大きさを,信号を入力したのと同じ送信端で測定するものです。受信端で測るのは挿入損失(減衰量)であり,「受信端で減衰量を測定する」という記述は誤りです。
- 肢4:近端漏話減衰量は,任意の2対のうち1対を送信回線,もう1対を受信回線とし,送信側と同じ端(近端)で受信回線に漏れてくる信号レベルを測定するものです。正しい記述です。
答え:3 反射減衰量は,ケーブルの送信端に信号を入力し,受信端で減衰量を測定する。
「反射」という言葉のとおり,信号が跳ね返って戻ってくる量なので,測定するのは入力した側と同じ端です。反射減衰量(同じ端で測る)と挿入損失(反対の端で測る)の違いを押さえておきましょう。
No.45
関連分野空気調和設備に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.定風量単一ダクト方式は,間仕切り変更や負荷の増加に対応しやすい。
- 2.定風量単一ダクト方式は,送風量が一定のため,安定した空気質や気流分布を確保できる。
- 3.変風量単一ダクト方式は,送風量を室ごとに変化させることにより負荷変動に対応する。
- 4.変風量単一ダクト方式は,負荷変動に応じて送風量を制御するため,搬送エネルギーを低減できる。
正解:1
解説
考え方
単一ダクト方式の空調には,送風量を常に一定にする定風量(CAV)方式と,負荷に応じて送風量を変える変風量(VAV)方式があります。
- 肢1:定風量単一ダクト方式は,機械室の空調機から各室へ一定風量で送風する方式で,室ごとの細かな調整ができません。間仕切り変更や負荷の増加があるとダクトや空調機そのものの改修が必要になりやすく,「対応しやすい」という記述は誤りです。
- 肢2:定風量方式は送風量が常に一定なので,必要換気量を確保しやすく,安定した空気質や気流分布を得られます。正しい記述です。
- 肢3:変風量単一ダクト方式は,各室・各ゾーンのVAVユニットで送風量を変化させ,負荷変動に対応します。正しい記述です。
- 肢4:変風量方式は低負荷時に送風量を絞れるため,送風機の動力すなわち搬送エネルギーを低減できます。正しい記述です。
答え:1 定風量単一ダクト方式は,間仕切り変更や負荷の増加に対応しやすい。
「対応しやすい」のは風量を室ごとに変えられる変風量方式の長所です。定風量=空気質は安定するが融通が利かない,変風量=省エネで融通が利く,と長所を対比して覚えると,長所を入れ替えるひっかけに惑わされません。
No.46
関連分野建築物に設ける高置水槽方式の飲料用受水槽に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.清掃のため,受水槽底部に 1/100 程度の勾配を設けた。
- 2.オーバーフロー管は,害虫が侵入しないように排水管に直結した。
- 3.保守点検用のマンホールは,直径 60 cm の円が内接するものを設けた。
- 4.保守点検するもの以外の者が開閉しないように,マンホールは施錠できるものを設けた。
正解:2
解説
考え方
高置水槽方式では,水道水をいったん受水槽にため,ポンプで屋上の高置水槽へ送って給水します。受水槽は飲料水をためる設備なので,汚染防止の基準が細かく定められています。
- 肢1:清掃時に水を抜きやすいよう,受水槽の底部には1/100程度の勾配を設けます。正しい記述です。
- 肢2:オーバーフロー管(満水時にあふれた水を逃がす管)を排水管に直結すると,排水が逆流したり下水の臭気や害虫が受水槽に侵入したりして飲料水が汚染されるおそれがあります。排水管とは直結せず,排水口空間という隙間を設けた間接排水とし,管端には防虫網を設けます。「排水管に直結した」は誤りです。
- 肢3:保守点検用のマンホールは,人が出入りできるよう直径60 cmの円が内接する大きさ以上とします。正しい記述です。
- 肢4:保守点検する者以外が開閉できないよう,マンホールには施錠できる構造とします。正しい記述です。
答え:2 オーバーフロー管は,害虫が侵入しないように排水管に直結した。
「害虫が侵入しないように」というもっともらしい理由を付けて,やってはいけない直結を正当化するひっかけです。飲料水系統と排水系統は絶対に直結しない(クロスコネクション禁止)が大原則と覚えておきましょう。
No.47
関連分野盛土工事を行うために地山を掘削した時の,ほぐした土量が 840 m³ であった。この土量を用いて造成できる盛土の量〔m³〕として,正しいものはどれか。ただし,ほぐした土量の変化率 L,及び締め固めた土量の変化率 C は次のとおりとする。L=ほぐした土量/地山の土量=1.2 C=締め固めた土量/地山の土量=0.9
- 1.600 m³
- 2.630 m³
- 3.700 m³
- 4.760 m³
正解:2
解説
考え方
土は,掘る前の自然の状態(地山),掘ってほぐした状態,締め固めた状態で体積が変わります。その比率が土量の変化率で,
L=ほぐした土量/地山の土量 C=締め固めた土量/地山の土量
と定義されます。ほぐした土量840 m³が与えられているので,まずLを使って地山の土量に戻し,次にCを使って締め固めた盛土の量を求めます。
計算
地山の土量=ほぐした土量/L=840/1.2=700 m³
盛土(締め固めた)の土量=地山の土量×C=700×0.9=630 m³
答え:2 630 m³
計算はいったん「地山の土量」に戻すのが鉄則です。840×0.9=756→約760 m³(肢4)や,840/1.2=700 m³(肢3,地山土量のまま答えてしまう)は,どれも選択肢に用意されたひっかけです。L・Cの定義の分母がどちらも「地山の土量」であることを確認してから式を立てましょう。
No.48
関連分野水準測量に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.水準測量の基準となる点を,水準点(ベンチマーク)という。
- 2.器械高とは,器械を水平に据え付けたときの基準面から望遠鏡の視準線の高さをいう。
- 3.移器点(もりかえ点)とは,レベルを移動して据え替えたとき,前視及び後視をともに読み取る点をいう。
- 4.前視とは,標高が既知である点に立てた標尺の読みをいい,後視とは,これから標高を求めようとする点に立てた標尺の読みをいう。
正解:4
解説
考え方
水準測量は,レベル(望遠鏡付きの器械)と標尺(目盛の付いた尺)を使って地点間の高低差を求める測量です。用語の定義を確認します。
- 肢1:水準測量の基準となる点を水準点(ベンチマーク)といいます。正しい記述です。
- 肢2:器械高とは,器械を水平に据え付けたときの,基準面から望遠鏡の視準線(狙いの水平線)までの高さです。正しい記述です。
- 肢3:移器点(もりかえ点)とは,レベルを据え替えるときに,前視と後視をともに読み取る点です。測量を連続させるための中継点で,正しい記述です。
- 肢4:後視とは「標高が既知である点」に立てた標尺の読み,前視とは「これから標高を求めようとする点」に立てた標尺の読みです。設問は前視と後視の説明が逆になっているため,誤りです。
答え:4 前視とは,標高が既知である点に立てた標尺の読みをいい,後視とは,これから標高を求めようとする点に立てた標尺の読みをいう。
「後視=すでに分かっている点を振り返って見る」「前視=これから求める点を前に見る」とイメージで覚えると混同しません。定義の入替えは測量用語の定番のひっかけです。
No.49
関連分野次の記述に該当する山留め(土留め)壁の名称として,最も適当なものはどれか。「遮水性がよく,原地盤の土砂を材料として用い,H型鋼などを芯材に利用した山留め(土留め)壁である。」
- 1.親杭横矢板壁
- 2.ソイルセメント壁
- 3.鋼矢板(シートパイル)壁
- 4.場所打ち鉄筋コンクリート壁
正解:2
解説
考え方
山留め(土留め)壁は,掘削時に周囲の地盤が崩れないよう支える壁です。設問の記述のキーワードは「遮水性がよい」「原地盤の土砂を材料として用いる」「H型鋼などを芯材に利用」の3つです。
- 肢2のソイルセメント壁は,原地盤の土砂(ソイル)とセメントミルクを現位置で混ぜ合わせて造る壁で,硬化前にH型鋼などの芯材を建て込んで補強します。継ぎ目のない連続壁となるため遮水性がよく,設問の記述にすべて合致します。
- 肢1の親杭横矢板壁は,H鋼の親杭を打ち,掘削しながら木製などの横矢板をはめ込む工法です。板の隙間から水が漏れるため遮水性はなく,原地盤の土砂も材料にしません。
- 肢3の鋼矢板(シートパイル)壁は,継手でかみ合わせた鋼矢板を連続して打ち込む壁です。遮水性はありますが,材料は鋼材であり原地盤の土砂は使いません。
- 肢4の場所打ち鉄筋コンクリート壁(地中連続壁)は,掘削した溝に鉄筋かごを入れコンクリートを打設する壁で,芯材にH型鋼を使うものではありません。
答え:2 ソイルセメント壁
「原地盤の土砂を材料に使う」という一文が決め手です。ソイル(土)+セメントという名前がそのまま材料を表していると気づけば,遮水性のある鋼矢板壁と迷わずに選べます。
No.50
関連分野鉄道線路の軌道構造に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.路盤とは,軌道を支えるための構造物をいう。
- 2.バラスト軌道とは,道床に砂利や砕石を用いた軌道をいう。
- 3.スラブ軌道とは,現場打ちコンクリートによりスラブを構築したものである。
- 4.道床とは,荷重を路盤に分散させ衝撃を吸収し,まくらぎを保持し,レール座屈を防止するものである。
正解:3
解説
考え方
軌道は,レール・まくらぎ・道床などで構成され,それを路盤が支えています。各用語の定義を確認します。
- 肢1:路盤とは,軌道を支えるための構造物(地盤部分)をいいます。正しい記述です。
- 肢2:バラスト軌道とは,道床に砂利や砕石(バラスト)を用いた最も一般的な軌道です。正しい記述です。
- 肢3:スラブ軌道とは,工場で製作したプレキャストのコンクリートスラブ(軌道スラブ)を現場に敷設し,てん充層で路盤と一体化させた軌道です。「現場打ちコンクリートによりスラブを構築した」という記述は誤りです。工場製品を使うことで品質が安定し,省力化できる点がスラブ軌道の特長です。
- 肢4:道床とは,レール・まくらぎから受けた荷重を路盤に分散させ,衝撃を吸収し,まくらぎを保持してレールの座屈(横方向への変形)を防ぐものです。正しい記述です。
答え:3 スラブ軌道とは,現場打ちコンクリートによりスラブを構築したものである。
スラブ軌道は「保守を省力化するための工場製プレキャスト版」というのが本質です。現場打ちか工場製かという製作場所の入替えがひっかけどころなので,省力化軌道=プレキャスト,と結び付けて覚えましょう。
No.51
関連分野建築物の鉄骨構造に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.ラーメン構造は,柱と梁を剛強に接合した構造である。
- 2.ラーメン構造の柱や梁は,ブレース構造に比べて部材の断面は小さくなる。
- 3.ブレース構造は,柱,梁及びブレースで構成する三角形の形状によって骨組みの変形を防ぐ構造である。
- 4.ブレース構造の圧縮材は,部材全体が湾曲して変形する曲げ座屈が生じると急激に耐力が減少する。
正解:2
解説
考え方
鉄骨構造の骨組みには,柱と梁の接合部を剛強にして地震力などに抵抗するラーメン構造と,斜め材(ブレース)で抵抗するブレース構造があります。
- 肢1:ラーメン構造は,柱と梁を剛強に接合(剛接合)した構造です。正しい記述です。
- 肢2:ラーメン構造では,水平力を柱・梁の曲げで負担するため,部材の断面はブレース構造に比べて「大きく」なります。ブレース構造は水平力を軸力(引張・圧縮)で効率よく負担できるので,柱・梁の断面を小さくできます。「小さくなる」という記述は誤りです。
- 肢3:ブレース構造は,柱・梁・ブレースで三角形を構成し,その形状によって骨組みの変形を防ぐ構造です。正しい記述です。
- 肢4:ブレースの圧縮材は,部材全体が湾曲する曲げ座屈が生じると急激に耐力が低下します。正しい記述です。
答え:2 ラーメン構造の柱や梁は,ブレース構造に比べて部材の断面は小さくなる。
「曲げで持たせるラーメンは断面が大きく,軸力で持たせるブレースは断面が小さくて済む」という力の流れの違いが本質です。断面の大小を逆にするひっかけは,どちらの構造が力学的に効率がよいかを考えれば判断できます。
No.52
関連分野建築物の鉄骨鉄筋コンクリート構造に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.コンクリートが鋼製部材の耐火被覆になり,耐火性がよい。
- 2.柱・梁の接合部は,鉄骨が交差するためにコンクリートが流れにくい。
- 3.鉄骨の継手と鉄筋の継手の位置は同一箇所に集中させ,安全性を高める。
- 4.鉄骨の梁貫通部分には,施工性を考慮して鋼管スリーブを取り付ける場合が多い。
正解:3
解説
考え方
鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)構造は,鉄骨の骨組みの周囲に鉄筋を配し,コンクリートを打ち込んだ構造です。
- 肢1:鉄骨がコンクリートで覆われるため,コンクリートが耐火被覆の役割を果たし,耐火性に優れます。正しい記述です。
- 肢2:柱・梁の接合部は鉄骨や鉄筋が交差して込み合うため,コンクリートが流れにくく,施工に注意が必要です。正しい記述です。
- 肢3:鉄骨の継手と鉄筋の継手を同一箇所に集中させると,その断面が構造上の弱点になります。継手の位置は分散させるのが原則であり,「同一箇所に集中させ,安全性を高める」という記述は誤りです。
- 肢4:鉄骨の梁を配管などが貫通する部分には,施工性を考慮して鋼管スリーブをあらかじめ取り付けておく場合が多くあります。正しい記述です。
答え:3 鉄骨の継手と鉄筋の継手の位置は同一箇所に集中させ,安全性を高める。
継手は部材の中で相対的に弱い部分なので,「弱点は一箇所に集めない」が構造の大原則です。「集中させて安全性を高める」と,やってはいけないことに良い効果を添えて書くのが典型的なひっかけの形です。
No.53
設計・契約関係計器の電気用図記号と名称の組合せとして,「日本産業規格(JIS)」上,不適当なものはどれか。

- 1.図記号1の名称:無効電力計
- 2.図記号2の名称:電力量計
- 3.図記号3の名称:力率計
- 4.図記号4の名称:位相計
正解:1
解説
考え方
JIS(JIS C 0617)の電気用図記号では,計器の外形記号によって種類が区別されます。「円」はそのときどきの値を針などで示す指示計器,「長方形」は使用量を積算して記録する積算計器(計量器)を表し,中の文字が量記号を表します。
図の4つの記号を確認します。
- 図記号1は長方形の中に「varh」:長方形なので積算計器であり,varh(バールアワー=無効電力量の単位)から「無効電力量計」を表します。名称を「無効電力計」とするのは誤りです。無効電力計であれば,円の中に「var」と書いた指示計器の記号になります。
- 図記号2は長方形の中に「Wh」:積算計器でWh(ワットアワー=電力量の単位)なので「電力量計」です。正しい組合せです。
- 図記号3は円の中に「cosφ」:指示計器で,cosφは力率を表す記号なので「力率計」です。正しい組合せです。
- 図記号4は円の中に「φ」:指示計器で,φは位相を表す記号なので「位相計」です。正しい組合せです。
答え:1 図記号1の名称:無効電力計
まず外形(円=指示計器,長方形=積算計器)を見て,次に中の文字を読む,という2段階で判定するのがコツです。「varh」の「h(時間)」が付いていれば量を積算する計器=「〜量計」であり,「無効電力計」と「無効電力量計」の一字の違いがひっかけどころです。
No.54
設計・契約関係下請負人が工事の全部又は一部を第三者に委任し,又は請け負わせた場合,元請負人に対して遅滞なく書面をもって通知する事項として,「建設工事標準下請契約約款」上,定められていないものはどれか。
- 1.工期
- 2.作業員の労働時間
- 3.安全管理者の氏名
- 4.現場代理人及び主任技術者の氏名
正解:2
解説
考え方
建設工事標準下請契約約款では,下請負人が請け負った工事の全部または一部をさらに第三者に委任し,または請け負わせた(再下請負した)場合,元請負人に対して遅滞なく書面で通知すべき事項が定められています。通知事項は,再下請負人の名称,工事の種類・内容,工期,現場代理人及び主任技術者の氏名,安全管理者の氏名など,施工体制を把握するために必要な情報です。
- 肢1の工期,肢3の安全管理者の氏名,肢4の現場代理人及び主任技術者の氏名は,いずれも通知事項として定められています。
- 肢2の「作業員の労働時間」は,通知事項として定められていません。労働時間は労働基準法などで規制される労務管理上の事項であり,元請負人への再下請負の通知事項ではありません。
答え:2 作業員の労働時間
通知事項は「誰が(責任者の氏名),何を(工事の種類・内容),いつまでに(工期)施工するか」という施工体制の把握に必要な項目だ,と目的から整理すると覚えやすくなります。日々変動する労働時間のような労務の細目は含まれない,と判断できれば正解にたどり着けます。
No.55
施工管理法(応用能力)建設工事における施工計画に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.総合仮設計画書は,工事現場の諸条件を踏まえ,現場事務所,作業場,材料置場,工事用足場,仮設電力等を検討し作成した。
- 2.搬入計画書は,搬入経路,揚重機の選定,運搬車両の待機場所等を検討して作成した。
- 3.施工計画書は,設計図,仕様書等に基づく技術的な検討を行い,VE提案も含めて作成した。
- 4.施工体系図は,品質管理,資材管理等の各業務の担当者が明らかになるように作成した。
- 5.安全衛生管理体制は,工事着手に伴う事前準備として,現場内の災害防止活動を展開していくために構築した。
正解:4
解説
考え方
施工計画に関して作成する各書類の内容を確認する問題です。五肢択一なので最後まで丁寧に読み比べます。
- 肢1:総合仮設計画書は,現場の諸条件を踏まえて現場事務所・作業場・材料置場・工事用足場・仮設電力などを検討して作成します。正しい記述です。
- 肢2:搬入計画書は,搬入経路,揚重機(クレーンなど)の選定,運搬車両の待機場所などを検討して作成します。正しい記述です。
- 肢3:施工計画書は,設計図・仕様書に基づく技術的検討を行い,VE提案(性能を保ちつつコストを下げる代替案)を含めて作成することもあります。正しい記述です。
- 肢4:施工体系図は,元請から各下請負人までの施工の分担関係(誰がどの工事を請け負っているか)をひと目で分かるように樹形図で表した図です。「品質管理,資材管理等の各業務の担当者」を明らかにするのは現場組織表(業務分担表)の役割であり,誤りです。
- 肢5:安全衛生管理体制は,工事着手の事前準備として,現場内の災害防止活動を展開するために構築します。正しい記述です。
答え:4 施工体系図は,品質管理,資材管理等の各業務の担当者が明らかになるように作成した。
施工体系図=「会社どうしの請負関係の図」,現場組織表=「現場内の業務分担の図」という対比が決め手です。どちらも体制を表す図なので混同しやすく,説明を入れ替えるひっかけが繰り返し出題されています。
No.56
施工管理法(応用能力)法令に基づく申請書,届出等に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.事務所ビルの電力引込配管を道路に埋設するため,道路法に基づく「道路占用許可申請書」を道路管理者に提出した。
- 2.事務所ビルにエレベーターを設置するため,労働安全衛生法に基づく「エレベーター設置届」を所轄労働基準監督署長に提出した。
- 3.航空障害灯を設置するため,航空法に基づく「航空障害灯及び昼間障害標識の設置について(届出)」を所轄の地方整備局長に提出した。
- 4.受電電圧 6 kV の需要設備を設置するため,電気事業法に基づく「保安規程届出書」を管轄する産業保安監督部長に提出した。
- 5.工事用仮設電源として内燃力を原動力とする出力 20 kW の移動用発電設備を設置するため,電気事業法に基づく「主任技術者選任届出書」を管轄する産業保安監督部長に提出した。
正解:3
解説
考え方
工事に関する各種届出は「どの法律に基づき,誰に出すか」の組合せで問われます。
- 肢1:道路に配管を埋設する場合は,道路法に基づく道路占用許可申請書を道路管理者に提出します。正しい記述です。
- 肢2:エレベーターの設置は,労働安全衛生法に基づくエレベーター設置届を所轄労働基準監督署長に提出します。正しい記述です。
- 肢3:航空障害灯の設置の届出は,航空法に基づき国土交通大臣(窓口は地方航空局・空港事務所)に対して行います。「地方整備局長」は道路・河川・港湾などを所管する国土交通省の機関であり,航空行政の窓口ではないため,提出先が誤りです。
- 肢4:受電電圧6 kVの需要設備(自家用電気工作物)を設置する場合は,電気事業法に基づく保安規程届出書を管轄の産業保安監督部長に提出します。正しい記述です。
- 肢5:出力20 kW(10 kW以上)の内燃力を原動力とする移動用発電設備は自家用電気工作物に該当し,電気事業法に基づく主任技術者選任の届出を管轄の産業保安監督部長に行います。正しい記述です。
答え:3 航空障害灯を設置するため,航空法に基づく「航空障害灯及び昼間障害標識の設置について(届出)」を所轄の地方整備局長に提出した。
「地方整備局」と「地方航空局」は名前が似ていますが所管がまったく違います。航空法関係は航空局,というように法律と所管官庁を対で覚えるのが,この種の問題への一番の近道です。
No.57
施工管理法(応用能力)作業現場の合理的な配員計画のため作成した図示のネットワーク工程表及び山崩し図に関する記述として,最も不適当なものはどれか。ただし,○内の数字はイベント番号,アルファベットは作業名,()内数字は作業員数,日数は所要日数を示す。なお,山崩し図は山積み図を山崩しした結果の図をいう。

- 1.山崩し図は,クリティカルパス上の作業を底辺に置いて作成したものである。
- 2.山崩し図及びネットワーク工程表は,山積み図の各作業の作業員数を変更せず作成したものである。
- 3.全工期の作業員の延べ人数は,105人である。
- 4.作業A,作業B及び作業Cを並行作業させた日の山積み図の作業員数の合計は,11人である。
- 5.山崩し図及びネットワーク工程表において,作業Fと作業Gの順を入れ替えて作業を行っても,日々の作業員数及び工期に影響はない。
正解:1
解説
考え方
図は,タイムスケール図によるネットワーク工程表(全工期17日)と,それを山崩しした(作業の開始時期をずらして日々の作業員数を平準化した)山崩し図です。
まずクリティカルパス(余裕のない一連の作業)を確認します。作業B(4日)→作業E(2日)→作業H(6日)→作業J(5日)とつなぐと4+2+6+5=17日となり,全工期と一致するので,クリティカルパスはB→E→H→Jです。
- 肢1:山崩し図の底辺(一番下の段)に並んでいるのはB→D→H→Jです。5〜6日目の底辺にあるのはクリティカルパス上の作業Eではなく,余裕のある作業D(4人)です。「クリティカルパス上の作業を底辺に置いて作成した」という記述は誤りです。
- 肢2:山崩しは各作業の開始時期をずらすだけで,作業員数は変更しません。正しい記述です。
- 肢3:延べ人数=A:4人×1日+B:3人×4日+C:4人×3日+D:4人×2日+E:2人×2日+F:2人×3日+G:2人×3日+H:5人×6日+I:4人×2日+J:3人×5日=4+12+12+8+4+6+6+30+8+15=105人。正しい記述です。
- 肢4:作業A(4人)・B(3人)・C(4人)を並行作業させた日の山積みは4+3+4=11人。正しい記述です。
- 肢5:作業F(2人・3日)と作業G(2人・3日)は人数も日数も同じなので,順を入れ替えても日々の作業員数・工期に影響しません。正しい記述です。
答え:1 山崩し図は,クリティカルパス上の作業を底辺に置いて作成したものである。
山崩し図の底辺の並びとクリティカルパスの作業を1つずつ突き合わせるのがポイントです。B・H・Jが一致しているため正しく見えますが,5〜6日目だけDとEが入れ替わっており,そこを見落とさせるひっかけです。
No.58
施工管理法(応用能力)図に示すネットワーク工程表に関する記述として,最も不適当なものはどれか。ただし,○内の数字はイベント番号,アルファベットは作業名,日数は所要日数を示す。

- 1.クリティカルパスの日数(所要工期)は,32日である。
- 2.作業Gのフリーフロート(自由余裕時間)は,1日である。
- 3.イベント⑧の最遅完了時刻は,24日である。
- 4.作業Dを1日短縮すると,工期を1日短縮できる。
- 5.イベント⑥の最早開始時刻は,イベント④の最早開始時刻より1日遅い。
正解:2
解説
考え方
図のネットワーク工程表について,各イベントの最早開始時刻(最も早く始められる日)を左から順に計算します。
- ②=A:4日
- ③=4+B4=8日,④=8+D5=13日,⑦=13+F7=20日
- ⑤=4+E10=14日
- ⑥=C経由4+9=13日とダミー経由14日の大きい方=14日
- ⑧=⑦+I4=24日とG経由14+7=21日の大きい方=24日
- ⑨=14+H6=20日,⑩=⑧+J5=29日とK経由20+8=28日の大きい方=29日
- ⑪=29+L3=32日
計算
- 肢1:クリティカルパスはA→B→D→F→I→J→Lで,4+4+5+7+4+5+3=32日。正しい記述です。
- 肢2:作業G(⑤→⑧)のフリーフロートは,後続イベント⑧の最早開始時刻24日から,Gの最早完了時刻(14+7=21日)を引いた24−21=3日です。「1日」という記述は誤りです。
- 肢3:イベント⑧の最遅完了時刻は,⑩の29日から作業Jの5日を引いた24日。正しい記述です。
- 肢4:作業Dはクリティカルパス上にあり,1日短縮すると⑧が23日となり,⑩=28日(K経由と同着),⑪=31日。工期を1日短縮できます。正しい記述です。
- 肢5:イベント⑥の最早開始時刻14日は,イベント④の13日より1日遅い。正しい記述です。
答え:2 作業Gのフリーフロート(自由余裕時間)は,1日である。
フリーフロートは「後続イベントの最早開始時刻−その作業の最早完了時刻」で求めます。⑧はG経由の21日ではなくI経由の24日で決まる点を見落とすと,余裕を小さく数え違えます。合流するイベントでは必ず全ルートを比較しましょう。
No.59
施工管理法(応用能力)受変電設備における工場立会検査に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.工場立会検査は,現場据付後重大な異常が発見された場合,工期などに支障をきたすことになるので,出荷前の工場で各種の検査を行うものである。
- 2.検査員は,検査の実施に先立ち関係者と協議し,検査項目,検査方法及び判定基準を決定した。
- 3.絶縁耐力試験は,製品を分割搬入するため現場に搬入・据付後に行うこととし,工場立会検査時の試験を省略した。
- 4.工場立会検査に使用する測定機器は,校正成績書などによりトレーサビリティがとれたものとした。
- 5.工場立会検査時の指摘事項は,現場に搬入する際に,その内容が改善されていることを確認した。
正解:3
解説
考え方
工場立会検査は,受変電設備などの製品を工場から出荷する前に,発注者側の検査員が立ち会って性能・品質を確認する検査です。
- 肢1:現場据付後に重大な異常が見つかると手直しに時間がかかり工期に支障をきたすため,出荷前の工場で各種検査を行います。正しい記述です。
- 肢2:検査員は実施に先立ち関係者と協議し,検査項目・検査方法・判定基準を決定します。正しい記述です。
- 肢3:絶縁耐力試験(規定の高電圧をかけて絶縁が耐えることを確認する試験)は,工場立会検査の主要な試験項目です。製品を分割して搬入する場合でも,工場では組み立てた状態で試験を行って品質を確認し,現場での試験とは別に実施します。工場立会検査時の試験を省略するのは不適当です。
- 肢4:検査に使用する測定機器は,校正成績書などによりトレーサビリティ(国家標準までさかのぼれる校正の裏付け)がとれたものとします。正しい記述です。
- 肢5:工場立会検査時の指摘事項は,現場搬入の際に改善されていることを確認します。正しい記述です。
答え:3 絶縁耐力試験は,製品を分割搬入するため現場に搬入・据付後に行うこととし,工場立会検査時の試験を省略した。
「現場でやるから工場では省略してよい」という理屈がひっかけです。工場立会検査の目的は出荷前に不具合を見つけることなので,主要試験の省略はその目的自体に反する,と考えれば判断できます。
No.60
施工管理法(応用能力)品質管理に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.起こり得る不適合又はその他の起こり得る望ましくない状況の原因を除去することは予防処置である。
- 2.要求する品質とその品質を作り出すために必要な原価とのバランスが重要である。
- 3.チェックシートを用い,施工不良の内容,発生件数等を分析するため,パレート図が活用できる。
- 4.作業員に作業日程を周知徹底し実作業にあたらせることで,施工上の品質管理は十分といえる。
- 5.資材は誤って使用しないように材料名の表示をして整理整頓することは,作業改善のための品質管理といえる。
正解:4
解説
考え方
品質管理は,要求される品質を計画的・経済的に作り込むための管理活動です。各肢を確認します。
- 肢1:起こり得る不適合やその他の望ましくない状況の「原因をあらかじめ除去する」ことは予防処置です(すでに起きた不適合の原因除去は是正処置)。正しい記述です。
- 肢2:品質は高ければよいというものではなく,要求品質とそれを作り出すための原価(コスト)とのバランスが重要です。正しい記述です。
- 肢3:チェックシートで集めた施工不良の内容・発生件数を分析するには,件数の多い順に並べて累積比率を示すパレート図が活用できます。重点的に対策すべき項目が分かります。正しい記述です。
- 肢4:作業日程を周知徹底して実作業にあたらせるのは工程管理の一部にすぎません。施工上の品質管理には,品質計画の作成,作業標準の周知,施工中の確認・検査,不具合時の是正など一連の活動が必要であり,「日程の周知だけで品質管理は十分」とはいえません。誤りです。
- 肢5:資材を誤って使用しないよう材料名を表示して整理整頓することは,作業改善につながる品質管理の活動といえます。正しい記述です。
答え:4 作業員に作業日程を周知徹底し実作業にあたらせることで,施工上の品質管理は十分といえる。
「〜だけで十分」「〜すれば必ず」といった言い切りの強い肢は誤りであることが多い,という視点も有効です。品質管理は計画(Plan)→実施(Do)→確認(Check)→処置(Act)のサイクル全体で成り立つことを押さえておきましょう。
No.61
施工管理法事務所ビルの新築工事において,着工時の施工計画を作成する際の検討事項として,最も不適当なものはどれか。
- 1.工事範囲や施工区分を確認すること
- 2.塩害などの環境条件を確認すること
- 3.電力の引込点を一般送配電事業者(電力会社)と確認すること
- 4.主要機材の承諾図により,施工上の納まりを確認すること
正解:4
解説
考え方
着工時(工事開始前)の施工計画では,契約書や設計図書の内容を踏まえて,工事全体の進め方を決めます。この段階で検討するのは,工事範囲・施工区分の確認(肢1),塩害・寒冷などの現場の環境条件の確認(肢2),電力の引込点や引込方式を一般送配電事業者(電力会社)と打ち合わせて確認すること(肢3)などです。いずれも工事全体の計画を左右する事項なので,着工前に確認しておく必要があります。
一方,肢4の承諾図(メーカが作成する機器製作図などを発注者側が承諾した図面)による施工上の納まりの確認は,工事の進行に合わせて機器の製作や施工図の作成と並行して行う,施工段階の業務です。着工時には主要機材の承諾図はまだそろっていないのが普通で,着工時の検討事項としては最も不適当です。
答え:4 主要機材の承諾図により,施工上の納まりを確認すること
「着工時」か「施工中」かという時期の区別を問うひっかけです。承諾図・施工図に関する検討は施工段階,工事範囲・環境条件・引込点の確認は着工時,と整理して覚えておきましょう。
No.62
施工管理法図に示す利益図表において,ア~ウに当てはまる語句の組合せとして,適当なものはどれか。

- 1.ア:変動原価 イの領域:損失 ウの領域:利益
- 2.ア:変動原価 イの領域:利益 ウの領域:損失
- 3.ア:固定原価 イの領域:損失 ウの領域:利益
- 4.ア:固定原価 イの領域:利益 ウの領域:損失
正解:3
解説
考え方
利益図表は,横軸に施工出来高(売上高)x,縦軸に工事総原価yをとり,収益線 y=x と原価曲線を描いて損益の関係を表したものです。
原価曲線は,出来高がゼロでも発生する原価(縦軸との交点の高さ)から始まります。この出来高に関係なく一定額かかる原価が固定原価で,図のアは原価曲線の切片の高さを示していますから,ア=固定原価です。これに対して,出来高に比例して増えていく部分が変動原価です。
収益線 y=x と原価曲線の交点が損益分岐点で,ここでは収益と原価がちょうど等しくなります。交点より左側(出来高が小さい側)では原価曲線が収益線より上にあり,原価>収益なので,イの領域は損失です。交点より右側では収益線が原価曲線より上になり,収益>原価なので,ウの領域は利益です。
答え:3 ア:固定原価 イの領域:損失 ウの領域:利益
アを変動原価と取り違えないのがポイントです。縦軸との交点(出来高ゼロでも発生する原価)=固定原価,そこから右上がりに増える分=変動原価,という図の構造を押さえておけば,イ・ウの損失・利益も自然に判断できます。
No.63
施工管理法建設工事における工程管理に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.ガントチャート工程表を用いることで,各作業の進行や遅れが明確となり工事を円滑に進めることができる。
- 2.作業工程を速くするほど,時間的に無理な作業となり不安全作業のリスクは高くなる。
- 3.工程に合わせた資材の発注,搬入を計画し,手配ミスを未然に防げば,作業効率の低下を防止できる。
- 4.工事の進捗状況は,定期的に確認し,その結果で早い時期の見直しと対応を行うことが重要である。
正解:1
解説
考え方
肢1が最も不適当です。ガントチャート工程表は,縦軸に作業名,横軸に各作業の達成度(%)をとった表で,現時点での各作業の達成度はひと目で分かります。しかし,各作業に必要な日数や作業どうしの関連が表現されないため,作業の遅れが工期全体にどう影響するかまでは把握できません。「各作業の進行や遅れが明確となり工事を円滑に進めることができる」とまではいえないので,不適当です。
肢2は適当です。作業工程を必要以上に速めると,時間的に無理な作業(突貫作業)となり,手順の省略や焦りによって不安全作業のリスクが高くなります。
肢3も適当です。工程に合わせた資材の発注・搬入を計画して手配ミスを未然に防げば,資材待ちなどによる作業効率の低下を防止できます。
肢4も適当です。工事の進捗状況は定期的に確認し,遅れが小さいうちに早い時期の見直しと対応を行うことが工程管理の基本です。
答え:1 ガントチャート工程表を用いることで,各作業の進行や遅れが明確となり工事を円滑に進めることができる。
工程表の種類ごとの得意・不得意は頻出です。ガントチャートは「達成度は分かるが,所要日数・作業間の関連・遅れの影響は分からない」と覚えておきましょう。
No.64
施工管理法事務所ビルの照度測定方法に関する記述として,「日本産業規格(JIS)」上,誤っているものはどれか。
- 1.和室において,照度測定面の高さは,畳上 40 cm とした。
- 2.実用的な照度値が要求される照度測定では,一般形 A 級照度計を使用した。
- 3.測定対象以外の外光の影響があったので,その影響を除外して照度測定を行った。
- 4.事務室において,照度測定面の高さは,机などがなく特に指定もなかったので,床上 70 cm とした。
正解:4
解説
考え方
日本産業規格 JIS C 7612(照度測定方法)からの出題です。
肢4が誤りです。事務室などで机上面といった特別な指定がない場合の照度測定面の高さは,床上80±5 cmと定められています。床上70 cmでは規定から外れます。
肢1は正しい記述です。和室など畳に座って使う場所では,測定面の高さは畳上40±5 cmとされており,40 cmは適切です。
肢2も正しい記述です。照度計はJIS C 1609に規定するものを使用し,実用的な照度値が要求される測定では一般形A級照度計を使用します(より精密な測定にはAA級を使用します)。
肢3も正しい記述です。測定対象の照明設備による照度を求める場合,昼光など測定対象以外の外光の影響があるときは,その影響を除外して測定します。
答え:4 事務室において,照度測定面の高さは,机などがなく特に指定もなかったので,床上70 cmとした。
測定面の高さは「事務室など=床上80 cm,和室=畳上40 cm,廊下や屋外=床面(地面)上15 cm以下」という数値をセットで覚えておくと確実です。
No.65
施工管理法建設現場において,作業主任者を選任すべき作業として,「労働安全衛生法」上,定められていないものはどれか。
- 1.高圧活線近接作業
- 2.型枠支保工の解体の作業
- 3.掘削面の高さが 2 m の地山の掘削の作業
- 4.アセチレン溶接装置を用いて行う金属の溶接の作業
正解:1
解説
考え方
作業主任者は,労働災害を防止するための管理を必要とする一定の作業について,事業者が選任しなければならないものです(労働安全衛生法第14条)。対象となる作業は政令で定められています。
肢1の高圧活線近接作業は,作業主任者を選任すべき作業として定められていません。高圧の活線作業や活線近接作業を行う労働者に必要なのは特別教育(安衛法第59条)であって,作業主任者制度の対象ではありません。
肢2の型枠支保工の組立て又は解体の作業,肢3の掘削面の高さが2 m以上となる地山の掘削の作業,肢4のアセチレン溶接装置を用いて行う金属の溶接・溶断・加熱の作業(ガス溶接作業主任者)は,いずれも作業主任者の選任が必要な作業として定められています。
答え:1 高圧活線近接作業
「電気の活線・活線近接作業は特別教育の対象であって,作業主任者の対象ではない」という点が定番のひっかけです。地山の掘削は「高さ2 m以上」という数値要件も合わせて覚えておきましょう。
No.66
施工管理法建設業において,事業者が新たに職務につくこととなった職長に対して行わなければならない安全又は衛生のための教育として,「労働安全衛生法」上,定められていないものはどれか。
- 1.作業方法の決定及び労働者の配置に関すること
- 2.工事の品質管理その他の技術上の管理に関すること
- 3.労働者に対する指導又は監督の方法に関すること
- 4.現場監督者として行うべき労働災害防止活動に関すること
正解:2
解説
考え方
建設業では,新たに職務につくこととなった職長など,作業中の労働者を直接指導又は監督する者に対して,安全又は衛生のための教育(職長教育)を行わなければなりません(労働安全衛生法第60条)。教育内容は次のとおり定められています。
- 作業方法の決定及び労働者の配置に関すること(肢1)
- 労働者に対する指導又は監督の方法に関すること(肢3)
- 危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)及びその結果に基づき講ずる措置に関すること
- 異常時等における措置に関すること
- その他現場監督者として行うべき労働災害防止活動に関すること(肢4)
肢2の「工事の品質管理その他の技術上の管理」は,職長教育の内容として定められていません。職長教育はあくまで安全又は衛生のための教育であり,品質管理などの技術上の管理は対象外です。
答え:2 工事の品質管理その他の技術上の管理に関すること
職長教育は「安全又は衛生のため」の教育という目的を押さえておけば,品質管理・原価管理・工程管理といった施工管理の項目が選択肢に混ざっていても見分けられます。
No.67
施工管理法電気工事の活線近接作業における,労働者の電気による危険を防止するために事業者がとるべき措置に関する記述として,「労働安全衛生法」上,誤っているものはどれか。
- 1.高圧 6 kV の充電電路に絶縁用防具を装着させるので,当該作業を行わせる労働者に絶縁用保護具を着用させた。
- 2.労働者が使用電圧 22 kV の特別高圧充電電路に接近し感電の危険があったので,活線作業用装置を使用させた。
- 3.労働者に使用電圧 66 kV をこえ 77 kV 以下の特別高圧充電電路の点検作業をさせるので,充電電路に対する接近限界距離を 50 cm 確保して作業させた。
- 4.電路の修理の作業に従事する労働者が,高圧 6 kV の充電電路に対して頭上距離が 30 cm 以内に接近するおそれがあったので,当該充電電路に絶縁用防具を装着させた。
正解:3
解説
考え方
肢3が誤りです。特別高圧の充電電路の点検など,充電電路に接近する作業では,労働者の身体等と充電電路との間に接近限界距離を保たせなければなりません(労働安全衛生規則第344条)。接近限界距離は使用電圧に応じて定められており,使用電圧66 kVをこえ77 kV以下では60 cmです。50 cmでは不足します(50 cmでよいのは33 kVをこえ66 kV以下の場合です)。
肢1は正しい記述です。高圧の充電電路に絶縁用防具を装着する作業を行わせるときは,その労働者に絶縁用保護具を着用させる必要があります。
肢2も正しい記述です。特別高圧の充電電路に接近して感電の危険がある場合に,活線作業用装置(絶縁かご・絶縁台など)を使用させるのは適切な措置です。
肢4も正しい記述です。電路の修理の作業で,労働者が高圧の充電電路に対して頭上距離30 cm以内又は躯側距離・足下距離60 cm以内に接近するおそれのあるときは,充電電路に絶縁用防具を装着させます(安衛則第342条)。
答え:3 使用電圧66 kVをこえ77 kV以下の特別高圧充電電路の点検作業で,接近限界距離を50 cmとした。
接近限界距離は「22 kV以下20 cm,33 kV以下30 cm,66 kV以下50 cm,77 kV以下60 cm」と電圧区分ごとに大きくなります。ひとつ下の区分の数値に入れ替えるひっかけが定番です。
No.68
施工管理法汽力発電設備の発電機工事に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.発電機は,工場で組み立てて試験運転を行ったのち,固定子と回転子及び付属品に分けて現場に搬入した。
- 2.固定子は,蒸気タービン側と共に心出しを行い,固定子脚部が基礎金物に確実に密着し,荷重が均等になるように据え付けた。
- 3.回転子は,クレーンで水平に吊るし,固定子側に滑車を付けてけん引用ワイヤでいっきに定位置まで押し込んだ。
- 4.回転子を挿入したのち,エンドカバーベアリングや軸密封装置等の付属品を取り付けた。
正解:3
解説
考え方
肢3が最も不適当です。発電機の回転子を固定子に挿入する作業では,固定子と回転子のすき間(エアギャップ)が非常に小さいため,互いに接触させないよう細心の注意を払いながら,水平を保って徐々に挿入します。けん引用ワイヤで「いっきに定位置まで押し込む」ような作業は,鉄心やコイルを損傷するおそれがあり不適当です。
肢1は適当です。大形の発電機は,工場で組み立てて試験運転を行ったのち,輸送上の制約から固定子と回転子及び付属品に分けて現場に搬入するのが一般的です。
肢2も適当です。固定子は蒸気タービン側と共に心出し(軸中心を合わせる作業)を行い,固定子脚部が基礎金物に確実に密着して荷重が均等にかかるように据え付けます。
肢4も適当です。エンドカバーベアリングや軸密封装置などの付属品は,回転子を挿入したのちに取り付けます。
答え:3 回転子を,けん引用ワイヤでいっきに定位置まで押し込んだ。
「いっきに」のような乱暴な作業を表す言葉は誤りのサインであることが多いです。回転子の挿入はエアギャップを保ちながら慎重に行う,という据付けの基本を押さえておきましょう。
No.69
施工管理法屋外に新たに設置するキュービクル式高圧受電設備に関する記述として,「高圧受電設備規程」上,誤っているものはどれか。
- 1.キュービクルの基礎には,扉面から幅 1 m の足場スペースを設けた。
- 2.キュービクルは,隣接する建築物とは 3 m 離して設置した。
- 3.キュービクルを,高さ 2 m 以上の屋上に設置するので,墜落防止のために,高さ 1.2 m のさくを設けた。
- 4.キュービクルへ至る保守,点検に用いる通路には,保守員がキュービクルまで安全に到達できるように,幅 0.6 m の通路を全面にわたり確保した。
正解:4
解説
考え方
肢4が誤りです。高圧受電設備規程では,キュービクルへ至る保守・点検に用いる通路は,幅0.8 m以上(高さ1.8 m以上)を確保することとされています。幅0.6 mでは不足します。
肢1は正しい記述です。キュービクルの基礎には,扉の開閉と操作・点検を安全に行うため,扉面から幅1 m以上の足場スペースを設けることとされており,1 mは適切です。
肢2も正しい記述です。屋外に設置するキュービクルは,隣接する建築物から3 m以上離すこと(開口部のない不燃性の外壁に面する場合などを除く)とされており,3 mは適切です。
肢3も正しい記述です。キュービクルを屋上などの高所に設置する場合は,保守点検時の墜落防止のため高さ1.1 m以上のさく(手すり)などを設けることとされており,高さ1.2 mのさくはこれを満たします。
答え:4 保守,点検に用いる通路の幅を0.6 mとした。
「通路幅0.8 m以上・足場スペース1 m以上・建築物から3 m以上」という数値の組合せで覚えておきましょう。0.6 mや2 mなど,少しだけ小さい数値に置き換えるひっかけが定番です。
No.70
施工管理法架空送電線路の施工に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.延線用ワイヤロープのよりは,電線のより方向と反対方向のものを使用した。
- 2.緊線用ワイヤロープは,細径かつ高強度であり,自転トルクが小さいものを使用した。
- 3.垂直 2 輪金車は,電線の引上げ箇所の鉄塔で電線が浮き上がるおそれのある場所に使用した。
- 4.メッセンジャワイヤの巻取り,繰出し,停止及び変速のために,架線ウインチを使用した。
正解:1
解説
考え方
肢1が最も不適当です。延線用ワイヤロープには,電線のより方向と同方向のものを使用します。より方向が反対のものを使うと,張力がかかったときに電線とワイヤロープが接続部で互いに逆向きに回転しようとしてねじれが生じ,電線のよりが戻されて素線の緩みやキンク(ねじれ癖)などの損傷を招くためです。
肢2は適当です。緊線用ワイヤロープには,細径で高強度,かつ張力によって自転しようとするトルクが小さいものを使用します。
肢3も適当です。垂直2輪金車は,電線の引上げ箇所の鉄塔など,延線中に電線が金車から浮き上がるおそれのある場所で,電線の外れを防止するために使用します。
肢4も適当です。架線ウインチは,メッセンジャワイヤの巻取り・繰出し・停止・変速といった操作に使用されます。
答え:1 延線用ワイヤロープのよりは,電線のより方向と反対方向のものを使用した。
「同方向」と「反対方向」の入れ替えによるひっかけです。よりが反対だと接続部でより戻しが起こって電線を傷める,という理屈とセットで覚えておくと迷いません。
No.71
施工管理法構内情報通信網(LAN)に使用する UTP ケーブルの施工に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.4 対ケーブルの固定時の曲げ半径を仕上がり外径の 4 倍とした。
- 2.フロア配線盤から通信アウトレットまでの配線長を 90 m とした。
- 3.垂直のケーブルラックに敷設するケーブルの支持間隔を 2 m とした。
- 4.パッチコードは 3 m とし,パッチコード,機器コード及びワークエリアコードの長さの合計を 9 m とした。
正解:3
解説
考え方
肢3が最も不適当です。垂直のケーブルラックにUTPケーブルを敷設すると,ケーブル自体の重さが支持点にかかります。張力が加わると心線の対(ペア)のよりが乱れて伝送性能の劣化や被覆の損傷につながるおそれがあるため,垂直部の支持間隔は1 m以下とするのが標準で,2 mでは広すぎます。
肢1は適当です。JIS X 5150では,4対ケーブルの曲げ半径は,固定時(施工後)は仕上がり外径の4倍以上(敷設作業中は8倍以上)とされています。
肢2も適当です。水平配線(フロア配線盤から通信アウトレットまでの固定配線)の長さは90 m以下とされています。
肢4も適当です。パッチコード・機器コード・ワークエリアコードの長さの合計は10 m以下とされており,合計9 mはこの範囲内です(水平配線90 mと合わせてチャネル長100 m以下となります)。
答え:3 垂直のケーブルラックに敷設するケーブルの支持間隔を2 mとした。
「水平配線90 m・コード類合計10 m・チャネル100 m」という長さの数値と,曲げ半径「固定時4倍・敷設中8倍」は毎回のように問われます。垂直部は自重対策として支持間隔を短くする,という考え方も覚えておきましょう。
No.72
施工管理法バスダクト工事による低圧屋内配線に関する記述として,「電気設備の技術基準とその解釈」上,誤っているものはどれか。ただし,接触防護措置を施す場合を除く。
- 1.電気シャフト(EPS)内に垂直に取り付けるバスダクトの支持間隔を 6 m とした。
- 2.使用電圧が 300 V を超えるので,C 種接地工事を施した。
- 3.造営材に取り付けるバスダクトの水平支持間隔を 3 m とした。
- 4.使用電圧 400 V のバスダクトを湿気の多い展開した場所に施設した。
正解:4
解説
考え方
肢4が誤りです。バスダクト工事は,使用電圧が300 Vを超える場合,屋外用バスダクトを用いるときなどを除き,乾燥した場所(展開した場所又は点検できる隠ぺい場所)に限って施設できます(電気設備の技術基準の解釈第163条)。使用電圧400 Vのバスダクトを湿気の多い場所に施設することはできません。
肢1は正しい記述です。取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所(電気シャフトなど)に垂直に取り付ける場合の支持間隔は6 m以下とされており,6 mは適合します。
肢2も正しい記述です。使用電圧が300 Vを超える低圧のバスダクトには,原則としてC種接地工事を施します(接触防護措置を施す場合はD種接地工事にできますが,本問ではその場合が除かれています)。
肢3も正しい記述です。バスダクトを造営材に取り付ける場合の支持間隔は3 m以下とされており,水平支持間隔3 mは適合します。
答え:4 使用電圧400 Vのバスダクトを湿気の多い展開した場所に施設した。
支持間隔「水平3 m以下・電気シャフト内などの垂直6 m以下」と,「300 V超はC種接地・乾燥した場所限定」がバスダクト工事の頻出ポイントです。
No.73
施工管理法高圧ケーブルの地絡事故を検出するシールド接地工事を示す図として,不適当なものはどれか。

- 1.(図参照)
- 2.(図参照)
- 3.(図参照)
- 4.(図参照)
正解:1
解説
考え方
高圧ケーブルの地絡事故をZCT(零相変流器)で検出するには,地絡電流の通り道がZCTの窓の中を正味1回通るように,シールド(遮へい銅テープ)の接地線を配線する必要があります。原則は次のとおりです。
- 接地線をZCTより負荷側で接地する場合は,接地線をZCTに貫通させない
- 接地線をZCTより電源側で接地する場合は,接地線をZCTに貫通させてから接地する
肢1の引込用ケーブルの図では,シールドの接地線がZCTの電源側で,ZCTを貫通せずにそのまま接地されています。この配線では,ケーブルで地絡が起きたとき,地絡電流は電源側から心線を通って地絡点でシールドに移り,そのまま電源側の接地線から大地へ流れてしまうため,ZCTの中を一度も通りません。つまりケーブルの地絡事故を検出できず,不適当です。
肢2は接地線をZCTの負荷側で接地しており,ケーブル地絡時にシールドを流れる電流がZCTの中を通過するので検出できます。肢3・肢4の送出し用ケーブルは,いずれも接地点がZCTより負荷側にあるため,ケーブル地絡時には心線を流れる地絡電流がZCTを通り,正しく検出できます。
答え:1 引込用ケーブルで,接地線をZCTの電源側で貫通させずに接地した図
「電源側で接地するなら貫通させる,負荷側で接地するなら貫通させない」とセットで覚えるのが定石です。地絡電流の通り道を図の上で指でたどり,ZCTの中を通るかどうかを確かめると確実に判断できます。
No.74
施工管理法架空単線式の電車線路に関する記述として,「鉄道に関する技術上の基準を定める省令の解釈基準」上,誤っているものはどれか。ただし,新幹線鉄道は除くものとする。
- 1.シンプルカテナリちょう架式は,支持物相互間の距離を 60 m 以下とした。
- 2.カテナリちょう架式によるちょう架線は,引張力に対する安全率を 2.0 とした。
- 3.本線におけるカテナリちょう架式の電車線(トロリ線)は,公称断面積 85 mm² のみぞ付硬銅トロリ線とした。
- 4.集電装置にパンタグラフを使用する区間の電車線(トロリ線)の偏いは,レール面に垂直の軌道中心面から 250 mm 以内とした。
正解:2
解説
考え方
肢2が誤りです。カテナリちょう架式によるちょう架線(トロリ線を吊るための線)の引張力に対する安全率は,2.5以上とされています。2.0では不足します。
肢1は正しい記述です。シンプルカテナリちょう架式では,支持物相互間の距離(径間)は60 m以下とされています。
肢3も正しい記述です。新幹線鉄道を除く本線におけるカテナリちょう架式の電車線(トロリ線)には,公称断面積85 mm²以上のみぞ付硬銅トロリ線などを使用することとされています。
肢4も正しい記述です。集電装置にパンタグラフを使用する区間では,電車線の偏い(レール面に垂直の軌道中心面からの偏り)は250 mm以内とされています。パンタグラフのすり板が均等に摩耗するようトロリ線は左右にジグザグに張られますが,その振れ幅の上限が250 mmです。
答え:2 カテナリちょう架式によるちょう架線は,引張力に対する安全率を2.0とした。
安全率は「ちょう架線2.5以上,トロリ線2.2以上」という組合せで覚えておきましょう。径間60 m以下・断面積85 mm²以上・偏い250 mm以内も繰り返し出題される定番の数値です。
No.75
施工管理法監視カメラ設備の施工に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.屋外カメラのハウジングは,水などの浸入に対する保護等級として,IP 66 のものを使用した。
- 2.ネットワークカメラ(IP カメラ)の信号線は,専用のコンバータを用いて既設の同軸ケーブルを流用した。
- 3.ネットワークカメラ(IP カメラ)には,PoE タイプのスイッチングハブから LAN ケーブルを用いて電力を供給した。
- 4.屋外カメラの雷保護として,信号ケーブル及び電源ケーブルの監視装置本体側のみにサージ防護デバイス(SPD)を設けた。
正解:4
解説
考え方
肢4が最も不適当です。屋外に設置するカメラの信号ケーブルや電源ケーブルには,雷サージ(雷による異常電圧)が侵入するおそれがあります。サージ防護デバイス(SPD)は,監視装置本体側だけでなく屋外のカメラ側にも設けて,ケーブルの両端で保護するのが基本です。本体側のみでは,カメラ側の機器が雷サージで破損するおそれがあります。
肢1は適当です。IP 66は「粉じんが侵入せず,あらゆる方向からの強い噴流水に耐える」保護等級で,屋外カメラのハウジングとして適切です。
肢2も適当です。既設の同軸ケーブルがある場合,専用のコンバータを用いればネットワークカメラ(IPカメラ)の信号線として流用でき,配線替えの費用を抑えられます。
肢3も適当です。PoE(Power over Ethernet)対応のスイッチングハブを使えば,LANケーブル1本で信号の伝送とカメラへの電力供給を兼ねることができます。
答え:4 信号ケーブル及び電源ケーブルの監視装置本体側のみにサージ防護デバイス(SPD)を設けた。
「片側のみ」「一方だけ」という表現は誤りのサインになりやすい言葉です。雷保護は守りたい機器の近くで,ケーブルの両端に施すのが原則と覚えておきましょう。
No.76
施工管理法地中電線路の施工に関する記述として,最も不適当なものはどれか。
- 1.洞道内のケーブルは,熱伸縮の影響を少なくするため,スネーク敷設の変曲点で拘束した。
- 2.ケーブルの熱伸縮による金属シースの疲労を防止するため,マンホール内にオフセットを設けた。
- 3.傾斜地の管路に敷設されたケーブルの熱伸縮による滑落を防止するため,上端側管路口にプーリングアイを取り付けた。
- 4.管路の途中に水平屈曲部があったので,引入張力を小さくするため,屈曲部に近い方のマンホールからケーブルを引き入れた。
正解:3
解説
考え方
肢3が最も不適当です。プーリングアイは,ケーブルを管路に引き入れる(延線する)ときに,ケーブルの端部に取り付けてけん引用ワイヤと接続するための金具です。傾斜地でのケーブルの滑落防止に使うものではありません。滑落防止には,管路口でクリートや防護金物などによりケーブルを拘束・固定します。
肢1は適当です。洞道内では,ケーブルを蛇行(スネーク)させて敷設することで熱伸縮を各区間に分散して吸収させ,その蛇行の変曲点をクリート等で拘束します。
肢2も適当です。マンホール内にオフセット(ケーブルのたわみ部分)を設けることで,熱伸縮の変位を吸収し,金属シースの疲労を防止できます。
肢4も適当です。水平屈曲部のある管路では,屈曲部に近い方のマンホールからケーブルを引き入れると,張力がまだ小さいうちに屈曲部を通過させることができ,引入張力を小さくできます。
答え:3 熱伸縮による滑落を防止するため,上端側管路口にプーリングアイを取り付けた。
プーリングアイ=引入れ(延線)用の金具,という用途を知っていれば即断できる問題です。スネーク敷設・オフセットといった熱伸縮対策の用語と,延線用の金具類を混同しないよう整理しておきましょう。
No.77
法規建設業者が注文者と締結した建設工事の請負契約に関して,営業所ごとに備える帳簿に記載しなければならない事項として,「建設業法」上,定められていないものはどれか。
- 1.目的物の使用を開始した年月日
- 2.工事現場の所在地
- 3.請負契約を締結した年月日
- 4.注文者が建設業者であるときは,その者の許可番号
正解:1
解説
考え方
建設業者は,営業所ごとに帳簿を備え,請負契約に関する一定の事項を記載して保存しなければなりません(建設業法第40条の3)。記載事項には次のようなものがあります。
- 請け負った建設工事の名称及び工事現場の所在地(肢2)
- 請負契約を締結した年月日(肢3)
- 注文者が建設業者であるときは,その者の許可番号(肢4)
- 完成検査を完了した年月日,目的物を注文者に引き渡した年月日 など
肢1の「目的物の使用を開始した年月日」は,帳簿の記載事項として定められていません。よく似た「引渡しをした年月日」は記載事項ですが,引き渡した後に注文者がいつ使用を開始したかまでは,建設業者の帳簿に記載する事項ではありません。
答え:1 目的物の使用を開始した年月日
「引渡しの年月日」は記載事項,「使用開始の年月日」は記載事項でない,という言葉の置き換えがひっかけどころです。契約・現場・注文者・引渡しに関する事項が帳簿の柱と覚えておきましょう。
No.78
法規建設工事における監理技術者に関する記述として,「建設業法」上,誤っているものはどれか。
- 1.発注者から建設工事を直接請け負った特定建設業者が,下請契約を行わずに自ら施工する場合は,監理技術者を置かなくてもよい。
- 2.国が注文者となり直接発注した施設の建設工事は,当該建設工事の請負代金の額にかかわらず,専任の監理技術者を置く必要がある。
- 3.監理技術者の専任が必要な建設工事で,二の工事現場を施工する場合は,工事現場ごとに専任の監理技術者補佐を置くことにより,監理技術者は兼務することができる。
- 4.監理技術者の専任が必要な建設工事に置く監理技術者は,監理技術者資格者証の交付を受けた者であって,国土交通大臣の登録を受けた講習を受講した者でなければならない。
正解:2
解説
考え方
肢2が誤りです。専任の監理技術者が必要になるのは,公共性のある施設等に関する重要な建設工事で,請負代金の額が4,500万円(建築一式工事では9,000万円)以上のものです。国が注文者となり直接発注した工事であっても,請負代金の額がこの基準未満であれば専任は求められません。「請負代金の額にかかわらず」という部分が誤りです。
肢1は正しい記述です。監理技術者が必要になるのは,発注者から直接請け負った建設工事について一定額以上の下請契約を締結して施工する場合です。下請契約を行わず自ら施工する場合は,主任技術者を置けばよく,監理技術者を置く必要はありません。
肢3も正しい記述です。専任の監理技術者補佐(1級技士補など)を工事現場ごとに置けば,監理技術者は2つの現場を兼務できます。
肢4も正しい記述です。専任の監理技術者は,監理技術者資格者証の交付を受け,国土交通大臣の登録を受けた講習を受講した者でなければなりません。
答え:2 国が直接発注した建設工事は,請負代金の額にかかわらず,専任の監理技術者を置く必要がある。
「〜にかかわらず」「必ず」といった例外を認めない言い回しは誤りのサインです。専任の金額要件4,500万円(建築一式9,000万円)は必ず覚えておきましょう。
No.79
法規建設工事の請負契約に関する記述として,「建設業法」上,定められていないものはどれか。
- 1.請負人は,現場代理人の権限に関する事項及び現場代理人の行為についての注文者の請負人に対する意見の申出の方法を,注文者に通知しなければならない。
- 2.建設工事における元請負人は,その請け負った建設工事を施工するために必要な工程の細目を定めようとするときは,あらかじめ工事監理者の意見をきかなければならない。
- 3.建設業者は,自ら保有する低廉な資材を用いることの正当な理由がある場合を除き,通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とした請負契約をしてはならない。
- 4.建設業者は,その請け負う建設工事について,主要な資材の供給の著しい減少により工期又は請負代金の額に影響を及ぼす事象が発生するおそれがあると認めるときは,請負契約を締結するまでに,注文者に対して,その旨を通知しなければならない。
正解:2
解説
考え方
肢2が定められていません。元請負人が,請け負った建設工事を施工するために必要な工程の細目や作業方法などを定めようとするとき,あらかじめ意見をきかなければならない相手は下請負人です(建設業法第24条の2)。「工事監理者」の意見をきくという規定はありません。
肢1は定められています。請負人は,現場代理人を置く場合,その権限に関する事項と,現場代理人の行為についての注文者の請負人に対する意見の申出の方法を,注文者に通知しなければなりません。
肢3も定められています。建設業者は,自ら保有する低廉な資材を用いることなどの正当な理由がある場合を除き,通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはなりません(受注者側の原価割れ契約の禁止)。
肢4も定められています。建設業者は,主要な資材の供給の著しい減少などにより工期又は請負代金の額に影響を及ぼす事象が発生するおそれがあると認めるときは,請負契約を締結するまでに,注文者に対してその旨を通知しなければなりません。
答え:2 工程の細目を定めようとするときは,あらかじめ工事監理者の意見をきかなければならない。
肢3・肢4は令和6年の建設業法改正で設けられた比較的新しい規定です。意見をきく相手の「下請負人」を「工事監理者」に置き換えるタイプのひっかけに注意しましょう。
No.80
法規感電死傷事故が発生したときに,自家用電気工作物を設置する者が行う事故報告に関する記述として,「電気事業法」上,誤っているものはどれか。
- 1.報告書には,復旧日時,原因と防止対策を記載しなければならない。
- 2.報告書は,管轄する産業保安監督部長に提出しなければならない。
- 3.事故の発生を知った日から起算して 30 日以内に,報告書を提出しなければならない。
- 4.事故の発生を知った時から 48 時間以内に,事故の概要について電話等により報告しなければならない。
正解:4
解説
考え方
肢4が誤りです。自家用電気工作物を設置する者は,感電死傷事故などが発生したときは,事故の発生を知った時から24時間以内に,事故の概要を電話などで速報しなければなりません(電気関係報告規則第3条)。48時間以内では誤りです。
肢1は正しい記述です。詳報(報告書)には,事故の発生日時・場所・状況のほか,復旧日時,事故の原因と再発防止対策などを記載します。
肢2も正しい記述です。報告書の提出先は,設置場所を管轄する産業保安監督部長です。
肢3も正しい記述です。詳報は,事故の発生を知った日から起算して30日以内に提出しなければなりません。
答え:4 事故の発生を知った時から48時間以内に,事故の概要について電話等により報告しなければならない。
事故報告は「速報は24時間以内・詳報は30日以内・提出先は産業保安監督部長」の3点セットで覚えます。速報の起算が「知った時から」,詳報が「知った日から」である点も合わせて押さえておきましょう。
No.81
法規架空電線の敷設に関する記述として,「有線電気通信法」上,誤っているものはどれか。ただし,工事上やむを得ない場合を除くものとする。
- 1.横断歩道橋の上の架空電線の高さが,その路面から 2.5 m であるもの
- 2.道路上の架空電線の高さが,横断歩道橋の上にある部分を除き,路面から 5.0 m であるもの
- 3.架空電線と他人の建造物との離隔距離が 40 cm であるもの
- 4.架空電線が架空高圧強電流ケーブルと交差する場合において,架空電線を下にし,その離隔距離が 40 cm であるもの
正解:1
解説
考え方
肢1が誤りです。有線電気通信設備令とその施行規則では,架空電線が横断歩道橋の上にあるときの高さは,その路面から3 m以上とされています。2.5 mでは不足します。
肢2は正しい記述です。道路上(横断歩道橋の上にある部分を除く)の架空電線の高さは路面から5 m以上とされており,5.0 mは適合します。
肢3も正しい記述です。架空電線は,他人の建造物との離隔距離が30 cm以下となるように設置してはならないとされており,40 cmであれば適合します。
肢4も正しい記述です。架空電線が高圧の架空強電流ケーブルと交差するときの離隔距離は40 cm以上とされており,40 cmは適合します。
答え:1 横断歩道橋の上の架空電線の高さが,その路面から2.5 mであるもの
高さは「道路上5 m以上・横断歩道橋の上3 m以上・鉄道横断6 m以上」の3つの数値がセットで頻出です。離隔は「他人の建造物30 cm超・高圧強電流ケーブル40 cm以上」と対で覚えておきましょう。
No.82
法規次の電気用品のうち,「電気用品安全法」上,特定電気用品に該当しないものはどれか。ただし,電気用品は,交流の電路に使用するものとし,防爆型のもの及び油入型のもの並びに機械器具に組み込まれる特殊な構造のものを除く。
- 1.定格電圧 250 V の温度ヒューズ
- 2.定格電圧 250 V 定格電流 30 A の配線用遮断器
- 3.定格電圧 125 V 定格電流 15 A のライティングダクト
- 4.600 V 架橋ポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル(EM-CET)14 mm²
正解:3
解説
考え方
電気用品のうち,構造や使用方法からみて特に危険又は障害の発生するおそれが多いものが特定電気用品に指定され,登録検査機関による適合性検査などのより厳しい手続が義務付けられています。
肢3のライティングダクトは,特定電気用品ではなく「特定電気用品以外の電気用品」です。
肢1の温度ヒューズは特定電気用品です(ヒューズ類は定格電圧100 V以上300 V以下のものが対象で,250 Vは該当します)。
肢2の配線用遮断器は,定格電流100 A以下のものが特定電気用品であり,定格電流30 Aは該当します。
肢4のケーブルは,導体の公称断面積22 mm²以下・線心7本以下のものが特定電気用品であり,EM-CET 14 mm²は該当します。
答え:3 定格電圧125 V定格電流15 Aのライティングダクト
ヒューズ・配線用遮断器(100 A以下)・断面積の小さいケーブル(22 mm²以下)など,感電や火災に直結する保安上重要な品目は特定電気用品,ライティングダクトや換気扇などは特定以外,というイメージで整理しておくと判断しやすくなります。
No.83
法規建築物に関する記述として,「建築基準法」上,定められていないものはどれか。
- 1.高さ 31 m をこえる建築物には,政令で定めるものを除き,非常用の昇降機を設けなければならない。
- 2.高さ 20 m をこえる建築物には,周囲の状況により安全上支障がない場合を除き,有効に避雷設備を設けなければならない。
- 3.建築とは,建築物を新築,増築,改築又は移転することをいう。
- 4.建築設備の一種以上について行う過半の修繕は,大規模の修繕である。
正解:4
解説
考え方
肢4が定められていません。建築基準法で大規模の修繕とは,建築物の主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段)の一種以上について行う過半の修繕をいいます。建築設備の一種以上について行う過半の修繕は,大規模の修繕には当たりません。
肢1は正しい記述です。高さ31 mをこえる建築物には,政令で定めるものを除き,非常用の昇降機(消防隊の活動などに使うエレベーター)を設けなければなりません。
肢2も正しい記述です。高さ20 mをこえる建築物には,周囲の状況によって安全上支障がない場合を除き,有効に避雷設備を設けなければなりません。
肢3も正しい記述です。建築とは,建築物を新築し,増築し,改築し,又は移転することをいいます。
答え:4 建築設備の一種以上について行う過半の修繕は,大規模の修繕である。
「主要構造部」を「建築設備」に置き換えるひっかけです。非常用昇降機は31 m超・避雷設備は20 m超という高さの数値と,建築・大規模の修繕といった用語の定義は,建築基準法の定番として毎回のように出題されます。
No.84
法規建築士の業務に関する記述として,「建築士法」上,誤っているものはどれか。ただし,建築物には応急仮設建築物は含まないものとする。
- 1.二級建築士は,新築の延べ面積が 700 m² の学校の用途に供する建築物の設計又は工事監理を行うことができる。
- 2.木造建築士とは,都道府県知事の免許を受け,木造建築士の名称を用いて,木造の建築物に関し,設計,工事監理その他の業務を行うものをいう。
- 3.一級建築士は,他の一級建築士の設計した設計図書の一部変更について承諾が得られなかったときは,自己の責任において,その設計図書の一部を変更することができる。
- 4.建築士は,延べ面積が 2000 m² を超える建築物の建築設備に係る設計をする場合には,設備設計一級建築士が行う場合を除き,建築設備士の意見を聴くよう努めなければならない。
正解:1
解説
考え方
肢1が誤りです。学校,病院,劇場,百貨店などの用途に供する建築物で延べ面積が500 m²をこえるものは,一級建築士でなければ設計又は工事監理をしてはならないとされています(建築士法第3条)。延べ面積700 m²の学校は500 m²をこえるため,二級建築士は設計・工事監理を行うことができません。
肢2は正しい記述です。木造建築士は,都道府県知事の免許を受け,木造建築士の名称を用いて,木造の建築物に関し設計・工事監理その他の業務を行う者です。
肢3も正しい記述です。一級建築士が他の一級建築士の設計した設計図書の一部を変更しようとして承諾が得られなかったときは,自己の責任において,その設計図書の一部を変更することができます。
肢4も正しい記述です。建築士は,延べ面積が2000 m²を超える建築物の建築設備に係る設計をする場合には,設備設計一級建築士が行う場合などを除き,建築設備士の意見を聴くよう努めなければなりません。
答え:1 二級建築士は,新築の延べ面積が700 m²の学校の設計又は工事監理を行うことができる。
「学校・病院など公共性の高い用途で500 m²超は一級建築士のみ」という基準が急所です。設備分野では,建築設備士の意見聴取(2000 m²超・努力義務)もあわせて頻出です。
No.85
法規危険物の品名と指定数量の組合せとして,「消防法」上,不適当なものはどれか。ただし,危険物の性質はメタノールを除き非水溶性液体とする。
- 1.品名:ガソリン 指定数量:200 L
- 2.品名:メタノール 指定数量:400 L
- 3.品名:軽油 指定数量:1000 L
- 4.品名:重油 指定数量:4000 L
正解:4
解説
考え方
肢4が不適当です。重油は第四類危険物の第三石油類(非水溶性液体)で,指定数量は2000 Lです。4000 Lは誤りです。
肢1は正しい組合せです。ガソリンは第一石油類(非水溶性液体)で,指定数量は200 Lです。
肢2も正しい組合せです。メタノールはアルコール類で,指定数量は400 Lです。
肢3も正しい組合せです。軽油は第二石油類(非水溶性液体)で,指定数量は1000 Lです。
指定数量は,引火点が低く危険性の高いものほど少なく定められており,第一石油類(ガソリン)200 L→アルコール類(メタノール)400 L→第二石油類(灯油・軽油)1000 L→第三石油類(重油)2000 Lと,およそ倍々で増えていきます。
答え:4 品名:重油 指定数量:4000 L
「200・400・1000・2000」という並びで覚えるのが定番です。非常用発電設備の燃料タンクの容量計算など,電気設備の実務でも重油・軽油の指定数量は関わってくるので確実に押さえておきましょう。
No.86
法規建設業における安全衛生管理体制に関する記述として,「労働安全衛生法」上,誤っているものはどれか。
- 1.総括安全衛生管理者を選任した事業者は,遅滞なく,その旨を都道府県知事に報告しなければならない。
- 2.労働基準監督署長は,労働災害を防止するため必要があると認めるときは,事業者に対し,衛生管理者の増員又は解任を命ずることができる。
- 3.安全管理者を選任した事業者は,その者に労働者の危険を防止するための措置のうち安全に係る技術的事項を管理させなければならない。
- 4.安全衛生責任者を選任した請負人は,その者に統括安全衛生責任者との連絡その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。
正解:1
解説
考え方
肢1が誤りです。総括安全衛生管理者を選任した事業者は,遅滞なく,その旨を所轄労働基準監督署長に報告しなければなりません。報告先は都道府県知事ではありません。
肢2は正しい記述です。労働基準監督署長は,労働災害を防止するため必要があると認めるときは,事業者に対し,衛生管理者(安全管理者についても同様)の増員又は解任を命ずることができます。
肢3も正しい記述です。安全管理者を選任した事業者は,その者に,労働者の危険を防止するための措置など安全に係る技術的事項を管理させなければなりません。
肢4も正しい記述です。統括安全衛生責任者を選任すべき事業者以外の請負人(下請)は,安全衛生責任者を選任し,その者に統括安全衛生責任者との連絡その他の事項を行わせなければなりません。
答え:1 総括安全衛生管理者を選任した事業者は,遅滞なく,その旨を都道府県知事に報告しなければならない。
労働安全衛生法関係の届出・報告の相手は,ほぼすべて「所轄労働基準監督署長」です。「都道府県知事」「市町村長」などに置き換えるひっかけが定番なので,反射的に判断できるようにしておきましょう。
No.87
法規建設業における店社安全衛生管理者の職務として,「労働安全衛生法」上,定められていないものはどれか。
- 1.少なくとも毎月 1 回労働者が作業する場所を巡視すること。
- 2.労働者の作業の種類その他作業の実施の状況を把握すること。
- 3.労働災害を防止するため,作業間の連絡及び調整をすること。
- 4.特定元方事業者が設置及び運営を行う協議組織の会議に随時参加すること。
正解:3
解説
考え方
店社安全衛生管理者は,中小規模の建設現場の安全衛生管理を本店・支店(店社)の側から支援するために選任されるもので,その職務は労働安全衛生規則に定められています。
- 少なくとも毎月1回,労働者が作業を行う場所を巡視すること(肢1)
- 労働者の作業の種類その他作業の実施の状況を把握すること(肢2)
- 協議組織の会議に随時参加すること(肢4)
- 仕事の工程や機械・設備等の配置に関する計画について,措置が講じられていることを確認すること
肢3の「作業間の連絡及び調整」は,店社安全衛生管理者の職務としては定められていません。これは特定元方事業者が現場で講ずべき措置であり,統括安全衛生責任者が統括管理し,元方安全衛生管理者が技術的事項を管理する事項です。
答え:3 労働災害を防止するため,作業間の連絡及び調整をすること。
店社安全衛生管理者は「店社(本支店)から現場を巡視・把握・支援する」役割,作業間の連絡調整は「現場で統括する」特定元方事業者側の措置,というように,役割を果たす場所の違いで整理すると覚えやすいです。
No.88
法規使用者が労働契約の締結に際し,労働者に対して書面の交付又は電子メール等の送信により,明示しなければならない労働条件として,「労働基準法」上,定められていないものはどれか。
- 1.退職に関する事項
- 2.休職に関する事項
- 3.就業の場所に関する事項
- 4.従事すべき業務に関する事項
正解:2
解説
考え方
使用者は,労働契約の締結に際し,労働者に対して賃金・労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません(労働基準法第15条)。このうち書面の交付(労働者が希望した場合は電子メール等の送信でも可)により明示しなければならない事項には,次のものがあります。
- 労働契約の期間に関する事項
- 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項(肢3・肢4)
- 始業・終業の時刻,所定労働時間を超える労働の有無,休憩時間,休日,休暇などに関する事項
- 賃金の決定,計算及び支払の方法,賃金の締切り・支払の時期に関する事項
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)(肢1)
肢2の「休職に関する事項」は,その定めをする場合に明示すればよい事項(相対的明示事項)であり,書面等で必ず明示しなければならない労働条件としては定められていません。
答え:2 休職に関する事項
「退職」は必ず書面等で明示,「休職」は定めがある場合に明示すればよい,という一字違いの区別がひっかけどころです。書面明示が必要な5項目(期間・場所と業務・時間と休日・賃金・退職)をセットで覚えておきましょう。
No.89
法規騒音の規制に関する記述として,「騒音規制法」上,誤っているものはどれか。
- 1.特定建設作業とは,建設工事として行われる作業のうち,著しい騒音を発生する作業であって政令で定めるものをいう。
- 2.特定施設とは,工場又は事業場に設置される施設のうち,著しい騒音を発生する施設であって政令で定めるものをいう。
- 3.指定地域内において,特定建設作業を伴う建設工事を施工しようとする者は,当該特定建設作業の開始の日の 7 日前までに,省令で定めるところにより,市町村長に届け出なければならない。
- 4.指定地域内において,特定施設が設置されていない事業場に特定施設を設置しようとする者は,その特定施設の設置の工事の開始の日の 14 日前までに,省令で定めるところにより,市町村長に届け出なければならない。
正解:4
解説
考え方
肢4が誤りです。指定地域内において特定施設を設置しようとする者は,その特定施設の設置の工事の開始の日の30日前までに,市町村長に届け出なければなりません。14日前までではありません。
肢1は正しい記述です。特定建設作業とは,建設工事として行われる作業のうち,著しい騒音を発生する作業であって政令で定めるもの(くい打機を使用する作業など)をいいます。
肢2も正しい記述です。特定施設とは,工場又は事業場に設置される施設のうち,著しい騒音を発生する施設であって政令で定めるもの(空気圧縮機・送風機など)をいいます。
肢3も正しい記述です。指定地域内において特定建設作業を伴う建設工事を施工しようとする者は,当該特定建設作業の開始の日の7日前までに,市町村長に届け出なければなりません。
答え:4 特定施設の設置の工事の開始の日の14日前までに,市町村長に届け出なければならない。
届出は「特定建設作業=作業開始の7日前まで」「特定施設の設置=工事開始の30日前まで」で,届出先はどちらも市町村長です。7日と30日(あるいは14日)の入れ替えが定番のひっかけです。
掲載している試験問題は、一般財団法人 建設業振興基金が公表した過去問題を使用しています。図・写真は表示用に一部トリミング等の加工をしています。解説は当サイトが独自に作成したものです。