令和5年度下期(午後) 第一種電気工事士 学科試験の問題と解説【全50問】
全問題を正答・解説付きで掲載しています。
この試験回をクイズ形式で解く →問1
電気に関する基礎理論図のような鉄心にコイルを巻き付けたエアギャップのある磁気回路の磁束φを2×10⁻³ Wb にするために必要な起磁力Fm[A]は。ただし,鉄心の磁気抵抗R1=8×10⁵ H⁻¹,エアギャップの磁気抵抗R2=6×10⁵ H⁻¹とする。

- イ.1 400
- ロ.2 000
- ハ.2 800
- ニ.3 000
正解:ハ
解説
磁気回路はオームの法則と同じ形で考える
磁気回路は,電気回路の「電圧=電流×抵抗」と同じ形で,次のように表せます。
が起磁力[A], が磁束[Wb], が磁気抵抗[H⁻¹]です。鉄心とエアギャップの磁気抵抗は直列とみなせるので,そのまま足し算します。
この問題にあてはめる
答え:ハ 2 800
と を足さずにどちらか一方だけで計算すると,イ(1 400)やロ(2 000)に近い値になってしまいます。エアギャップがある回路では,鉄心側とエアギャップ側の磁気抵抗を両方合計するのを忘れないことが大切です。
問2
電気に関する基礎理論図のような回路において,抵抗[ ]は,すべて2 Ωである。a-b 間の合成抵抗値[Ω]は。

- イ.1
- ロ.2
- ハ.3
- ニ.4
正解:ロ
解説
まず「素通しの導線」を探す
この問題の最大のポイントは,a側のブロックです。aのすぐ右では,上に2Ω,下に2Ωがあり,その間を抵抗のないただの導線が結んでいます。両端が同じ接続点につながっている以上,電流はすべて抵抗ゼロの導線側を流れるため,このブロックの上下2本の2Ωは短絡(ショート)されていて働きません。
残りの回路を整理する
a側ブロックの右の接続点からbまでは,2つのルートの並列です。
- 上側ルート:2Ω(中央の抵抗)+ 右側の「2Ωと2Ωの並列」
- 下側ルート:下段の2Ωが3本直列
この2ルートが並列なので
a側ブロックは0Ωですから,a-b間の合成抵抗はそのまま
答え:ロ 2
a側の並列2本をと計算して合計(ハ)を選ばせるのが出題者の狙いです。合成抵抗の問題では,計算を始める前に「抵抗を素通りする導線(短絡路)がないか」を必ず確認しましょう。短絡された抵抗は,あってもないのと同じです。
問3
電気に関する基礎理論図のような交流回路において,電源電圧は120 V,抵抗は8 Ω,リアクタンスは15 Ω,回路電流は17 A である。この回路の力率[%]は。

- イ.38
- ロ.68
- ハ.88
- ニ.98
正解:ハ
解説
並列回路は電流を分解して考える
抵抗8Ωには電流8A,リアクタンス15Ωには電流15Aが流れており,回路全体の電流は17Aです(図に書かれている値のとおり,これは の直角三角形の関係になっています)。
力率は「有効電流/全体の電流」
力率とは,全体の電流のうちどれだけが抵抗側(有効分)に使われているかの割合です。
あれ,と思うかもしれませんが,ここで抵抗に流れる電流が15A,リアクタンス側が8Aという組合せに注意してください(図の矢印表記に対応:15Aが抵抗8Ω側,8Aがリアクタンス15Ω側)。
答え:ハ 88
力率は「電圧と電流の位相のズレ」を表すもので,並列回路では抵抗を流れる電流(有効電流)を全電流で割ることで求められます。直列回路の力率の公式()とは求め方の形が違う点に注意しましょう。
問4
電気に関する基礎理論図のような交流回路において,電源電圧120 V,抵抗20 Ω,誘導性リアクタンス10 Ω,容量性リアクタンス30 Ωである。図に示す回路の電流I[A]は。

- イ.8
- ロ.10
- ハ.12
- ニ.14
正解:ロ
解説
3つの枝の電流をそれぞれ求める
LとCは向きが逆(打ち消し合う)
コイル(L)とコンデンサ(C)の電流は,位相が180度反対向きなので,そのまま引き算します。
全体の電流は直角三角形で合成
抵抗の電流()とLC差分の電流は90度ズレているため,ピタゴラスの定理で合成します。
答え:ロ 10
と を単純に足してしまう()と,力率のかかっていない誤った値になります。LとCは逆向きなので必ず引き算してから合成することが大切です。
問5
電気に関する基礎理論図のような三相交流回路において,電流Iの値[A]は。

- イ.200√3/17
- ロ.40/√3
- ハ.40
- ニ.40√3
正解:ロ
解説
図の構成を正しく読み取る
この問題は,電源から出た各線に4Ωの抵抗(四角い箱の記号=純抵抗)が直列に入り,その先でΔ(デルタ)結線された3つの9Ωの負荷(コイルの記号で描かれている=リアクタンス)につながっています。9Ωの負荷はコイルの記号なので,抵抗ではなくリアクタンスとして扱う必要があります。
Δ→Y変換でリアクタンスを求める
Δ結線のリアクタンス9Ωを,等価なY(スター)結線に変換すると
1相あたりのインピーダンス
線路の4Ω(抵抗)とY変換後の3Ω(リアクタンス)は,性質が違う(抵抗とリアクタンス)ので単純な足し算ではなく,ピタゴラスの定理で合成します。
相電圧から電流を求める
線間電圧200Vなので,相電圧(星形換算の1相分の電圧)は
電流は
答え:ロ 40/√3
抵抗とリアクタンスをそのまま足し算して としてしまうと,どの選択肢にも一致しない値になります。「箱の記号=抵抗」「コイルの記号=リアクタンス」を見分け,異なる性質の値は必ずインピーダンスの合成式()でまとめることが,この問題の最大のポイントです。
問6
配電理論及び配線設計図aのような単相3線式電路と,図bのような単相2線式電路がある。図aの電線1線当たりの供給電力は,図bの電線1線当たりの供給電力の何倍か。ただし,Rは定格電圧V[V]の抵抗負荷であるとする。

- イ.1/3
- ロ.1/2
- ハ.4/3
- ニ.5/3
正解:ハ
解説
それぞれの電線1線あたりの供給電力を式にする
図aの単相3線式は,上下に抵抗Rの負荷が2つ直列的に接続され,中性線を挟んで電圧V(各負荷にV)がかかる構成です。全体の供給電力は
電線は3本(中性線含む)ですが,中性線には(平衡時)電流が流れないため,実質的に電力を運ぶのに寄与するのは外側の2本と考えます。ここで問われている「電線1線当たり」の考え方に沿うと,図aは電線3本で を送っている計算になります。
図bの単相2線式は,電圧Vで抵抗Rの負荷1つに電力を供給する単純な回路です。
電線は2本です。
電線1線あたりの供給電力を比較する
答え:ハ 4/3
単相3線式は,同じ太さの電線を使っても2線式より多くの電力を効率よく送れるのが特長です。それぞれの電力を単純に比較するのではなく,「電線1本あたり」に直してから比べることを忘れないようにしましょう。
問7
配電理論及び配線設計図のように,三相3線式構内配電線路の末端に,力率0.8(遅れ)の三相負荷がある。この負荷と並列に電力用コンデンサを設置して,線路の力率を1.0 に改善した。コンデンサ設置前の線路損失が2.5 kW であるとすれば,設置後の線路損失の値[kW]は。ただし,三相負荷の負荷電圧は一定とする。

- イ.0
- ロ.1.6
- ハ.2.4
- ニ.2.8
正解:ロ
解説
線路損失は電流の2乗に比例する
線路損失は の形で表され,電流の2乗に比例します。負荷の有効電力が一定のとき,力率が変わると電流は
の関係になるので,電流は力率に反比例します。したがって損失は「力率の2乗に反比例」します。
この問題にあてはめる
力率0.8から1.0に改善したので,損失は
答え:ロ 1.6
力率を1.0(改善前の0.8/1.0=0.8倍)にすると,電流が0.8倍になり,損失はその2乗の0.64倍に減ります。「力率が0.8倍になったから損失も0.8倍」と考えてしまうと2.0kWという誤った値になるので注意しましょう。損失は電流の2乗に比例する,という点が最大のポイントです。
問8
配電理論及び配線設計図のように,配電用変電所の変圧器の百分率インピーダンスは21%(定格容量30 MV・A基準),変電所から電源側の百分率インピーダンスは2%(系統基準容量10 MV・A),高圧配電線の百分率インピーダンスは3%(基準容量10 MV・A)である。高圧需要家の受電点(A点)から電源側の合成百分率インピーダンスは基準容量10 MV・Aでいくらか。ただし,百分率インピーダンスの百分率抵抗と百分率リアクタンスの比は,いずれも等しいとする。

- イ.8 %
- ロ.12 %
- ハ.20 %
- ニ.28 %
正解:ロ
解説
百分率インピーダンスは基準容量をそろえてから足す
百分率インピーダンス(%Z)は,基準容量が異なるとそのままでは比較・合算できません。まず,すべてを同じ基準容量(この問題では10 MV・A)にそろえます。
変圧器の%Zは30 MV・A基準で21%なので,10 MV・A基準に変換すると
3つの%Zを直列として合計する
変電所から電源側の系統:2%(もともと10 MV・A基準) 高圧配電線:3%(もともと10 MV・A基準) 変圧器(換算後):7%
すべて同じ10 MV・A基準にそろったので,そのまま合計できます。
答え:ロ 12%
基準容量をそろえずに21%のまま3%・2%と足してしまうと,まったく違う値になってしまいます。「%Zは基準容量が同じでないと足し算できない」という前提を必ず思い出しましょう。
問9
電気応用図のように,直列リアクトルを設けた高圧進相コンデンサがある。この回路の無効電力(設備容量)[var]を示す式は。ただし,XL<XCとする。

- イ.V²/(XC-XL)
- ロ.V²/(XC+XL)
- ハ.XCV/(XC-XL)
- ニ.V/(XC-XL)
正解:イ
解説
直列リアクトルとコンデンサは打ち消し合う関係
直列リアクトル()と進相コンデンサ()は,電圧に対して逆向きに働くリアクタンスなので,回路全体として効いてくるリアクタンスは差になります。
( なので,コンデンサ側の性質が残り,正の値になります)
無効電力の基本式にあてはめる
コンデンサ・リアクトルの直列回路にかかる線間電圧を とすると,無効電力(設備容量)は
の形になります。これは,通常のコンデンサ単体の無効電力の式 で,直列リアクトルの分だけ実効的なリアクタンスが に減っていると考えれば自然に理解できます。
答え:イ V²/(XC-XL)
ロの分母()のように足し算にしてしまうと,直列リアクトルとコンデンサが同じ向きに働くことになってしまい,実際の回路の性質と合いません。直列リアクトルは高調波抑制や突入電流抑制のためにコンデンサと組み合わせて設置されますが,リアクタンスとしては打ち消し合う(差になる)方向で働く点を覚えておきましょう。
問10
電気応用図において,一般用低圧三相かご形誘導電動機の回転速度に対するトルク曲線は。

- イ.A
- ロ.B
- ハ.C
- ニ.D
正解:ハ
解説
かご形誘導電動機の典型的なトルク特性
一般用の低圧三相かご形誘導電動機のトルク曲線は,起動時(回転速度0)にある程度のトルクがあり,回転速度が上がるにつれて一度トルクが最大値(最大トルク/脱出トルク)を迎え,そこからさらに回転速度が上がると急激にトルクが下がって0(同期速度)に至る,という山型の形になります。
図の各曲線との違い
- A:起動時に高く,回転速度とともに単調に減っていく曲線(かご形の典型とは異なる)
- B:起動時のトルクが低く,途中でピークを迎える曲線
- C:起動時はやや低めで,回転速度の中盤で最大トルクの山を作り,その後急に0に落ちる曲線(かご形誘導電動機の典型的な形)
- D:回転速度とともにトルクが増加し続ける曲線(誘導電動機の特性とは異なる)
答え:ハ C
かご形誘導電動機は,起動時にはある程度のトルクを持ちつつ,回転速度の中盤(同期速度の80%前後)で最大トルクを迎え,同期速度に近づくとトルクが急減して0になるという山型カーブが特徴です。この形を覚えておけば,グラフ問題は形だけで判別できます。
問11
電気機器・蓄電池・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具並びに受電設備変圧器の鉄損に関する記述として,正しいものは。
- イ.一次電圧が高くなると鉄損は増加する。
- ロ.鉄損はうず電流損より小さい。
- ハ.鉄損はヒステリシス損より小さい。
- ニ.電源の周波数が変化しても鉄損は一定である。
正解:イ
解説
鉄損とは
鉄損は,変圧器の鉄心内部で発生する損失で,主に「ヒステリシス損」と「うず電流損」の2つで構成されます。
各選択肢を確認する
- イ「一次電圧が高くなると鉄損は増加する」:鉄損は電圧(正確には磁束密度)にほぼ比例して増加するため,これは正しい記述です。
- ロ「鉄損はうず電流損より小さい」:鉄損はヒステリシス損とうず電流損の合計そのものなので,鉄損がうず電流損より小さくなることはありません(誤り)。
- ハ「鉄損はヒステリシス損より小さい」:同じ理由で鉄損がヒステリシス損より小さくなることもありません(誤り)。
- ニ「電源の周波数が変化しても鉄損は一定である」:ヒステリシス損は周波数に比例,うず電流損は周波数の2乗に比例するため,周波数が変わると鉄損も変化します(誤り)。
答え:イ
鉄損は「ヒステリシス損+うず電流損」の合計であることを覚えておけば,ロ・ハのような「鉄損が内訳の一部より小さい」という記述はすぐに誤りだと判断できます。
問12
電気応用「日本産業規格(JIS)」では照明設計基準の一つとして,維持照度の推奨値を示している。同規格で示す学校の教室(机上面)における維持照度の推奨値[lx]は。
- イ.30
- ロ.300
- ハ.900
- ニ.1300
正解:ロ
解説
JISが定める照度基準
日本産業規格(JIS Z 9110)では,用途ごとに維持照度の推奨値が定められています。学校の教室(机上面)については,学習活動に十分な明るさとして
が推奨値とされています。
答え:ロ 300
照度の数値は暗記が必要な分野ですが,教室のような日常的に文字を読む作業空間では300 lx程度,事務室ではやや高めの500〜750 lx程度というように,用途の重要度・作業の細かさに応じて段階的に数値が上がっていくと覚えると整理しやすくなります。
問13
電気応用りん酸形燃料電池の発電原理図として,正しいものは。

- イ.(図参照)
- ロ.(図参照)
- ハ.(図参照)
- ニ.(図参照)
正解:ロ
解説
りん酸形燃料電池のしくみ
りん酸形燃料電池は,負極(-)に水素(H₂)を,正極(+)に酸素(O₂)を供給し,電解液(りん酸水溶液)を介して化学反応を起こすことで発電する装置です。負極側で水素が反応してイオンが電解液を移動し,正極側で酸素と結びついて水(H₂O)ができるのが基本の流れです。
図の見分け方
正しい図では,負極(-)側に水素(H₂)が供給され,正極(+)側に酸素(O₂)が供給され,正極側の生成物として水(H₂O)が排出されます。この向き(負極=H₂側,正極=O₂側,かつ水は正極側から出る)が実際のりん酸形燃料電池の構造と一致しています。
答え:ロ
イやハのように,負極側に酸素(O₂),正極側に水素(H₂)を供給する図は,電極の役割が逆になっており誤りです。「水素を供給する側が負極」「酸素を供給する側が正極で,そこから水ができる」という対応関係を覚えておくと迷わず判断できます。
問14
電気機器・蓄電池・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具並びに受電設備写真に示すものの名称は。

- イ.金属ダクト
- ロ.バスダクト
- ハ.トロリーバスダクト
- ニ.銅帯
正解:ロ
解説
写真の特徴から判断する
写真に写っているのは,銅やアルミの帯状導体を金属製の外箱(ダクト)に収めた配線資材です。大電流を扱う幹線などで使われ,外箱の側面に接続用の端子部分が突き出しているのが特徴です。
選択肢の違い
- 金属ダクト:電線(ケーブル)を収めるための金属製の箱状のダクトで,内部に帯状導体そのものは組み込まれていません。
- バスダクト:内部に銅帯(バスバー)を絶縁して収めた大電流用の幹線材料。写真のような外観になります。
- トロリーバスダクト:走行するクレーンなどに給電するための,スライド接触式の特殊なバスダクトです。
- 銅帯:ダクトに収める前の帯状の導体そのもので,外箱はありません。
答え:ロ バスダクト
外観が似ている金属ダクトと混同しやすいですが,バスダクトは内部に銅帯を収めた大電流幹線用の資材で,主に工場やビルの大容量幹線に使われます。写真に外箱と接続端子が一体になっている点が見分けるポイントです。
問15
電気機器・蓄電池・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具並びに受電設備写真に示す雷保護用として施設される機器の名称は。

- イ.地絡継電器
- ロ.漏電遮断器
- ハ.漏電監視装置
- ニ.サージ防護デバイス(SPD)
正解:ニ
解説
写真・結線図の特徴
写真の機器は,分電盤などの主幹MCCBの負荷側に接続され,雷サージなどの異常電圧が侵入した際にそのエネルギーを大地に逃がして機器を保護する装置です。結線図でも,主幹と負荷の間に分離器を介して接続される構成が示されています。
選択肢の違い
- 地絡継電器:地絡(漏電)を検出してブザーや警報を出す装置で,雷サージの吸収機能はありません。
- 漏電遮断器:地絡電流を検出して回路を遮断する保護装置で,雷保護とは目的が異なります。
- 漏電監視装置:漏電の状態を監視する装置で,雷サージ対策ではありません。
- サージ防護デバイス(SPD):雷や開閉サージによる異常電圧から機器を保護するために設置する装置で,写真・結線図の内容と一致します。
答え:ニ サージ防護デバイス(SPD)
SPDは避雷器(アレスタ)と似た働きをしますが,主に低圧側の分電盤やコンセント回路など,機器の入口に設置して雷サージから内部の電子機器を守る目的で使われます。「サージ」というキーワードとセットで覚えておきましょう。
問16
発電施設・送電施設及び変電施設の基礎的な構造及び特性図に示す発電方式の名称で,最も適切なものは。

- イ.熱併給発電(コージェネレーション)
- ロ.燃料電池発電
- ハ.スターリングエンジン発電
- ニ.コンバインドサイクル発電
正解:ニ
解説
図の構成から発電方式を判断する
図は,燃料と空気をガスタービンで燃焼させて発電機を回し(1段目),その排ガスの高い熱を排熱回収ボイラで回収して蒸気を作り,その蒸気で蒸気タービンをさらに回して発電する(2段目)という2段構えの構成になっています。
選択肢の違い
- 熱併給発電(コージェネレーション):発電と同時に排熱を給湯・暖房などに利用する方式で,蒸気タービンで再度発電するという構成ではありません。
- 燃料電池発電:化学反応で直接発電する方式で,タービンを使いません。
- スターリングエンジン発電:外部から熱を加えて気体を膨張・収縮させる熱機関で,ガスタービン・蒸気タービンの組合せとは異なります。
- コンバインドサイクル発電:ガスタービンの排熱を利用して蒸気タービンを回し,2段階で発電することで熱効率を高める方式。図の構成と一致します。
答え:ニ コンバインドサイクル発電
コンバインドサイクルは,ガスタービンの高温排ガスを「捨てずに」蒸気タービンの燃料として再利用する点が最大の特徴です。図に排熱回収ボイラと蒸気タービンの両方が描かれていたら,コンバインドサイクルだと判断できます。
問17
発電施設・送電施設及び変電施設の基礎的な構造及び特性有効落差100 m,使用水量20 m³/s の水力発電所の発電機出力[MW]は。ただし,水車と発電機の総合効率は85 %とする。
- イ.1.9
- ロ.12.7
- ハ.16.7
- ニ.18.7
正解:ハ
解説
水力発電出力の基本式
水力発電の出力は,次の式で求められます。
は使用水量[m³/s],は有効落差[m],は総合効率です。
この問題にあてはめる
kWをMWに直すと
答え:ハ 16.7
水力発電の出力計算では,係数「9.8」(重力加速度に由来)を忘れずにかけること,そして効率を最後にかけ算するのを忘れないことがポイントです。単位をkWのまま選択肢と見比べようとすると桁がズレてしまうので,MWへの変換も忘れずに行いましょう。
問18
発電施設・送電施設及び変電施設の基礎的な構造及び特性高圧ケーブルの電力損失として,該当しないものは。
- イ.抵抗損
- ロ.誘電損
- ハ.シース損
- ニ.鉄損
正解:ニ
解説
ケーブルの電力損失の内訳
高圧ケーブルの電力損失には,主に次の3つがあります。
- 抵抗損:導体自体の電気抵抗によるジュール熱の損失
- 誘電損:絶縁体(誘電体)の中で電界によって発生する損失
- シース損:ケーブル外装の金属シースに誘導される電流による損失
鉄損はケーブルには該当しない
鉄損は,鉄心を持つ変圧器やモータなど,磁性体(鉄心)を使う機器で発生する損失です。高圧ケーブルには鉄心にあたる構造がないため,鉄損という概念自体が当てはまりません。
答え:ニ 鉄損
鉄損は変圧器や電動機の損失であり,ケーブルの損失としては存在しません。ケーブルの損失は「抵抗損・誘電損・シース損」の3つとセットで覚えておきましょう。
問19
発電施設・送電施設及び変電施設の基礎的な構造及び特性同一容量の単相変圧器を並行運転するための条件として,必要でないものは。
- イ.各変圧器の極性を一致させて結線すること。
- ロ.各変圧器の変圧比が等しいこと。
- ハ.各変圧器のインピーダンス電圧が等しいこと。
- ニ.各変圧器の効率が等しいこと。
正解:ニ
解説
並行運転に必要な条件
同一容量の単相変圧器を並行運転するには,主に次の条件が必要です。
- 各変圧器の極性(結線の向き)が一致していること
- 各変圧器の変圧比(一次・二次の巻数比)が等しいこと
- 各変圧器のインピーダンス電圧(%インピーダンス)が等しいこと
これらが満たされないと,変圧器間で循環電流が流れたり,負荷分担が偏ったりする問題が起きます。
「効率」は条件に含まれない
各変圧器の効率が異なっていても,並行運転自体は可能です。効率の違いは発熱量や損失の違いにつながりますが,並行運転を成立させるための必須条件ではありません。
答え:ニ 各変圧器の効率が等しいこと
並行運転の条件は「極性」「変圧比」「インピーダンス電圧(%Z)」の3つが基本です。効率はこれらとは別の指標であり,並行運転の可否には直接関係しません。
問20
電気工事の施工方法次の機器のうち,高頻度開閉を目的に使用されるものは。
- イ.高圧断路器
- ロ.高圧交流負荷開閉器
- ハ.高圧交流真空電磁接触器
- ニ.高圧交流遮断器
正解:ハ
解説
各機器の役割の違い
- 高圧断路器:電流が流れていない状態(無負荷状態)で回路を開閉するための機器で,頻繁な開閉には使いません。
- 高圧交流負荷開閉器:負荷電流程度の開閉が可能ですが,頻繁な開閉を主目的とした機器ではありません。
- 高圧交流真空電磁接触器:真空バルブを使い,電動機の始動・停止など,1日に何度も繰り返される高頻度の開閉に適した機器です。
- 高圧交流遮断器:主に事故電流(短絡電流など)を遮断するための機器で,日常的な高頻度開閉を目的にはしていません。
答え:ハ 高圧交流真空電磁接触器
電磁接触器は,電動機の起動・停止のように「1日に何度も」開閉が繰り返される用途に向いており,機械的・電気的な耐久性が高頻度開閉に対応できるよう設計されています。遮断器や断路器と役割が混同されやすいので,「頻繁な開閉=電磁接触器」と覚えておきましょう。
問21
電気工事の施工方法B種接地工事の接地抵抗値を求めるのに必要とするものは。
- イ.変圧器の高圧側電路の1線地絡電流[A]
- ロ.変圧器の容量[kV・A]
- ハ.変圧器の高圧側ヒューズの定格電流[A]
- ニ.変圧器の低圧側電路の長さ[m]
正解:イ
解説
B種接地工事の目的
B種接地工事は,高圧電路と低圧電路を結ぶ変圧器において,万一混触(高圧側と低圧側が接触する事故)が起きた際に,低圧側の電位上昇を一定値以下に抑えるために行う接地工事です。
接地抵抗値を求める式
B種接地工事の接地抵抗値は,次の式で求めます。
は,変圧器の高圧側電路の1線地絡電流[A]です。地絡電流が大きいほど,より低い接地抵抗値が必要になります。
選択肢の検討
変圧器の容量やヒューズの定格電流,低圧側電路の長さは,B種接地工事の抵抗値を直接求める式には使われません。必要なのは「高圧側電路の1線地絡電流」です。
答え:イ 変圧器の高圧側電路の1線地絡電流[A]
B種接地工事の抵抗値の計算は「1線地絡電流で150(状況により600や300)を割る」という式が基本です。この地絡電流の値がなければ計算そのものができません。
問22
電気機器・蓄電池・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具並びに受電設備写真に示す機器の用途は。

- イ.高電圧を低電圧に変圧する。
- ロ.大電流を小電流に変流する。
- ハ.零相電圧を検出する。
- ニ.コンデンサ回路投入時の突入電流を抑制する。
正解:イ
解説
写真の機器の特徴
写真に写っているのは,内部に巻線を持つ変成器タイプの機器で,高圧の電圧を計器で扱いやすい低い電圧に変換するために使われる機器です。
選択肢の違い
- 高電圧を低電圧に変圧する:計器用変圧器(VT)の役割そのもので,写真の機器の用途と一致します。
- 大電流を小電流に変流する:これは変流器(CT)の役割です。
- 零相電圧を検出する:これは零相電圧検出器(ZPD)の役割です。
- コンデンサ回路投入時の突入電流を抑制する:これは直列リアクトルの役割です。
答え:イ 高電圧を低電圧に変圧する。
計器用変圧器(VT)は,高圧回路の電圧を計器や保護継電器で扱える電圧(通常110V程度)に変換する役割を持ちます。変流器(CT,電流を変換)と役割を混同しないようにしましょう。
問23
電気機器・蓄電池・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具並びに受電設備写真に示す過電流蓄勢トリップ付地絡トリップ形(SOG)の地絡継電装置付高圧交流負荷開閉器(GR付PAS)の記述として,誤っているものは。

- イ.一般送配電事業者の配電線への波及事故の防止に効果がある。
- ロ.自家用側の高圧電路に地絡事故が発生したとき,一般送配電事業者の配電線を停止させることなく,自動遮断する。
- ハ.自家用側の高圧電路に短絡事故が発生したとき,一般送配電事業者の配電線を停止させることなく,自動遮断する。
- ニ.自家用側の高圧電路に短絡事故が発生したとき,一般送配電事業者の配電線を一時停止させることがあるが,配電線の復旧を早期に行うことができる。
正解:ハ
解説
GR付PAS(SOG)の正しい動作
GR付PAS(過電流蓄勢トリップ付地絡トリップ形,SOG)は,自家用需要家の高圧引込口に設置される装置で,事故の種類によって動作の仕方が明確に異なります。
- 地絡事故が発生したとき:地絡継電器(GR)が動作し,一般送配電事業者の配電線を止めることなく,即時に自動遮断します。
- 短絡事故が発生したとき:PAS自身には短絡電流を遮断する能力がないため,その場ではすぐに遮断せず,一旦動作をロック(蓄勢)します。その後,配電用変電所側の遮断器が動作して配電線が無電圧になったことを検出してから,無電圧の状態で自動的に開放します。
この「地絡は即時遮断,短絡は一旦ロックしてから無電圧確認後に開放」という向きを逆にしないことが重要です。
各選択肢の検討
- イ:波及事故防止の効果があるという記述は正しい内容です。
- ロ:地絡事故時に配電線を止めずに自動遮断するという記述は正しい内容です。
- ハ:短絡事故時に「一般送配電事業者の配電線を停止させることなく,自動遮断する」とありますが,実際は前述のとおり短絡事故時は自らすぐには遮断できず,配電線側の遮断(一時的な停止)を経て無電圧を確認してから開放する動作になるため,この記述は誤りです。
- ニ:短絡事故時に配電線を一時停止させることがあるという記述は,実際の動作と一致しています。
答え:ハ(誤っているものとして選ぶ)
短絡事故のときにPAS単体で「配電線を止めずに自動遮断する」ことはできません。地絡事故と短絡事故で動作の仕組みが異なる(地絡=即時遮断,短絡=ロックして無電圧確認後に開放)点を混同しないようにしましょう。
問24
電気工事の施工方法引込柱の支線工事に使用する材料の組合せとして,正しいものは。

- イ.亜鉛めっき鋼より線,玉がいし,アンカ
- ロ.耐張クランプ,巻付グリップ,スリーブ
- ハ.耐張クランプ,玉がいし,亜鉛めっき鋼より線
- ニ.巻付グリップ,スリーブ,アンカ
正解:イ
解説
支線工事の役割と使用材料
引込柱などの支線(支柱を支えるための斜めのワイヤー)は,柱の傾きを防ぐために張られます。この支線工事には,主に次の材料が使われます。
- 亜鉛めっき鋼より線:支線本体(ワイヤー)として使用します。
- 玉がいし:支線の途中に取り付けて絶縁するための,くびれた形状のがいしです。
- アンカ:地面に埋め込んで支線の端を固定するための金具です。
選択肢の違い
- イ:亜鉛めっき鋼より線,玉がいし,アンカ → 支線工事に必要な材料の組合せとして正しい内容です。
- ロ・ニ:耐張クランプ,巻付グリップ,スリーブは,主に電線同士の接続や引き留めに使う材料で,支線工事そのものの構成材料とは異なります。
- ハ:耐張クランプは電線の引き留め用であり,支線の構成材料としては不適切です。
答え:イ 亜鉛めっき鋼より線,玉がいし,アンカ
支線は「ワイヤー(亜鉛めっき鋼より線)+絶縁部品(玉がいし)+地面への固定金具(アンカ)」という3点セットで構成されると覚えておくと,選択肢の組合せ問題に強くなります。
問25
電気機器・蓄電池・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具並びに受電設備写真に示す材料の名称は。

- イ.ボードアンカ
- ロ.インサート
- ハ.ボルト形コネクタ
- ニ.ユニバーサルエルボ
正解:ロ
解説
写真の材料の特徴
写真に写っているのは,コンクリート打設前にあらかじめ型枠に取り付けておき,あとから吊りボルトなどをねじ込めるようにするための埋込み金具です。
選択肢の違い
- ボードアンカ:石こうボードなど中が空洞の壁材に,後から差し込んで固定する金具です。
- インサート:コンクリートスラブなどにあらかじめ埋め込んでおき,あとから吊りボルトをねじ込むための金具です。写真の形状と一致します。
- ボルト形コネクタ:電線同士を接続するための圧着・締付け用コネクタです。
- ユニバーサルエルボ:電線管を曲げて接続するための管路材料です。
答え:ロ インサート
インサートは,天井から照明器具やダクトなどを吊り下げる際の下地として,コンクリート工事の段階であらかじめ埋め込んでおく金具です。後から取り付けるボードアンカとの違い(先付けか後付けか)を意識しておくと区別しやすくなります。
問26
電気工事の施工方法写真の器具の使用方法の記述として,正しいものは。

- イ.墜落制止用器具の一種で高所作業時に使用する。
- ロ.高圧受電設備の工事や点検時に使用し,誤送電による感電事故の防止に使用する。
- ハ.リレー試験時に使用し,各所のリレーに接続する。
- ニ.変圧器等の重量物を吊り下げ運搬,揚重に使用する。
正解:ロ
解説
写真の器具の役割
写真には「接地中」と書かれた表示バッグと,クリップの付いたケーブル(検電・短絡接地器具一式)が写っています。これらは,高圧受電設備の工事や点検の際に,作業者が誤って充電された電路に触れて感電しないよう,電路を確実に接地して安全を確保するために使う器具です。
選択肢の違い
- イ:墜落制止用器具は高所作業用の安全帯などを指し,この写真の器具とは異なります。
- ロ:高圧受電設備の工事や点検時に,誤送電による感電事故を防止するために使用する,という記述は,写真の器具の実際の用途と一致します。
- ハ:リレー試験専用の器具ではありません。
- ニ:重量物の吊り下げ運搬に使う器具ではありません。
答え:ロ 高圧受電設備の工事や点検時に使用し,誤送電による感電事故の防止に使用する。
停電作業の際は,電路を開放するだけでなく,このような接地器具で電路を確実に接地し,「接地中」の表示をして周囲に注意喚起することが,誤送電による重大事故を防ぐために欠かせない手順です。
問27
電気工事の施工方法自家用電気工作物において,低圧の幹線から分岐して,水気のない場所に施設する低圧用の電気機械器具に至る低圧分岐回路を設置する場合において,不適切なものは。
- イ.低圧分岐回路の適切な箇所に開閉器を施設した。
- ロ.低圧分岐回路に過電流が生じた場合に幹線を保護できるよう,幹線にのみ過電流遮断器を施設した。
- ハ.低圧分岐回路に,<PS>Eの表示のある漏電遮断器(定格感度電流が15 mA以下,動作時間が0.1秒以下の電流動作型のものに限る。)を施設した。
- ニ.低圧分岐回路は,他の配線等との混触による火災のおそれがないよう施設した。
正解:ロ
解説
低圧分岐回路の基本ルール
低圧の幹線から分岐して電気機械器具に至る低圧分岐回路には,過電流遮断器や開閉器を適切に施設することが求められます。
各選択肢の検討
- イ:分岐回路の適切な箇所に開閉器を施設することは,一般的な施工方法として適切です。
- ロ:分岐回路の保護は,幹線にのみ過電流遮断器を施設するのではなく,分岐回路自体にもその太さ・長さに応じた過電流遮断器を施設する必要があります。幹線側だけの保護では,分岐回路で過電流が生じた場合に,その分岐回路の電線自体を保護できないため,これは不適切な内容です。
- ハ:水気のない場所でも,<PS>E表示のある高感度・高速形の漏電遮断器を分岐回路に設けることは,감電・火災防止のための適切な対策の一つです。
- ニ:分岐回路を他の配線と混触しないように施設することは,火災防止の基本であり適切です。
答え:ロ
幹線の保護と分岐回路の保護は別物です。分岐回路の電線の太さに応じた過電流遮断器を,分岐点から一定の距離以内に設置する必要があります。「幹線さえ保護すれば分岐回路も守られる」という考え方は誤りである点に注意しましょう。
問28
電気工事の施工方法合成樹脂管工事に使用できない絶縁電線の種類は。
- イ.600V ビニル絶縁電線
- ロ.600V 二種ビニル絶縁電線
- ハ.600V 耐燃性ポリエチレン絶縁電線
- ニ.屋外用ビニル絶縁電線
正解:ニ
解説
合成樹脂管工事で使える電線の条件
合成樹脂管(PF管・VE管など)工事では,一般的な絶縁電線(600Vビニル絶縁電線,600V二種ビニル絶縁電線,600V耐燃性ポリエチレン絶縁電線など)を使用できます。
屋外用ビニル絶縁電線(OW線)は使えない
屋外用ビニル絶縁電線(OW線)は,主に屋外の低圧架空配線など,管に収めずに使うことを前提とした電線であり,絶縁物の厚みや性能の面で,管内に収めて使う配線(合成樹脂管工事や金属管工事など)には使用できません。
答え:ニ 屋外用ビニル絶縁電線
OW線(屋外用ビニル絶縁電線)は,管工事全般(合成樹脂管・金属管など)に使用できない電線として繰り返し出題されるポイントです。「屋外用=管に入れない」とセットで覚えておきましょう。
問29
電気工事の施工方法低圧配線と弱電流電線とが接近又は交差する場合,又は同一ボックスに収める場合の施工方法として,誤っているものは。
- イ.埋込形コンセントを収める合成樹脂製ボックス内に,ケーブルと弱電流電線との接触を防ぐため堅ろうな隔壁を設けた。
- ロ.低圧配線を金属管工事で施設し,弱電流電線と同一の金属製ボックスに収めた場合,ボックス内に堅ろうな隔壁を設け,金属製部分にはD種接地工事を施した。
- ハ.低圧配線を金属ダクト工事で施設し,弱電流電線と同一ダクトで施設する場合,ダクト内に堅ろうな隔壁を設け,金属製部分にはC種接地工事を施した。
- ニ.絶縁電線と同等の絶縁効力があるケーブルを使用したリモコンスイッチ用弱電流電線(識別が容易にできるもの)を,低圧配線と同一の配管に収めて施設した。
正解:ロ
解説
基本ルール:金属製部分は接地,隔壁で分離
低圧配線と弱電流電線が同一のボックスやダクトに収まる場合,原則として堅ろうな隔壁で仕切り,金属製部分には接地工事を施す必要があります。
各選択肢の検討
- イ:合成樹脂製ボックス内で隔壁を設ける対応は適切です。
- ロ:金属管工事+金属製ボックスで,隔壁を設け,記述では「D種接地工事」を施したとしていますが,この場合の金属製部分の接地工事はC種接地工事が正しく,D種接地工事とした点が誤りです。
- ハ:金属ダクト工事で弱電流電線と同一ダクトに収める場合,堅ろうな隔壁を設け,金属製部分にC種接地工事を施す対応は適切な内容です。
- ニ:絶縁電線と同等の絶縁効力を持つケーブルを使用したリモコンスイッチ用弱電流電線を,識別できる状態で低圧配線と同一の配管に収める対応は,規定上認められている適切な扱いです。
答え:ロ
低圧配線と弱電流電線を同一ボックス・ダクトに収める際の金属製部分の接地工事は,選択肢ロ・ハのようにC種接地工事を基準に考えます。「金属製部分=D種」と機械的に覚えていると,このロの記述を正しいと誤判定してしまうので注意しましょう。
【平面図】(問30〜問34共通)

問30
電気工事の施工方法①に示すCVTケーブルの終端接続部の名称は。
- イ.耐塩害屋外終端接続部
- ロ.ゴムとう管形屋外終端接続部
- ハ.ゴムストレスコーン形屋外終端接続部
- ニ.テープ巻形屋外終端接続部
正解:イ
解説
見取図の①部分を確認する
問30〜34は,自家用電気工作物構内の受電設備の見取図に関する連問です。①は,屋外に立ち上がったケーブル(引込柱付近)の先端で,避雷器のそばに設置されている接続部分を指しています。
終端接続部の種類
高圧CVTケーブル(トリプレックス形のCVケーブル)の屋外終端接続部としては,ゴムとう管形やゴムストレスコーン形などの形式がありますが,塩害の影響を受けやすい屋外(引込柱の上部など,雨風や潮風に直接さらされる場所)に設置する場合は,耐塩害屋外終端接続部を用いるのが一般的です。がいし形状の傘(ひだ)が大きく,沿面距離を稼ぐ構造になっているのが特徴です。
答え:イ 耐塩害屋外終端接続部
屋外の引込柱の高い位置に設置される終端接続部は,塩害・汚損に強い耐塩害形を使うのが基本です。設置場所が「屋外・引込柱の上部」という条件から判断しましょう。
問31
電気工事の施工方法②に示す引込柱及び引込ケーブルの施工に関する記述として,不適切なものは。
- イ.引込ケーブル立ち上がり部分を防護するため,地表からの高さ2 m,地表下0.2 mの範囲に防護管(鋼管)を施設し,雨水の浸入を防止する措置を行った。
- ロ.引込ケーブルの地中埋設部分は,需要設備構内であるので,「電力ケーブルの地中埋設の施工方法(JIS C 3653)」に適合する材料を使用し,舗装下面から30 cm以上の深さに埋設した。
- ハ.地中引込ケーブルは,鋼管による管路式としたが,鋼管に防食措置を施してあるので地中電線を収める鋼管の金属製部分の接地工事を省略した。
- ニ.引込柱に設置した避雷器を接地するため,接地極からの電線を薄鋼電線管に収めて施設した。
正解:ニ
解説
見取図の②部分(引込柱・地中引込ケーブル)を確認する
②は,引込柱から地中に埋設されて建物側に向かう高圧引込ケーブルの施工に関する問いです。
各選択肢の検討
- イ:引込ケーブルの立ち上がり部分(地表からの高さ2m,地表下0.2mの範囲)に防護管を設けて損傷や雨水浸入を防ぐことは,一般的な適切な施工方法です。
- ロ:地中埋設部分について,該当する規格に適合する材料を使い,舗装下面から30cm以上の深さに埋設することは,一般的な施工基準に合致した適切な内容です。
- ハ:地中電線を収める金属製の管路には原則D種接地工事が必要ですが,防食措置を施した部分については接地工事を省略できると定められています(電技解釈第123条ただし書)。したがって,防食措置を施した鋼管の接地を省略したこの記述は適切な内容です。
- ニ:引込柱に設置した避雷器の接地線を,金属製の薄鋼電線管に収めて施設するのは不適切です。接地線は,電線が損傷した際に感電・地絡の危険を避けるため,金属管ではなく合成樹脂管などの非金属材料に収めるべきです。金属管に収めてしまうと,管自体が電気的に繋がってしまい,保護の意味が失われてしまいます。
答え:ニ
避雷器の接地線を金属管(薄鋼電線管)に収めたという記述が不適切です。接地線を収める管は,感電防止の観点から合成樹脂管を用いるのが基本である点を覚えておきましょう。
問32
電気工事の施工方法③に示すケーブルラックの施工に関する記述として,誤っているものは。
- イ.長さ3 m,床上2.1 mの高さに設置したケーブルラックを乾燥した場所に施設し,A種接地工事を省略した。
- ロ.ケーブルラック上の高圧ケーブルと弱電流電線を15 cm離隔して施設した。
- ハ.ケーブルラック上の高圧ケーブルの支持点間の距離を,ケーブルが移動しない距離で施設した。
- ニ.電気シャフトの防火壁のケーブルラック貫通部に防火措置を施した。
正解:イ
解説
見取図の③部分(電気シャフト内のケーブルラック)を確認する
③は,建物内の電気シャフトに設置されたケーブルラックに関する問いです。
各選択肢の検討
- イ:長さ3m,床上2.1mの高さに設置し,乾燥した場所であればA種接地工事を省略できる,という記述がありますが,金属製のケーブルラックに施す接地工事は,乾燥した場所であっても原則としてD種接地工事(省略できる場合の条件も含め,A種ではなくD種の枠組みで扱う)が基準であり,A種接地工事という記述自体が誤りです。
- ロ:高圧ケーブルと弱電流電線を15cm離して施設することは,混触・誘導障害防止のための適切な離隔です。
- ハ:高圧ケーブルの支持点間の距離を,ケーブルが移動しない距離で施設することは適切な内容です。
- ニ:電気シャフトの防火壁を貫通する部分に防火措置を施すことは,火災の延焼防止のために必須の適切な措置です。
答え:イ
金属製ケーブルラックなどの機械器具の金属製外箱等に施す接地工事は,基本的にD種接地工事(300Vを超える場合はC種)であり,A種接地工事は主に高圧・特別高圧機器の鉄台や外箱に用いるものです。「ケーブルラック=A種」という組合せ自体が誤りである点を覚えておきましょう。
問33
電気工事の施工方法④に示すPF・S形の主遮断装置として,必要でないものは。
- イ.過電流ロック機能
- ロ.ストライカによる引外し装置
- ハ.相間,側面の絶縁バリア
- ニ.高圧限流ヒューズ
正解:イ
解説
PF・S形とは
PF・S形は,高圧限流ヒューズ(PF)と高圧交流負荷開閉器(S,LBS)を組み合わせた主遮断装置の方式です。過負荷・短絡電流をヒューズで遮断し,負荷開閉は開閉器で行うという役割分担になっています。
各選択肢の検討
- イ:過電流ロック機能は,どちらかというと真空遮断器(VCB)とOCR(過電流継電器)を組み合わせた方式で使われる考え方であり,PF・S形の主遮断装置に必須の機能ではありません。
- ロ:ストライカによる引外し装置は,ヒューズが溶断した際に開閉器を連動して引き外す仕組みで,1相のみの遮断(欠相運転)を防ぐためにPF・S形には必須の機能です。
- ハ:相間・側面の絶縁バリアは,短絡事故時のアークによる相間短絡や周辺への影響を防ぐために必要な構造です。
- ニ:高圧限流ヒューズは,PF・S形そのものを構成する中心的な機器です。
答え:イ 過電流ロック機能
PF・S形は「ヒューズ(過電流・短絡保護)+開閉器(負荷開閉)+ストライカによる連動遮断」という組合せが基本構成です。過電流ロック機能は,このPF・S形の必須構成要素ではない点がポイントです。
問34
電気工事の施工方法⑤に示す可とう導体を使用した施設に関する記述として,不適切なものは。
- イ.可とう導体を使用する主目的は,低圧母線に銅帯を使用したとき,過大な外力によりブッシングやがいし等の損傷を防止しようとするものである。
- ロ.可とう導体には,地震による外力等によって,母線が短絡等を起こさないよう,十分な余裕と絶縁セパレータを施設する等の対策が重要である。
- ハ.可とう導体は,低圧電路の短絡等によって,母線に異常な過電流が流れたとき,限流作用によって,母線や変圧器の損傷を防止できる。
- ニ.可とう導体は,防振装置との組合せ設置により,変圧器の振動による騒音を軽減することができる。ただし,地震による機器等の損傷を防止するためには,耐震ストッパの施設と併せて考慮する必要がある。
正解:ハ
解説
可とう導体の役割
可とう導体は,変圧器の母線(低圧側)と配電盤側の母線をつなぐ部分に使われる,柔軟性のある導体です。主に地震動や振動による損傷を防ぐ目的で設置されます。
各選択肢の検討
- イ:可とう導体の主目的が,過大な外力によるブッシングやがいし等の損傷防止であるという記述は,実際の設置目的と一致しています。
- ロ:地震時に母線が短絡等を起こさないよう,十分な余裕と絶縁セパレータを設ける対策は適切な内容です。
- ハ:可とう導体には限流作用(電流を制限する機能)はありません。限流作用は限流ヒューズなど別の機器が担うものであり,可とう導体が母線や変圧器を過電流から守る限流機能を持つという記述は誤りです。
- ニ:防振装置と組み合わせて変圧器の振動騒音を軽減できるという記述,および耐震ストッパとの併用が必要という記述は,実務上の適切な内容です。
答え:ハ
可とう導体はあくまで「柔軟性による振動・変位吸収」が目的であり,電流を制限する限流作用は持っていません。限流ヒューズなど電流を制限する機器と役割を混同しないようにしましょう。
問35
電気工事の施工方法「電気設備の技術基準の解釈」において,D種接地工事に関する記述として,誤っているものは。
- イ.D種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が10 Ω以下でなければ,D種接地工事を施したものとみなされない。
- ロ.接地抵抗値は,低圧電路において,地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは,500 Ω以下であること。
- ハ.接地抵抗値は,100 Ω以下であること。
- ニ.接地線は故障の際に流れる電流を安全に通じることができるものであること。
正解:イ
解説
D種接地工事の基準
D種接地工事の接地抵抗値は,原則として100Ω以下とされています。ただし,低圧電路において地絡を生じた場合に0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置(漏電遮断器など)を施設するときは,接地抵抗値を500Ω以下にすることができます。
各選択肢の検討
- イ:「10Ω以下でなければD種接地工事を施したものとみなされない」という記述がありますが,D種接地工事の基準は原則100Ω以下(条件により500Ω以下)であり,10Ω以下という基準はB種接地工事などに関連する数値であってD種の基準ではありません。この記述は誤りです。
- ロ:0.5秒以内に自動遮断する装置がある場合は500Ω以下でよい,という記述は正しい内容です。
- ハ:接地抵抗値は100Ω以下であるという記述は,D種接地工事の原則どおりで正しい内容です。
- ニ:接地線は故障電流を安全に流せるものであることという記述は,接地線一般の基本要件として正しい内容です。
答え:イ
D種接地工事の基準は「原則100Ω以下,特定の遮断装置がある場合は500Ω以下」です。「10Ω以下」という数値はD種の基準には出てこない点に注意してください。数値を正確に覚えているかがポイントの問題です。
問36
自家用電気工作物の検査方法公称電圧6.6 kVの交流電路に使用するケーブルの絶縁耐力試験を直流電圧で行う場合の試験電圧[V]の計算式は。
- イ.6 600×1.5×2
- ロ.6 600×(1.15/1.1)×1.5×2
- ハ.6 600×2×2
- ニ.6 600×(1.15/1.1)×2×2
正解:ロ
解説
交流電路の絶縁耐力試験の考え方
公称電圧6.6kVの交流電路のケーブルの絶縁耐力試験は,通常は交流で最大使用電圧の1.5倍の電圧を10分間加える方法で行いますが,直流で試験を行う場合は,交流の場合の2倍の電圧を印加することとされています(直流試験は交流試験と等価な絶縁性能を確認するため,係数が2倍になります)。
最大使用電圧への換算
公称電圧6 600Vから最大使用電圧を求めるには,係数 を掛けます。
試験電圧の式
交流試験電圧は最大使用電圧の1.5倍,直流試験電圧はその2倍なので
答え:ロ 6 600×(1.15/1.1)×1.5×2
「公称電圧→最大使用電圧の換算(×1.15/1.1)」「交流試験電圧(×1.5)」「直流試験は交流の2倍」という3つの掛け算を順番どおりに組み立てることがポイントです。途中の係数を1つでも忘れると,ハ(1.15/1.1の換算を忘れた形)やイ(換算も2倍もしていない形)に引っかかってしまいます。
問37
自家用電気工作物の検査方法変圧器の絶縁油の劣化診断に直接関係のないものは。
- イ.油中ガス分析
- ロ.真空度測定
- ハ.絶縁耐力試験
- ニ.酸価度試験(全酸価試験)
正解:ロ
解説
絶縁油の劣化診断の代表的な方法
変圧器の絶縁油の劣化状態を診断する方法としては,主に次のようなものがあります。
- 油中ガス分析:油の中に溶け込んだガスの成分を分析し,内部の異常(過熱・放電など)を検知する方法
- 絶縁耐力試験:油の絶縁破壊電圧を測定し,絶縁性能の低下を確認する方法
- 酸価度試験(全酸価試験):油の酸化による劣化度合いを,酸の量として数値化する方法
真空度測定は絶縁油の診断ではない
真空度測定は,主に真空遮断器(VCB)の真空バルブの真空度を確認するための試験であり,変圧器の絶縁油の劣化診断とは直接関係がありません。
答え:ロ 真空度測定
絶縁油の劣化診断は「油中ガス分析」「絶縁耐力試験」「酸価度試験」の3つが代表的な方法です。真空度測定は,真空遮断器(VCB)の点検項目であり,絶縁油の診断項目とは対象が異なる点を押さえておきましょう。
問38
一般用電気工作物等及び自家用電気工作物の保安に関する法令「電気工事士法」において,電圧600 V以下で使用する自家用電気工作物に係る電気工事の作業のうち,第一種電気工事士又は認定電気工事従事者でなくても従事できるものは。
- イ.ダクトに電線を収める作業
- ロ.電線管を曲げ,電線管相互を接続する作業
- ハ.金属製の線ぴを,建造物の金属板張りの部分に取り付ける作業
- ニ.電気機器に電線を接続する作業
正解:ニ
解説
「軽微な工事」に該当するかどうかがポイント
「電気工事士法」では,一定の軽微な作業については,電気工事士の資格がなくても従事できると定められています。
各選択肢の検討
- イ:ダクトに電線を収める作業は,電気工事士でなければできない作業(軽微な工事には該当しない)です。
- ロ:電線管を曲げたり,電線管相互を接続したりする作業も,専門的な技能を要するため電気工事士でなければできない作業です。
- ハ:金属製の線ぴを,建造物の金属板張りの部分に取り付ける作業も,感電・接地の観点から専門知識が必要となり,電気工事士でなければできない作業です。
- ニ:電気機器に電線を接続する作業のうち,「軽微な工事」に該当するものとして,例えばソケットや電気機器への単純な結線などは,電気工事士や認定電気工事従事者でなくても従事できる作業に含まれます。
答え:ニ 電気機器に電線を接続する作業
電気工事士法における「軽微な工事」は,具体的に条文・政令で列挙されています。差込み接続器(コンセント・プラグなど)への接続や,600V以下で使用する電気機器への簡単な電線接続などが該当し,それ以外の管工事やダクト工事は原則として資格が必要になる点を押さえておきましょう。
問39
一般用電気工作物等及び自家用電気工作物の保安に関する法令「電気用品安全法」において,交流の電路に使用する定格電圧100 V以上300 V以下の機械器具であって,特定電気用品は。
- イ.定格電圧100 V,定格電流60 Aの配線用遮断器
- ロ.定格電圧100 V,定格出力0.4 kWの単相電動機
- ハ.定格静電容量100 μFの進相コンデンサ
- ニ.定格電流30 Aの電力量計
正解:イ
解説
特定電気用品とは
「電気用品安全法」では,構造や使用方法から見て特に危険性が高い電気用品を「特定電気用品」として指定し,より厳しい適合性検査(PSEマーク〈丸に囲まれたPSE〉の表示)を義務付けています。
各選択肢の検討
- イ:定格電圧100V,定格電流60Aの配線用遮断器は,配線用遮断器のうち定格電流100A以下のものが特定電気用品に該当します。60Aはこの範囲に含まれ,特定電気用品です。
- ロ:定格電圧100V,定格出力0.4kWの単相電動機は,電気用品として規制対象ですが,特定電気用品ではなく「特定電気用品以外の電気用品」に区分されます。
- ハ:定格静電容量100μFの進相コンデンサは,「特定電気用品以外の電気用品」に区分されるコンデンサです。
- ニ:定格電流30Aの電力量計は,特定電気用品には該当しません。
答え:イ 定格電圧100V,定格電流60Aの配線用遮断器
配線用遮断器は,定格電流100A以下・定格電圧300V以下のものが特定電気用品に指定されています。「特定電気用品」は,感電・火災の危険性が高い品目(配線器具,電線,遮断器の一部など)に限定されている点を意識しておきましょう。
問40
一般用電気工作物等及び自家用電気工作物の保安に関する法令「電気工事業の業務の適正化に関する法律」において,正しいものは。
- イ.電気工事士は,電気工事業者の監督の下で,「電気用品安全法」の表示が付されていない電気用品を電気工事に使用することができる。
- ロ.電気工事業者が,電気工事の施工場所に二日間で完了する工事予定であったため,代表者の氏名等を記載した標識を掲げなかった。
- ハ.電気工事業者が,電気工事ごとに配線図等を帳簿に記載し,3年経ったので廃棄した。
- ニ.一般用電気工事の作業に従事する者は,主任電気工事士がその職務を行うため必要があると認めてする指示に従わなければならない。
正解:ニ
解説
電気工事業法の基本ルール
「電気工事業の業務の適正化に関する法律」(電気工事業法)では,電気工事業者や主任電気工事士の義務について定められています。
各選択肢の検討
- イ:電気工事士であっても,「電気用品安全法」の表示(PSEマーク等)が付されていない電気用品を電気工事に使用することは禁止されています。電気工事業者の監督があっても許されるわけではないため,この記述は誤りです。
- ロ:電気工事業者は,施工場所ごとに,たとえ短期間(2日間)の工事であっても,代表者の氏名等を記載した標識を掲げる義務があります。工期の長短にかかわらず標識の掲示は必要なので,この記述は誤りです。
- ハ:電気工事業者は,電気工事ごとに配線図等を帳簿に記載し,5年間保存することが義務付けられています。3年で廃棄したという記述は,保存期間が不足しており誤りです。
- ニ:一般用電気工事の作業に従事する者は,主任電気工事士がその職務を行うために必要と認めて行う指示に従わなければならないという規定は,法律の内容と一致しています。
答え:ニ
電気工事業法では「無表示品の使用禁止」「標識掲示の義務(工期に関係なく)」「帳簿・図面の5年間保存義務」「主任電気工事士の指示に従う義務」がセットで問われます。特に帳簿の保存期間(5年)と標識掲示の義務(短期工事でも省略不可)は数字・条件を間違えやすいので注意しましょう。
【制御回路図】(問41〜問45共通)

問41
配線図①の部分に設置する機器は。
- イ.配線用遮断器
- ロ.電磁接触器
- ハ.電磁開閉器
- ニ.漏電遮断器(過負荷保護付)
正解:ニ
解説
配線図1(三相誘導電動機の始動・停止制御回路)を確認する
この問題からの問41〜45は,3φ3W 200Vの電源から電磁接触器(MC)・熱動継電器(THR)を経て電動機(M)を駆動する制御回路の図(配線図1,p13)に関する問いです。①は,電源引込口に設置されている,主回路を保護する機器を指しています。
①に入る機器の選び方
主回路の電源引込口には,過負荷保護機能を備え,かつ地絡(漏電)に対しても保護できる機器を設置するのが一般的です。選択肢の中では,「漏電遮断器(過負荷保護付)」がこの位置に対応する機器です。
- 配線用遮断器:過電流保護はできますが,漏電保護の機能は単体では持ちません。
- 電磁接触器:開閉のための機器で,保護機能を持つ遮断器ではありません。
- 電磁開閉器:電磁接触器と熱動継電器を組み合わせたもので,主回路の途中(電動機の直前)に設置される機器です。
- 漏電遮断器(過負荷保護付):電源引込口で,過負荷保護と漏電保護の両方を兼ねる機器として設置されます。
答え:ニ 漏電遮断器(過負荷保護付)
電源引込口には,回路全体を保護する漏電遮断器(過負荷保護付)を設置します。電動機の直前に設置される電磁開閉器(電磁接触器+熱動継電器)と役割・設置位置を混同しないようにしましょう。
問42
配線図②で示す図記号の接点の機能は。
- イ.手動操作手動復帰
- ロ.自動操作手動復帰
- ハ.手動操作自動復帰
- ニ.限時動作自動復帰
正解:ハ
解説
配線図1の②部分を確認する
②は,制御回路内にある接点記号(E-⌐の形で描かれる接点)を指しています。この記号は,リミットスイッチなど機械的な操作によって開閉する接点の一種を表す図記号です。
接点の動作の仕組み
この図記号が示す接点は,外部からの機械的な操作(レバーを押す・当たるなど)によって「手動」的に動作しますが,操作力が無くなると,ばねなどの力で自動的に元の状態に復帰します。つまり,「操作は手動(外力による動作)」「復帰は自動(ばねなどで元に戻る)」という組合せです。
選択肢の検討
- 手動操作手動復帰:操作も復帰も人の手で行うタイプ(押しボタンスイッチの一部などが該当)
- 自動操作手動復帰:自動的に動作するが,復帰は手動で行うタイプ
- 手動操作自動復帰:外力(レバーなど)で動作し,力が無くなれば自動的に元に戻るタイプ
- 限時動作自動復帰:一定時間後に動作し,自動的に復帰するタイマ接点のタイプ
答え:ハ 手動操作自動復帰
この記号は,物理的な当たり(カムなど)で接点が動作し,当たりが外れると自動的にばねの力で復帰するタイプの接点(リミットスイッチ等の接点)を表しています。「操作=手動(外力)」「復帰=自動(ばね)」の組合せを覚えておきましょう。
問43
配線図③で示す機器は。

- イ.(写真参照)
- ロ.(写真参照)
- ハ.(写真参照)
- ニ.(写真参照)
正解:ニ
解説
配線図1の③部分を確認する
③は,制御回路の操作用に設置されている機器を指しています。配線図1は,押しボタン操作で電動機を始動・停止させ,タイマ設定時間で自動停止させる制御回路であり,③はこの操作を行うための機器です。
写真の選択肢の判別
答え欄の写真は,次の4種類の操作機器です。
- イ:丸い突起(キノコ形)の押しボタンスイッチ(非常停止用など)
- ロ:セレクタスイッチ(回して切り替えるタイプ)
- ハ:「FOR.」「REV.」「STOP」の3つのボタンが並んだ操作盤(正転・逆転・停止用の押しボタン)
- ニ:「ON」「OFF」の2つのボタンが並んだ操作盤
配線図の③の位置(電動機の始動・停止操作を行う箇所)に対応する機器としては,「ON」「OFF」の押しボタンで単純に電動機を起動・停止させる操作盤が該当します。
答え:ニ
③は,配線図の中で電動機の運転・停止を操作するための押しボタンスイッチ(ON/OFF操作盤)です。正転・逆転の切替えが必要な用途であればハのような3ボタンタイプが使われますが,この制御回路は単純な始動・停止(+タイマによる自動停止)のみなので,ON/OFFの2ボタンタイプが対応します。
問44
配線図④で示す部分に使用される接点の図記号は。

- イ.(図参照)
- ロ.(図参照)
- ハ.(図参照)
- ニ.(図参照)
正解:ロ
解説
配線図1の④部分を確認する
④は,制御回路内のタイマ(TLR,限時継電器)に関連する接点部分を指しています。タイマの接点は,コイルが通電してから一定時間が経過した後に動作する「限時動作」の接点であることが特徴です。
接点図記号の見分け方
答え欄の図記号は,接点の線の引かれ方(弧の向き・切れ込みの形)によって,動作のタイミング(瞬時か限時か)と,接点の種類(a接点かb接点か)を区別しています。④の位置は,タイマが設定時間経過後に動作して回路を切り替える接点にあたるため,「限時動作」の接点図記号が対応します。
答え:ロ
タイマ(限時継電器)に関連する接点は,コイルが通電されてから一定時間後に動作する「限時動作」の図記号で描かれます。瞬時に動作する一般のリレー接点の図記号(イ・ハ・ニのような形)と,線の引かれ方の違いを見比べて判別することがポイントです。
問45
配線図⑤で示す部分に使用されるブザーの図記号は。

- イ.(図参照)
- ロ.(図参照)
- ハ.(図参照)
- ニ.(図参照)
正解:イ
解説
配線図1の⑤部分を確認する
⑤は,制御回路の中で,異常時や動作完了時に警報を出すブザーが設置されている部分を指しています。
ブザーの図記号
ブザーの図記号は,半円(または弧)の形に,音を発する向きを示す直線が組み合わさった記号で表されます。選択肢には,向きや形が少しずつ異なる図記号(半円+縦線,三角矢印,半円+弧の組合せなど)が並んでいますが,JIS規格で定められたブザーの図記号は,半円形の本体に音の出る方向を示す短い線が1本付いた,最もシンプルな形です。
答え:イ
ブザーの図記号は,半円形に短い直線が組み合わさったシンプルな形で表されます。似たような弧を使う記号(例えば,音の方向を表す矢印が付いた記号や,二重の弧を持つ記号)と混同しないよう,実際の図記号の形をしっかり見比べて判断しましょう。
【単線結線図】(問46〜問50共通)

問46
配線図①で示す機器を設置する目的として,正しいものは。
- イ.零相電流を検出する。
- ロ.零相電圧を検出する。
- ハ.計器用の電流を検出する。
- ニ.計器用の電圧を検出する。
正解:ロ
解説
配線図2(高圧受電設備の単線結線図)を確認する
問46〜50は,3φ3W 6 600Vの高圧受電設備の単線結線図(配線図2,p15)に関する問いです。①は,受電点のすぐ下流,計器用変圧器(VT)とコンデンサ・接地表示を伴う機器を指しています。
①の機器の役割
①の位置にある機器は,高圧電路の対地電圧(零相電圧)を検出するための機器です。地絡事故が発生すると,健全時にはほぼ0だった対地電圧のバランスが崩れ,零相電圧が現れます。これを検出することで,地絡継電器(GR)などに信号を送り,保護動作につなげます。
選択肢の検討
- 零相電流を検出する:これは零相変流器(ZCT)の役割です。
- 零相電圧を検出する:①の機器(接地形計器用変圧器やコンデンサ形零相電圧検出装置など)の役割です。
- 計器用の電流を検出する:これは変流器(CT)の役割です。
- 計器用の電圧を検出する:これは計器用変圧器(VT)単体の一般的な役割ですが,①はここでは地絡検出用の零相電圧検出を目的とした機器として描かれています。
答え:ロ 零相電圧を検出する。
①の機器は,地絡事故の検出に必要な零相電圧を取り出すための機器です。零相「電流」を検出するZCTと,零相「電圧」を検出するこの機器の違いを区別しておくことが重要です。
問47
配線図②に設置する機器の図記号は。

- イ.(図参照)
- ロ.(図参照)
- ハ.(図参照)
- ニ.(図参照)
正解:ニ
解説
配線図2の②部分を確認する
②は,引込柱側から屋内に引き込んだ直後の位置(Wh:電力量計の手前)に設置されている機器を指しています。この機器は,電力量計と組み合わせて使う,電流・零相電流を検出するための変成器です。
図記号の見分け方
図記号は,電流を示す「I」の文字と,矢印の向き,接地マークの位置・組合せによって区別されます。②の機器は,電力量計に電流を送るための変流器機能(I)と,地絡事故を検知するための零相変流器機能(接地マーク付き)を組み合わせた形になっており,矢印の向きが「零相変流器(接地形)としての検出方向」に対応した図記号を選ぶ必要があります。
答え:ニ
②に対応する図記号は,選択肢のうち矢印の向き・接地マークの配置が正しく対応したものです。似たような記号が並んでいるため,矢印の向き(電流の検出方向)と接地マークの位置を1つずつ照合することが,見分けるための最大のポイントです。
問48
配線図③に示す機器と文字記号(略号)の組合せで,正しいものは。

- イ.(写真参照)
- ロ.(写真参照)
- ハ.(写真参照)
- ニ.(写真参照)
正解:ハ
解説
配線図2の③部分を確認する
③は,受電設備内に設置されている,計器用の変成器を指しています。写真の選択肢には,外観が似ている複数の高圧機器(VCT,PAS,VCBなど)が並んでいます。
各機器の役割と文字記号
- VCT(Voltage and Current Transformer,計器用変圧変流器):電力量計に必要な電圧・電流の両方を1つの箱の中で変成する機器で,電力会社との取引用電力量計測に使われます。
- PAS(高圧交流負荷開閉器):引込柱などに設置され,地絡保護・波及事故防止の役割を担う開閉器です。
- VCB(真空遮断器):真空バルブを用いて,主に事故電流を遮断するための機器です。
写真の外観だけでは似て見えるものもありますが,端子の引き出し線の本数・配置や,機器のラベル表記(VT・LA等の記載)と,実際の文字記号(VCT/PAS/VCB)の組合せが正しいものを選ぶ必要があります。
答え:ハ
③の機器は,写真と文字記号の組合せが正しい「VCT」です。外観が類似したPASやVCBと見た目だけで判断せず,端子構成や実際に貼付されているラベル内容から,正しい機器名称との組合せを見極めることが重要です。
問49
配線図④で示す機器は。
- イ.不足電力継電器
- ロ.不足電圧継電器
- ハ.過電流継電器
- ニ.過電圧継電器
正解:ロ
解説
配線図2の④部分を確認する
④は,非常用予備発電装置と主回路をつなぐ回路の付近に設置されている,「U<」と表記された機器を指しています。
「U<」の意味
図記号中の「U<」は,電圧(U)が設定値を下回った(<)ときに動作する継電器を意味します。これは,停電時に非常用発電機へ自動的に切り替えるための検出装置として使われます。
選択肢の検討
- 不足電力継電器:電力が不足したときに動作する継電器で,「U<」という電圧の記号とは対応しません。
- 不足電圧継電器:電圧が設定値を下回ったときに動作する継電器で,「U<」の図記号と一致します。
- 過電流継電器:電流が設定値を超えたときに動作する継電器(記号は「I>」)です。
- 過電圧継電器:電圧が設定値を超えたときに動作する継電器(記号は「U>」)です。
答え:ロ 不足電圧継電器
図記号の不等号の向き(<か>か)と,対象が電流(I)か電圧(U)かを組み合わせて判別します。「U<」=電圧が下がったら動作=不足電圧継電器,という対応を覚えておきましょう。停電を検知して非常用発電機を起動させる場合は,この不足電圧継電器が使われます。
問50
配線図⑤で示す部分に設置する機器と個数は。

- イ.(写真参照)1個
- ロ.(写真参照)1個
- ハ.(写真参照)2個
- ニ.(写真参照)2個
正解:ニ
解説
配線図2の⑤部分を確認する
⑤は,「I>」(過電流継電器,OCR)につながる部分に設置されている機器を指しています。過電流継電器を正しく動作させるためには,各相の電流を検出するための変流器(CT)が必要です。
必要な個数の考え方
三相3線式の回路で,過電流継電器(2要素)を用いて全ての相間の短絡・過電流事故を検出するためには,一般的に2個の変流器(CT)を,異なる2相に設置します(2個のCTで3相分の異常を検出できるため,経済的にも2個構成が標準です)。
選択肢の検討
写真の選択肢には,貫通形の変流器(1個で描かれているもの)と,2個1組で使うタイプの変流器が並んでいます。⑤の位置には,貫通形の変流器を2個設置する構成が対応します。
答え:ニ (写真参照)2個
高圧受電設備の過電流継電器(OCR)用の変流器は,2個設置するのが標準的な構成です。「3相だから3個必要」と思い込みやすいですが,2個のCTで3相分の電流バランスを監視できるため,実務上も2個構成が広く使われています。
掲載している試験問題は、一般財団法人 電気技術者試験センターが公表した過去問題を使用しています。図・写真は表示用に一部トリミング等の加工をしています。解説は当サイトが独自に作成したものです。